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2人の正妃物語

作者: 浅村鈴

沢山の作品からこの作品を読んでくださってありがとうございます

ツルークス王国の王は若く幼い。15歳で王になった。王の横には王を支える年上の王妃が居た。王妃はおん年18歳。お互いを労り、尊敬し、愛し合っていた。

王の名はシン・ツルークス。王妃はソフィア・ツルークス。エトワール公爵の娘だった。エトワール公爵は国の宰相だった。前王が病気で急死した為幼い王太子が王を引き継ぎ、王を支える為年上のソフィアと結婚させたのだった。


「ソフィア!体調はどんなだい?無理してない?」


「シン様!先程赤ちゃんがお腹を蹴ったのですよ。とても元気な赤ちゃんです」


「体を大事にしてくれ。僕は君を1番に愛しているのだからかっ


「はい!自身も赤ちゃんも大事にします!私も陛下を愛していますから!」



産み月近くになってエトワール公爵が急病で倒れた旨が王宮に知らされた。

ソフィアは身重の体で周りから反対されたが実家に戻った。

必死に父を看病したが、公爵はこの世をさった。ソフィアの兄が後を継ぐはずだったが、陰謀に巻き込まれ逃亡げていた。エトワール公爵邸に兄を探しに来た兵士達が屋敷を壊しながら探す様子を目の当たりにしたソフィアは絶望し、長かった髪を切り、幼い頃から家族ぐるみで懇意にしていた、教会の教皇の元に身を寄せた。話を聞き怒った教皇はソフィアの切った髪をシンに送りつけた。

教皇は小さな頃から娘の様に可愛がっていたソフィアを苦しめた事が許せなかった。

送られて来た髪を見たシンはソフィアを苦しめた事を後悔し涙を流した。シンは愛するソフィアに会いたくて仕方なかった。何度も何度も教会に足を運んだが会わせては貰えなかった。

罪人となった兄を持つ王妃は認められないと言う貴族も出て来ていた。ソフィアは教会で女の子を産んだ。母子共に元気だった。


シンはソフィアに会いたい思いが膨らみすぎ、教皇に頭を下げ、反対意見を退けソフィアを再び王妃として王宮に迎えいれた。


王女となったセリカもすくすく成長し、シン国王とソフィア王妃は愛を育んでいた。反対派の意見を聞くたびに益々ソフィアへの愛が、膨らみソフィアは再び子を宿していた。


新宰相にはエトワール公爵の弟のレッジャーニ公爵が付いていた。レッジャーニ公爵は自身の掌中の球として大切に育てた娘パトリィッアが居ました。レッジャーニは王に迫り側妃とする事を納得させた。

王と王妃は仲睦まじかったが、政治的な判断で王は側妃を迎えなければならなかった。


「誰が側妃になろうとも僕のソフィアへの愛は変わらないよ。だから安心して」


シン国王は自身の事でまた最愛の人を苦しめる事が辛かった。


「分かっております。大丈夫です」


そんなシン国王の思いを知っているソフィアは少し悲しげな笑顔を向けた。





側妃として召されたのはソフィアの従姉妹のパトリィッア・レッジャーニ公爵令状だった。歳は14歳。

パトリィッアを側妃として迎えたが、シン国王は幼い時から落ち着いた、聡明なソフィアの側に居た為、幼さの残るパトリィッアを女性と見る事が出来なかった。プライドの高さも鼻をついた。パトリィッアの側に居る時はいつもソフィアと重ねてしまっていた。

普通は側妃との結婚式は挙げる事はなかったが、レッジャーニ公爵の頼みで式を挙げることになった。運命の悪戯か、式の当日ソフィアは王宮で教皇に見守られ王子を出産したのです。

