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リオウとナナミの物語 後編  作者: ふるたく
王国騎士として
1/15

新たなる日常

ナナミが大貴族ガレスベイル様と結婚してから、


僕は騎士団に入団するため村を出た。


村のみんなや、老師はとても喜んでくれて、祝福してくれた。


しかしそこにはもうナナミの姿は無かった。


だから、僕は長年過ごしたこの村を離れるのに、何の躊躇も無かったんだ。


「、、、行ってくるよ、父さん、母さん。」


僕は涙目の母と父に、別れを告げ、


この国の中心都市、のさらに中心の


城下町に、やって来た。


------------------------------------------------------------


住み慣れた村を離れてからというもの、戸惑う事が多かった。


都会と田舎の差、知っている人が誰一人いないという差。


王国騎士団長と女性騎士は顔は知っていたが、顔を知っているだけ、の関係だったから、


僕の中ではこの城下町に僕を知っている人は誰一人としていない、という感覚だった。



、、、、、、、、、、。



その生活も一年も続けば慣れてくる。


一日中明るくて、賑やかな街や、家族以外とは馴れ馴れしくしない人間関係、食べるもの、便利な器具。


僕はいつしかこの都会という街に慣れてしまっていた。





そして、


月明かりの、夜。



からん、、からん、、、からん、、、


扉を開けるとお客が入って来ましたよ、という鐘の金属音が鳴る。


僕はいつもの場所に、どかっと、座り、


マスターに"いつものヤツ"を頼む。



マスターは、あいよ、と言って"いつもの酒"を僕は差し出す。



僕「ありがとう」



と、僕は一声かけてから、それに口付けた。



僕「、、、、、、、、」




、、、僕はこの街に来てから酒を覚えた。



何かを忘れようと、



何かを忘れようと思ったら、それは酒が丁度良いと、思ったんだ、、、、、



僕「、、、、、、、、、、」

------------------------------------------------------------


マスター「リオウ君、飲み過ぎはダメだよ」


と困った顔して何杯目かの酒を差し出してくる。


僕「分かって、ますよ、、、」


と、言って僕はその何杯目かの酒を受け取る。


僕「、、、、、、、」


僕「、、、、、、、」


僕「、、、、、、、」



僕は仕事終わり、、、、



(いや、仕事終わりだけじゃ無い、か。)



僕は、この時間、毎日の様に、マスターの店に通っていた。


酒を飲んで、帰って、寝るの繰り返し。



そんな繰り返しの毎日、を僕は過ごしていた。



僕「ご馳走様、マスター。おやすみなさい」


マスター「うん、おやすみ、リオウ君。気を付けて帰るんだよ」


からん、、からん、、、からん、、、


扉を開け、店を出る。



残されたマスターは一人呟いた。


「なんだって、王国騎士なんていう立派な職業に就いていながら、彼女の一人もいないのかねえ」


と、


マスターは僕がいた席を片付けてから、店の扉を開け、「OPEN」の札から「Closed」に付け替え、



そして、ガチャン、と扉を閉めた。



、、、、、、、、、、夜は、更ける、、

------------------------------------------------------------


ガチャ


僕は郵便受けの中を手で漁り、何も無い事を確認すると扉を開けて家に入った。


僕「はあ、、、、」


僕「疲れ、、た」


と、僕はその着の身着のまま、ベッドに横たわる。


僕「はあ、、、、」


僕は自室に帰ってきた。


家。自室。


石で出来た簡素な作り。


気密性が高く、そこが気に入っていた。


部屋は簡素な作りで物も殆ど何も無かった。


最近は使っていない机と椅子が一つずつ。レターセットとペンとインクが一つずつ、


あとは仕事の為の衣服やら鎧やら、書類やら、武器やら、、、だけ。


最近は手紙を書くのもおざなりになっていた。


だから、家でやる事と言えば寝ることだけ。


別に寝巻きに着替えなくても誰も何も文句は言わない。


だから、僕はそのままの格好で微睡みの中に落ちていった、、、、、、



------------------------------------------------------------


夢、、、、



夢を見ていた。



久しぶりに見る夢。



そこは、山の中で、僕は誰かと手を繋いで歩いている。



ぼくは泣いていて、誰かが励ましてくれている。


僕は、その人が好きだったんだ。



大好きだったんだ。



ずっと、ずっと、ずっと、



一緒に、いたかったんだ、、、、、



------------------------------------------------------------



ちゅん、、ちゅん、、、


スズメが鳴いている。


朝の光で目が醒める。



僕「ん、、、、、ふあああぁあぁあ」


(朝、か、、、、、、)


僕は伸びをして、起きようとして、


部屋の椅子に誰かが座っているのに気が付いた。


ん、、、?誰、、?


寝ぼけ眼でその人を見ると


「まったく、なんだ、この部屋は、酒臭いぞ!」


と、開口一番、文句を言ってきた、女性騎士

、サーシャがそこに居た、、、。




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