ナナミ
そこは大貴族ガレスベイルの離れの館。
そこにはガレスベイルの妻が数人住んでいた。
ナナミも、また、そこに住まわされていた。
ナナミ「うぅ、、ああああ」
ナナミは苦痛に顔を歪ませていた。
ガレスベイルはそれを見て酒を飲んでいた。
ナナミはその毎日となる苦痛に心が限界を迎えていた。
ナナミ「はあ、、あ、あ、ああああ」
ナナミ「ぅ、ぅあ、、、ああ、、、」
それを見て、ガレスベイルは付き人に言う
ガレスベイル「こいつもそろそろ終わりだな。商人を呼べ。売り付ける」
ガレスベイル「そうだな、、、値段は、、、、1000バベルで良いと伝えろ」
ガレスベイル「ゴミを売るのに、大金を積ませるのは酷だからな」
ガレスベイル「やはり正当な価値で売らんとな、商売人としてはな、はっはっはっは」
ナナミ「ぅ、、、あ、、、あ、、、」
ナナミの視線は定まっていないかのよう。
目が、虚ろだった。
ガレスベイルは酒をテーブルに置き、ナナミの元へ向かう。
そして、ナナミの髪をがっ、と掴んで
頭を持ち上げる
ガレスベイル「おっと、まだ死ぬなよ。良い生活をさせたんだ。お前の家にも金を送っている。」
ガレスベイル「それだけの働きをしろよ、田舎の娘よ」
ガレスベイルが手を離すと、ナナミはその場に崩れ落ちる
ガレスベイルは、はっはっは、と笑いながら去って行った、、、、
それが、今から3日前の話、、、、
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そして、今。
時間は深夜1時。
離れの館の玄関の外。
一台の馬車が走って止まっている。
そこには商人らしき男とガレスベイル、付き人が一人に、そして、
ナナミ。
ナナミ「、、、、、、、、」
ナナミは寒空の下、白い布を一枚着せられ、館の扉の前に立っている。
ナナミは体調が悪いのかふらふらしている。
頬はこけていて、手足が細くみえる。
手には手錠。
両手を前にして、一つの金具で繋げられている。
ガレスベイル「今回はどうするのだ?」
商人らしき男「そうですなー。いくつか考えているのですが」
ガレスベイル「聞かせろよ」
商人らしき男「虎の餌にするか、盗賊団に渡して慰みモノにするか、はたまた、外国の人体実験のモルモットにするか、、、」
ガレスベイル「はっはっは、そうかそうか、お前は実に恐ろしい事を思いつく男だな」
ガレスベイル「流石の俺にもそんな下劣な事は思いつかぬよ」
はっはっはと、愉快そうに笑うガレスベイル。
商人らしき男「いえいえ、ガレスベイル様程でも、、、、」
商人らしき男「一体どうやったら人間がこの様になるので?」
ガレスベイル「はっはっは。そうか、そうか、知りたいか。良し、今度見せてやろう。」
ガレスベイル「次の娘を得た時はお前を呼んでお前の前で見せてやろう」
商人らしき男は、それは楽しみです、と言いながらナナミを馬車に乗せようとする。
商人らしき男「ほら!さっさと乗れ!グズグズするなよ!」
商人らしき男「鞭で叩くぞ!」
ナナミはそれに驚き、よろよろと馬車に、、、乗ろうとした、その時、
どん!!!
と
ナナミは商人を突き飛ばして駆け出した!!
そして
たたたたたた、、と、
ナナミは暗闇の森の中に逃げ込んだ
商人らしき男「いってえええええ」
商人らしき男は尻餅をつき目を回している。
それを見てガレスベイルは
ガレスベイル「ほおう、あの娘、まだそんな体力があったか。」
怒るでもなく、感心していた。
ガレスベイル「あの娘、体力が無いように演技していたとは。中々頭のキレる女だったようだな」
と、その脱出劇を嬉しそうに見ている。
商人らしき男「おおい!感心するのはよいが、早く捕まえてくれ!」
怒鳴る商人らしき男。
ガレスベイル「おいおい、あの娘を流したのはお前だぜ?俺にそんな口叩くか?」
商人らしき男「あ、、、いや、、その、、、」
ガレスベイル「ふん、まあいい。捕まえてやるさ。
というか、逃げれる訳がないだろう。この館から」
ガレスベイル「む、、、それとも、あの娘、自殺するつもりか?」
商人らしき男「じ、自殺は困るぞ〜。もう高値で売りつけた後だからな!」
ガレスベイル「ち、仕方ない。捕まえてやるさ、直ぐにな。」
と、言って、ガレスベイルはナナミを追って歩き出した。
そして口笛を吹く。
ピイーーーーーーー
それは森の大狼への合図の一つ。
捕まえろ。殺すな。
という合図。
ガレスベイル「傷付けるな、という合図を教えておくべきだったな」
ガレスベイルは頭をぽりぽり掻きながららゆっくりとナナミの後を歩いて行った。
空には三日月。
月の明かりはうっすらと森を照らしていた、、、