公爵から式の立ち会いを頼まれていましたが教皇は側妃の結婚式の立ち会いは司祭に任せて、出産の立ち会いをしていました。

大事な娘の結婚式に王子を産み、依頼した教皇も式の立ち会いをしない事に公爵は恨みを抱いていた。




「パトリィッア様、シン様は本日もお渡りになれないそうです。お辛いと思いますが、お気にされません様に」


「シン様は来れないのですね。でもばあやが居るから寂しくは無いわ。シン様が来られないなら今日もお人形遊びが出来るわね。嬉しいわ」



パトリィッアは見た目よりも心が幼く、嫉妬する気持ちは全く持たなかかった。その為、数年は白い結婚となっていた。


レッジャーニ公爵はパトリィッアの地位を確立する為に国王にソフィアを王妃、パトリィッアを公妃と呼ぶ様に提案した。公爵家の娘が妃となったのだから公妃と呼ぼうと。力を付けていたレッジャーニ公爵の提案を無碍に出来ず申し出を受けるしかなかった。

王国始まって以来の 2人正妃 の誕生だった。


シン国王のソフィア王妃への愛は冷める事はなく、ほどなく3番目の子を妊娠した。この頃ソフィアの体調は著しく悪くなっていた。

ソフィアは遅効性の毒を日々盛られていた。毒は日々体を蝕みソフィアの体を弱らせていった。



「何故もっと早く体調が悪い事を知らせてくれなかった!?此度は赤ん坊は諦めてくれ!頼む!」


「私の事で気に止む必要はございません。私は大丈夫です。この子を無事産んでみせます。シン様のお子ですもの」


シンはソフィアを抱きしめると余りの細さに涙が出た。


「なぜこんなになるまで言わなかったのだ…。何故私は気がつかなかったのだ…」



寒い冬の日元気な女の子が生まれた。子を産み落としたソフィアは目を覚ますことなく、そのまま亡くなったのです。

ソフィアは死の予感があったのか、教皇にシン宛の手紙を残していた。


『夜通し愛し合った私の事を忘れずにいてくれるならきっとまた会えます。会えた時に貴方が流す涙の色を楽しみにしています。永遠に愛する貴方へ』



手紙を読み、シン国王は最愛の人にもう会えない悲しみのどん底にいた。

葬儀の夜しんしんと雪が降る中一晩中眠らずに涙を拭っていた。その後もソフィアの事を忘れる事が出来ず、何も手に付かなかった。

幼かったパトリィッアも18歳になっていて、シンの寂しさに寄り添うことの出来る年齢になっていた。


「ソフィア様から私宛にお手紙を頂いていたのです」


その事実にシンは驚いていた。


「な、なんと書いてあったのだ!?ソフィアの言葉は何と…」


パトリィッアはシンに手紙を差し出した。



『パトリィッア様、私の命の火は消えようとしています。シン様は私の事を愛して下さいましたが、貴方の事も妻として愛していらっしゃいます。貴方もシン様を愛して下さい。支えてあげて下さい。そして出来るなら私の代わりに子供達を愛して下さい。私は貴方を家族として愛しています』



「ソフィア様は幼い私への周囲からの不満を抑え守り、密かに教育までして下さいました。実の姉の様に。今の私が在るのはソフィア様のおかげなんです。シン様がこれからもソフィア様を愛していても構いません。ですが、私にもお手伝いさせて下さい。ソフィア様のお子様達を一緒に育てるお手伝いをさせて下さい。私は母になります」


「パトリィッア……。よろしく頼む」


「はい。必ず」


その後パトリィッアはソフィアの子達を愛を持って育てた。そしてパトリィッア自身も2人の子を授かり、分け隔てなく子供達を育て妃として国王であるシンを支えた。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

良かったら評価よろしくお願い致します。

他にも作品を書いています。

暇つぶしの時に読んで頂けたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 既に3人もお子がいて、生涯ソフィーだけと思っていたのなら、そこはしっかり割り切って、パートナーとしてパトリィッアを置けば良かったのでは? だって明らかに、そこを狙っての毒殺ですよね! なの…
[一言] こんにちは。 平安時代の一条帝と定子と彰子の関係のようですね。 頭の中に浮かびました。 本当は もっと妃もいて、政治も絡んでドロドロしていたんでしょうけど きれいにまとまって良かったです。
[気になる点] パトリッツアは父の野望と恨みを防げたのかな…? 子供たちの代になって後継争いにならなければいいんだけれども。
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