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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

近所の子供が石投げて来たかと思ったけど如何やら違うみたいです?

作者: 癒え血

 空から降ってきて欲しいモノって何かな?


 うん、ごめん。


 突然何言ってんだって話だよね。けれどね、俺はどうせならお金が良かったなぁー。


「おい、飯よそれ。早くしろ」

 何だコイツ?

 誰か…いきなり住み着いたコイツをどうにかしてくれ。


 てか、家主に命令すんな!


 時間は数日前に戻る…。



「今日は仕事疲れたぁ。本当に老害死ねよ…。」

 俺は住んでいるアパートに帰ってきて早々に会社の老害への文句に思考がヒートアップしている。


「特に何だよ課長!アイツ頭硬過ぎるよな?マジ融通きかねぇな?あーーーームカつくわー!」

 俺のイライラも最高潮になっている。イライラを消す為に社会人の嗜みのビールへと手を伸ばす。


「ん、空か?」

 どうやら、テーブルに乗せていたビール置き場に置いてあるビールには中身が入っていないみたいだ。

「仕方ない、イライラはビールでしか消せない。よし、冷蔵庫まで行くか。面倒だけど…」

 イライラはビールという神秘の飲み物で忘れ去る。こんな事皆んなしている筈。


 俺はTVをつけた。

 知らない番組が流れる。ただ、俺は惰性で見ているだけなので仕方ないと言ってゴロゴロしながらそのまま変えずに見る。

「–––––アセトアルデヒドがビールには入っています。これが原因で脳の細胞が破壊されます。ですから余り飲まない方–––」

 俺は流れる番組を聞いて、ため息を吐く。そしてまた、言い訳を1人の部屋で喋る。

「余計なお世話だ!何がアセトアルデヒドだぁ?こっちはこれが無いとやってられないんだよ!分かれよ」

 最早誰に怒っているのか分からない…。俺の惰性はこれから何年続くのだろう…。考えたく無い。知りたく無い。このままでいい。知らないまま死にたい。


「何か疲れたな…。俺、何で生きているんだろ?」

 俺は本当に生きている理由があるのか疑問なんだ…。何処かで聞いたことがあるんだが、人には1人1人違う役割があると…。俺は思うんだ、役割って何だ?


「何で…何で……こんな風になるつもりは無かったのに…何で…何で…何でなんだよ…」

 俺は考えているうちに悲しくなってテーブルに頭を乗せて顔を覆って泣いた…。

 本当に静かに…泣いた。

 誰にも知られたくないから…。

 

 ただどんなに泣いても胸の虚無感は社会人になってこら取れなくなった。胸に風穴が空いてるような寂しい感覚に俺は支配されている。


「誰か…救ってくれないかな?俺のことを…見てくれる人がいないかな?いたら…いいのに…」


 それは悲しい慟哭だった。

 同じ様な悩みで苦しんでいる人がいないかって言われたらいると思う。だけど…酷く寂しい…言葉で…あった。



 小さい頃、斎藤(たか)は、自分が何でも出来る凄い人間だと思っていた。


 同年代より勉強は出来る、運動も出来る、ピアノも弾ける、ソロバンもお手玉も出来た。


 勉強出来れば小学校や中学校はチヤホヤしてくれた…。高校生になってもそれは変わらなかった。周りの連中は皆んなバカばかりだって鼻で笑って優越感に浸ることも簡単に出来た。


 今考えると本当に如何しようも無い人間だと思う…。けれど、狭い世界では幾らでも優越感に浸ることが出来たんだ。


 社会に出てからも同じ様に、高卒だとバカにして優越感に浸っていたりした。

 社会に出ると他人が出来るとか皆んなどうでもいいと思っている事に気づくまでやり続けた。少しでも自分が凄いと思えば気が楽だったんだ。心が満たされた。


 ただ……それが間違いだったんだ。


 高校生の時に何にも出来なくて進学出来なかった同期が若手の敏腕社長としてメディアに取り上げられていたのを発見した。


 俺は…媚びを売ろうと思った。


 高卒のコイツなら簡単に騙せると思った。

 浅はかな考えだった…。高卒が社会に早く出るってメリットを甘く見ていた。高卒の同期に俺は足元を見られた。


「よう、久しぶり。お前…前より更に嫌な方向に拗らせたみたいだな?」何て言われた。


 俺は言い返せなかった。

 言い返したら負けを認めたみたいで惨めな気がした。本当に失敗した思った。


 俺は同窓会の帰り道に呟いた一言をずっと覚えている。

「来なければよかった…。そうしたらきっと俺は俺を疑わずに生きられた。恥かいたと感じずに済んだ」

 惨めだった…。


 俺は、同窓会で自分の身の丈を漸く知ったのだ。


 この出来事は2年前だった。




 俺、斎藤鷹は現在26歳だ。

 普通に働いている一般人である。特別な交際相手などもいなく、口座の中身も平凡以下ですらあるかもしれない一般人だ。


「朝か…」

 朝起きるとちょうど良いぐらいに伸びている髭を剃る。一般人の自分が背伸びをしないで闇が蠢く社会に出るのは腰が引ける。


 人は身の丈を知ると変な事に頓着しなくなる。特にプライドを持たなくなる。

 嫌いな奴の前でヘラヘラと心では思っていないことを言う。慣れてくれば初対面相手に笑顔の仮面を付けることが可能となる。そして、時間が全てを持っていくから何も行動を起こさずに待ち続けるのが常だ。


 俺は洗面所の鏡に映る自分の姿にドッとため息を何となく吐いた。どうにもならないのが現状なら仕方ないと悟ったようにリビングに戻って外の景色を何も考えずに見ていた。


 バリンッ、ゴツッとなんかの効果音の如く俺の部屋のガラスを割って硬式の野球ボールが俺の頭を勢いよくノックした。その時は気づいていなかったが野球ボールと一緒に違う白いボールもガラスを突き抜けていたことに…。


「‥‥‥‥」と痛みの余りに声が出ずに困っていた。どうせ近所の悪ガキだろう…。


 色々考えていたら急に視界が明滅する。

 ドンドン視界が白くなっていく…このまま倒れたら俺はどうなるのだろう?


