再びの部屋
仕事終わりの夕方。
「門の所で待っていろ」
というサーシャ先輩の言に従って待っている僕。
そしてサーシャ先輩がやって来て
「待たせたな」
と簡潔な詫びを入れたサーシャさんは僕を連れて歩き出した。
サーシャ先輩の服装は淡い色の首まで布地のあるインナーに茶色のすらっとしたワンピース。
耳には小さな光る石。
長い髪はしっかりと纏まっていて上品な気品を思わせた。
(本当に綺麗な人だな)
僕は先輩の後ろを歩きながらそんな事を考えていた。
ナナミも綺麗な顔立ち、スタイルをしていたが、同い年。
そして先輩は年上。
先輩を見るとナナミの中に子供っぽさが残っていたのだと気付かされる。
その歩き方も正に上品な女性、と言うに相応しく、無駄な動きが一切無い。
(僕は子供、、、なんだな、、、)
比べる事で分かってしまう自分の未熟。
それにようやく気付かされた僕は一人恥ずかしくなっていた、、、
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サーシャ「誰かに聞かれるとまずい」
という先輩の言葉に従って
僕たちは朝と同様に、僕の部屋に来ていた。
チクタクチクタク
時計の音が部屋の中に響く
チクタクチクタク
僕は椅子に座り、先輩はベッドの上に座っている。
ベッドの上に座って佇む先輩を見ていると上質な絵画の世界に紛れ込んだかのよう。
僕「、、、、、、、、、」
その上で
さらに僕は
その上品な女性が、僕のベッドの上で裸で居た、という事実が頭をチラつき、先輩を直視出来ないでいた。
ドキドキ、、、、、してしまう。
(僕はナナミが好きなんだけど、、、)
好きな人がいたとしても目の前に美しい女性が居たらドキドキしてしまうのは男の性だろう。
(仕方、、、ないよな、、、、)
僕は自分で自分に言い訳をしながら、でも同時に頭の中をナナミの顔がチラつき、僕は頭の中がパンクしていた。
(でも、ナナミはもう結婚しているし、、、)
頭の中で小さな悪魔と小さな天使がせめぎ合っているかの様。
ドキドキしているのが良い事なのか悪い事なのか。
僕は一人頭を抱えている。
その様子は傍目から見れば滑稽だったろう。
サーシャ「、、、、、、、」
サーシャ先輩が澄ました瞳でこちらを見ている。
サーシャ「、、、、、、、」
と、
落ち着きの無い僕を付き合っているのは時間の無駄!とばかりに先輩は一つ大きなため息をついて
僕に声をかける。
サーシャ「客が来たのだからお茶の一杯でも出せ、、、と言いたい所だが」
先輩のその細めた瞳が僕に突き刺さる。
僕の、「あっ、、、」という顔を見ながら
先輩はそれを無視して言葉を続ける。
サーシャ「要件を先に済まそう」
と。
ふと、
空気が変わる。
気がつくと、先程までの気品に満ちた先輩は居なくなっていて、代わりに鋭い目付きの王国騎士の先輩がそこに居た。
サーシャ「昨日の遺体の話だ」
と、静かに、
僕にその昨日見に行った遺体の事、そして何故それを他言無用だと言ったのか、を、説明し始めた、、、。