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リオウとナナミの物語 後編  作者: ふるたく
王国騎士として
9/15

森の中

夜、、、ガレスベイル様の館の塀の前で


仁王立ちしたサーシャ先輩が仁王立ちしていた、、、。



サーシャ「待て、と言わなかったか?」


先輩の眉間のシワはくっきりはっきりしていてその怒り具合が見て取れた。


それを見て


僕「あ、、、、は、はい、、すいません、、、、」


僕のさっきの勢い、決意は何処へ行ったのか


怒った先輩を目の前にしたら しゅん、、

と小さくなってしまった


頭が、冷静さを取り戻していた、、、、



サーシャ「、、、、、、、」


その、僕の反省を目で見て満足したのか


先輩は


サーシャ「こっちだ」


と、言って、更に先の方へ歩き出した。


僕はその行動に少しびっくりしながら先輩の後を付いて行く。


僕「、、、、、、、」


城に連れ戻されるとばかり思っていたのに、


先輩はそういうつもりでは無いようだった。


なら、、、



先輩は何をしにここに来たのか、、、。



僕「、、、、、、、、」


ざっ、ざっ、ざっ、ざっ



先輩が先を歩き、僕がその後をついてゆく


ざっ、ざっ、ざっ、ざっ



ふと、見ると


先輩は夕方のワンピース姿ではなく、


(鎧こそ付けていないが)騎士の制服を着ていた。


ビシッとした、そのシワ一つない制服姿。



それもまたとても美しいものだった。



ざっ、ざっ、ざっ


先輩は迷う事無く歩いてゆく


僕「、、、、、、、、」


そして


サーシャ「ここだ」


と、先輩は塀を見上げる。



サーシャ「この先に、怪しい離れの建物がある。」


サーシャ「おそらく、そこだと、思う。」


僕「何故、、手伝ってくれるの、ですか?」


僕が尋ねると


先輩は振り返り


サーシャ「当然だろう」


と、はっきり答えた。


サーシャ「私はもう何年もこの事件を追っている」


サーシャ「君と同じくらい、この事件を解決したいと思っているのだよ」


サーシャ「もう、二度と犠牲者は出したく無いんだ」


サーシャ「私の妹のような、、、犠牲者は、、、、」


サーシャ「行くぞ」



と、言って先輩は軽々と跳躍し


その、高い塀を乗り越えて、そして向こう側に、さっ、、っと音も無く、静かに降り立った。


僕「こんな高い塀を軽々と、、、」


僕はその塀を改めて見上げる


改めて、サーシャ先輩の身体能力の高さに衝撃を受ける。


女性でありながら王国騎士の職に就いているという事の意味を知る。


僕「俺も、、、出来るか??」


と、そして僕も負けじと、先輩に付いてゆくのだった、、、、



--------------------------------------------------------



ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、



先輩と2人でガレスベイル様の館に侵入している。


静かだ。



館に侵入したと言っても、建物にはまだ辿り着けていない。


ガレスベイル様の館は広大な土地の真ん中にあり、館と塀の間には深い森が生い茂っている。


正規の門からのルートだろうと、背後の塀からのルートだろうと何処からだろうと館に辿り着くには歩くと1時間程かかってしまうだろう。


故に僕と先輩は今、建物を目指して森の中を歩いている。


深い森を。


ともすれば迷ってそこから出る事さえも出来ないのでは、と思うほど。


僕は、一人で侵入していたら、建物に辿り着く事さえ、出来なかったのでは?と思い始めていた。


(先輩は、迷いなく進んでいる。)


(しかも、怪しいと見ている離れの建物に向かって)


その足取りから余程入念に調べたのだろう事を思わせた。


その途中


ふと思い出す


(先輩、、、、妹、、とか、言っていたか)


僕は先輩が先程、最後の方にポツリと呟いた言葉を思い出していた。


(妹、、、、か)


その言葉には、先輩が何故この事件をそうまでして解決したいのか


騎士の頭領ガレスベイル様の館に侵入までするのか


その理由が、凝縮されているような、気がした、、、、、、


ざっ、ざっ、ざっ、ざっ


僕たちは森を歩く。


その離れの建物に、向かって、、、、


--------------------------------------------------------


ふと、先輩が僕に言う


サーシャ「ここに侵入したからには覚悟が必要だ。」


サーシャ「ガレスベイルの味方は全て敵と思え。」


サーシャ「邪魔をする者がいたら迷わず斬れ。でなければお前が死ぬ」


サーシャ「良いな?」


僕は黙って頷く。


先輩はそれを確認して、前を向く。


サーシャ「そして」


サーシャ「この館の中の森には」


サーシャ「侵入者を排除する」


サーシャ「防衛システムがある」


サーシャ「それに出会うと言うことは、つまり」


サーシャ「そちらに来て欲しくないという表れ」


サーシャ「ほら、出たぞ」


サーシャ「当たりだ」


先輩はにやりと笑う。


サーシャ「行くぞ、リオウ。ここで、手間取っていては次々と応援に来られてしまう、」


サーシャ「一撃でカタをつけるぞ」




と、僕たちの目の前には真っ白な大きな狼。


高さは3メートル半ほど、全長は10メートルくらいだろうか。


その大きく開いた口から見える湿った牙が彼らの凶暴さを物語っている。



ふーふーふーふー



狼は侵入者を発見して興奮している、、、、



ずしっ、、と重量感の、ある前足をずずっ、、と前に出す。



その前足の先には鋭く尖った爪が見えている。



そして、体を低くして



瞬間。



大狼は






跳ねた












僕たちに、向かって、、、、、!!!








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