 今流行りのライトノベルのように異世界に行くことが出来るのかな?


「それは………嫌だ…な」


 ピンポーン

 家の呼び鈴が鳴る。

 誰かが来てくれたのかな?


 俺は声にならない声で精一杯生にしがみつこうと「助…k…」と言った所で俺の生き汚い意識は途切れた。



 俺が目を覚ますと病院に居た。

 

 いや、まあ当然と言えば当然かもしれない。

 けどね…俺は一つ疑問なんだけど今病院にいるってことは俺は会社を休んだことになってるんどよな?


 俺は疑問に感じたから病院のベッドから起き上がって看護婦さんに聞いた。


「あの…すみませんが、私はいつからここにいるんですか?あと、俺の頭に後遺症などは残りませんか?」

 看護婦さんは20代後半のいかにも賢そうなメガネをかけた綺麗な人だった。その看護婦さんは、淡々と聞かれた事を答える様に言った。

「あ、はい。昨日の朝から今日の朝まで寝ていましたのでおよそ一日中ですかね?後遺症については昨日見た段階では分かりません…。」

 まあ、会社に行けなくても仕方ないか…。取り敢えず連絡だけはしておきたいな。ただ、後遺症とかは大丈夫だといいなぁ。

「すみません、ありがとうございました…。もし、よろしければ電話場所教えて貰えると助かるんですがいいでしょうか?」

 俺は自分のポケットを漁ったがスマホと思わしき物を確認できなかったから聞いた。

「電話ですね?分かりました。案内致します」

「すみません、お手数かけます」と言って俺は看護婦さんにお礼言いながら案内してもらって無事会社に事の経緯とその他諸々を報告しておいた。


 色々あったが俺は家に帰って来ていた。


「すみません、家の子が野球ボールをぶつけてしまい。ほら、お前も謝りなさい」


 俺は絶賛近所の親子に謝られている。

 

 病院代まで出してもらった。


 少子高齢化に対する対策すら出来ない俺より少子高齢化対策に貢献しているパパさんに謝られるのは何が申し訳ないな。


 ほら、パパさん…子供涙目だよ。それきっと反省しているよ。

「大丈夫ですよ。骨とか脳波に奇跡的に異常が見つからないって言われましたから…。それより、その子も見た感じ反省していますし…大人としては子供のミスひとつ許せないのはどうかと思いますから。気にしないでください。何なら、久しぶりに若い子と話せて私は嬉しかったですし」


「ですが…」と尚も食い下がるので俺は「ね!」ってこれ以上は要らないと顔で威圧して黙らせた。


 まあ、その後は近所の親子は修理代とその他諸々と言ってお金を払って出て行った。


 まあ、半分俺が無理矢理出て行かせたと言っても過言では無いけど。


 正直言って人との関わりが俺は面倒くさいのだから。長居されると色々とストレスが溜まるのだ。困った体だと常々思う。


 おかげさまで俺は凄く疲れたのだ…。もう疲れた。口から小言がまた漏れる。


「はぁ、疲「おい、お前」れた⁉︎」

 んあっ⁉︎何だ?今誰か俺に話しかけなかった?

 とてつもない勢いで心臓がバクバクしている。バイオリズムを図る機会があれば凄い数値が出るだろうな。

「おおーい!聞いているのかぁー」

 少し高い女性っぽい、ソプラノボイスが聞こえるな…。如何やら幻聴というわけでは無いみたいだな。何処からだ?

 


 俺は声の発生源を【抜き足・差し足・忍び足】で探し始める。


 なんでそんな面倒くさいことをするのかは怖い出来事が目の前で起きれば分かると思う。ただ俺から言わせれば何が起きているか分からずひたすら怖いのだ。だから望まずも慎重になる。

 

「おい、聞いているのかー」

 怖い、怖い怖い。誰だよ…誰なんだよ。まるで俺の事を知ってる風に聞いているのか確認してくるのは一体何が理由なんだよ。


 俺は音の発生源まで本当に慎重に歩いてたどり着いた。


 そこには、白い小さなボールがあった。そう、野球の硬式のボールより少しばかり小さいぐらいのボールだった。


 いや、ボールがあるのは普通に驚いたんだが…音の発生源は何処だよ…。ん?まさか…?


 俺は何気なくボールを持ち上げる。そして、耳元にボールを当てる。


 ごしゃ、がしゃとボールから音が聞こえる。そして、「おい、聞いているのかー」と声が聞こえた…。


 一体何だこれ?


「え、怖いんですけどぉぉぉーーーー」と俺は絶叫してしまった。


 仕方ないよね?だって怖いし…。ヤバいよね?だって見た事ない物が部屋にあるだけで怖いのにボールから声聞こえるんだよ?怖いくない人いるのかな?


 余りに怖いから俺はこのボールを投げることを決めた。こんな物捨ててしまおう。忘れ去るのが一番良いことだ!


 俺は窓を開けて大きく振りかぶってマンションの外の公園に思いっきり叩きつける様にボールを投げる構えをしたた…。


「オラァ「やめろぉぉぉぉぉぉぉ!」ァァァァァァ!」


 俺はボールから何か聞こえたけれど容赦なく叩きつけた…。


 尚、これが事の経緯である。


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