腕の中にいる大切な人
ガレスベイル「り、り、リオウウウウウ、なぜ貴様が此処にいるうううう」
ガレスベイルの手を斬りつけたリオウに対して怒りの言葉を発する。
僕は、、、怒りがこみ上げていた
僕「なぜ?」
僕「それはこっちのセリフです!貴方は何をしたああああ!?ナナミに、、、ナナミに、、、、何をしたあああああ!!!」
抱きしめるナナミの体は恐ろしく細かった。
目は虚。
何を、、、何をしたらこんな風に、、、、
それに気付かず今まで過ごして来た自分にも腹が立った。
と、そこへ、サーシャ先輩が僕に追いついてきた。
先輩は右腕を大きく損傷していて、手は体にぶら下がっている、という感じ。
先程、途中で出会った大狼と戦った際に負傷してしまったものだった。
しかし
サーシャ「ガレスベイル。貴方を逮捕します」
利き腕でない方の左手で剣を持ち、切っ先をガレスベイルに向ける。
サーシャ「証拠は、十分ですね」
凛とした先輩の瞳は自分の負傷よりも為すべき事に向けられている。
先輩は弱ったナナミを視界に入れて、怒りに震えている。
ガレスベイル「ふっふっふっふ、、ははははははは」
ガレスベイルは笑っていた。
ガレスベイル「なんだ、なんだ、お前たち、せっかく目にかけて来てやったと言うのに。」
ガレスベイル「そんなに死にたいか!!!!」
ふと、周りをみると
大狼が、集まって来ていた、、、、
ぞろ、、、ぞろ、、、、ぞろ、、、
僕「な、、、、、、」
その数、は10は超えている、、、
サーシャ「リオウ!狼煙を!!!」
リオウ「あっ、、、、」
僕は手がもつれて、狼煙に使う円筒を、
てん、、、てん、、、てん、、、
と、ガレスベイルの方に、落としてしまった、、、、
その、、円筒を足で踏みつけ
ガレスベイル「私を逮捕するだと?」
ガレスベイル「どうやって死人が私を逮捕するというのだ」
笑っていた。
ガレスベイル「何故、ここから生きて帰れると思うのか」
ガレスベイル「俺の館に入って」
ガレスベイル「生きて帰った者はおらん!!」
ガレスベイル「騎士二人の死体などどうとでもなる。」
ガレスベイル「下手な正義感で得られたものは」
ガレスベイル「騎士二人の死体と、その娘の更なる苦痛、のみだ」
ガレスベイル「これを滑稽と言わず何と言う」
ガレスベイル「お前達は俺を笑わせにきたのか?」
瞬間、先輩がガレスベイルに向かって斬りつける!!
サーシャ「ぅあああああああああ!!」
しかし
その卓越した剣技を持ってしても
ドン!!!!
と、ガレスベイルの蹴り。
サーシャ「あ、、、、ああああ」
その剣も当たらなければ無意味。
ガレスベイルは騎士団の中でも屈指の使い手。彼に敵う騎士など一人か二人。
卓越した先輩といえども、更には右腕を負傷した状態で、ガレスベイルに敵う道理など無かった。
カラン、、、
先輩は剣を落とした
蹴りをまともに食らい、苦痛の表情を見せ、その場に倒れこむ
ガレスベイル「サーシャ、お前が俺に敵うわけないだろう。」
僕は、、それを、、見ているしか
出来なかった、、、、、
そして
がん!
と先輩の頭に足を乗せ、ガレスベイルは言う
ガレスベイル「そうか、そうかもしや、お前も妹みたいになりたかったか。」
ガレスベイル「嫉妬していたのか?」
ガレスベイル「妹が選ばれて、自分が選ばれなかったから!!」
ガレスベイル「それはそれは気が付かなかったぞ」
ガレスベイル「ははははははははははは」
ガレスベイル「そうだな、お前も殺すのを勘弁してやろう」
ガレスベイル「お前の妹のように、、、果てるが良いさ」
はっーはっはっはっはーーー
はーっはっはっはっはーーーー
と、笑うガレスベイル。
僕は、、、動けずにいた、、、、
勝て、、、ない、、、、
周りの大狼にも
目の前のガレスベイル一人にも
その時、ナナミが叫ぶ
ナナミ「リオウ!私を殺して!!!その剣で!!」
ナナミ「私を!!!殺して!!!」
ナナミは涙を流して訴える
ナナミ「もう嫌なの!!!もう!!!」
ナナミ「殺して!!!!!」
しかし
ガレスベイル「殺させはせん」
ピイイイイイイイイイ
口で合図を鳴らすと
大狼が、
一斉に
僕に襲ってきた、、、
ナナミ「私を殺して!!!!お願い!!!!!」
僕は、死ぬ前に、この剣で、、、
ナナミを、、、、、!!!
僕「うああああああああああああああああああ」
「リオウ、殺すな!!!!!」
何処からとも無く声が聞こえた。
リオウ「え、、、、」
僕はその声でナナミの喉元につけた剣が止まる
すると
周りにいた大狼が
斬!斬!斬!斬!斬!
と、次々に斬られてゆく
斬!斬!斬!斬!斬!
僕「え、、、、、」
みるみる内に大狼は肉片となってゆく
ガレスベイル「なぜ、、、何故だああああ」
今度こそ本当の驚愕の声を出すガレスベイル
ガレスベイル「何故、、、何故お前がここにいるうううううロベルトオオオオオオ!??」
そこに居たのは、王国騎士団長、ロベルトだった、、、、
騎士団長「ガレスベイル様。貴方を逮捕します「
そして、周りには王国騎士団の面々が、
その数、50人は、、、いるだろうか
大狼を殺し終え、全員でガレスベイルを取り囲む
ガレスベイル「何故だあああああ、私は許可しておらんぞおおおおおおお」
ガレスベイル「騎士団を動かす許可は、出しておらんぞおおおおおおお」
ガレスベイル「俺はあああああ、出して、おらんぞおおおおおおお」
叫ぶガレスベイル
騎士団長「はい。貴方からは許可は頂いておりません。」
団長ははっきりとした口調で返す
そして、
騎士団長「私は、国王から、許可を頂いております」
騎士団長「貴方を、逮捕せよ、、、、と。」
ガレスベイル「な、、、な、、、なんだとおおおおおおおおお」
ガレスベイルの叫び声が響き渡る。
空は夜が明け始めていた。
太陽の、明かりが周囲を照らし始める
た、、、た、、助かった、、、、
のか、、、、?
僕は安堵していた、、、
そして、、、緊張の糸が切れてしまった
と、
僕は気がつく
僕「ナナミ!?ナナミ!?」
ナナミは気を失っている。
僕「ナナミ!ナナミ!ナナミ!!!」
ナナミの体は驚くほど弱っている。
僕「ナナミ!?ナナミ!?」
僕はナナミを抱きしめる。
その冷たい体を、温めるように、、、