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水と少女と終末世界  作者: 大村伊吹
2/2

過去投射

仕事帰りに食料交換所に足を運ぶ少女。その食料交換所の店主の晴空(そら)に愚痴を零しながらも、とある質問を投げかける。

「何言ってんだい!とうとう狂っちまったかい?!」

40代女性の怒号が薄暗い空間に響き渡る。

「前に何回も教えただろう?!地上は奴らの巣窟だって。それに、地上に出ようとした瞬間にその開けた出口から奴らが入ってくるんだ!あんたも何回も目にしただろう?!」

1人の少女が食料交換所の前で叱られている。

「まあまあ、そこをなんとか…」

少女は懲りてないのか晴空に両方の掌を擦り合わせて懇願する。

「そんなに地上が気になるんなら奪還軍にでも何でも入りゃ良いじゃないか。」

「だって晴空が反対するんじゃん。」

ふいっとした態度で屁理屈を吐く。

「そりゃあ当たり前じゃないか!」


晴空は少女の知人というよりは母親の様な態度で少女と会話をしている。それもその筈だろう。



彼女は11年前に娘を失っているのだから。




「第24番ゲート侵入事件」

それは信仰組織である、「大地ノ天罰」によって起こされた事件である。

「大地ノ天罰」とはどの時代にでもいる、過激派宗教組織だ。指導者は不明で、27年前の最初のゲート侵入事件以来、未だに逮捕されていない。



キャタピラ特有の音が騒々しい空間の中鳴り響く。

ドン!ドン!ドン!44口径120mm滑空砲の爆音が鼓膜を揺らす。

10台以上の戦車が、縦1列になって走りながら建物と建物の間を縫うようにして、行進間射撃を繰り返している。

撃ってはいるものの「ロキ」相手には全く効いていないようで、M1A1ーエイブラムスの戦車砲を喰らっても怯むことなく暴れ回っている。

「撃てーー!!」

先頭車両の隊長から射撃の指示が飛んでくる。それに反応して各車、射撃を行う。たった10m程の相手だというのに、全く歯が立たない。

「ウウーー!!」

空襲警報の様なサイレンが人々の耳に届く。

この警報は別区画への避難指示である。

この警報が鳴ると、1時間後に、指定された区画は「区画間隔離壁」によって閉鎖され、対超大型獣戦闘が行われる。

それでもロキらを抑え込めない場合は指定区画ごと爆破する。しかし、この最終手段はは今までに使われた事は1度もない。

24番ゲート侵入事件では、34体ものロキが侵入した。今までの侵入事件でも大体5~6体、多くても10体そこらだった。

その点を踏まえると、この事件がどれだけ大規模だったかよく分かるだろう。

「護衛車が来たぞ!」1人の兵士が叫んだ。

「フィーーン」とガソリンモーターの甲高い回転音が聞こえてくる。

ゴオォォン!

細い身体付きの鋼鉄製の大きな巨人が一体のロキに掴みかかる。そしてその単眼は紅く輝いている。

そのロキはちょっと太ったゴジラ型の恐竜の様な見た目をしているが恐竜にしては前足が腕の様に肥大化している。

鰐のようなその顔は人々の恐怖心を煽る。

黒い鱗にはヒビが入り、その間隙から緑色の光が漏れて気色が悪い。

護衛車はロキに掴みかかると左手を縦拳でアッパーをする様にロキのみぞおちに拳をめり込ませた。

それと同時に腕に付けられている300mm対艦砲を間髪入れず撃ち込む。

ロキの腹に大きな穴が開き、そこから緑色の液体が溢れ出している。

護衛車はロキが怯んだ隙に身体を捻るようにして右脚で蹴り飛ばす。

ロキは当然よろける。その間に護衛車はロキとの距離を詰め、縦拳でヤツの腹の穴に右手を突っ込ませる。

体内の内臓の存在をも無視して横隔膜を破り、右手の300mm対艦砲の砲口をロキの異様に硬い心臓に密着させる。


ドオォォォン!!


直径30cmの鋼鉄の塊はその尖った先端で肉製のポンプに突き刺さり、そのままズブズブと穴を広げながらめり込んでゆく。

その塊は止まることを知らず、その勢いのままロキの背中から緑が混ざった黒煙と共に顔を出した。



カンカンカンと鋼鉄の上を走る音が鳴っている

「ハアハア…」

その女はとても疲れている様子で走っている。そしてその胸には幼児をギュッと抱きしめている。

「もう少しだから我慢してね。」

女が少女に語りかける。


はい!第2話目です!

前回は読んで頂けたでしょうか?読んでない方はぜひ読んでみて下さい!

まあ、こんなSFものとか、題名がそこまで長くない小説なんて読む方はそこまでいないと思いますが。

なので、読んでくれたそこのあなた!ぜひ続きも読んで下さい頼みます。

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