44 昇級試験
ちょっと出かけていて投稿ができませんでした。
そして猪型魔物えを天災級から災害級に修正します。
これからもちょくちょく修正していきますので、よろしくお願いします。
Bランク昇級試験は王都で行われる。その為、リックから試験日と紹介状を受け取ったグロウ達は、四人でフェルゴ王国の王都に足を運んでいた。
「王都に来たのは久しぶりです。やっぱり賑わっていますね」
「そうだな。流石に人が多い。ナケアとルピナは逸れるなよ?」
「逸れても、飛んじゃえばすぐ見つけられるよ?」
「ルピナも飛べる」
「一応言うが、街中では絶対に魔法を使うなよ?」
二人が何故⁉︎みたいな表情をしているが、こんな人の多い所で二人の様に幼い子供が魔法を使えば、騒ぎになる事は間違い無い。
ただでさえ魔法の技術が未熟なこの時代で、ただの子供が過去ですら中級魔法に分類される飛行魔法を使うのは、明かに異常事態なのだ。最悪、その魔法技術に目を付けた誰かが、二人を誘拐するなんて事件を起こしかね無い。
その辺の常識は既にリックから学んでおり(と言うより魔法を使わないように頼み込まれた)、グロウとエリカはそれぞれナケアとルピナの手をとる。
そして二人と絶対に逸れない様にしようと、グロウとエリカはそれぞれ握る手の力を少し強めた。
「もう、もしボク達が注目されて悪い人が来ても、ボクがドラゴンに戻れば大丈夫だよ」
「ルピナも、魔法使えます」
((もし誘拐犯なんて現れたら、その誘拐犯が消し済みになるどころか、周囲の人を巻き込みかねない‼︎))
グロウとエリカは心に浮かんだ大災害を想像しながら、絶対にこの手を離さないと心に誓った。
四人が王都を暫く歩いていると、目の前に目的の建造物が見えて来た。盾と剣が重なっている模様が刻まれた看板に、扉の横には威圧感を放つ鎧が飾られている。
昇級試験の会場ともなっている、フェルゴ王国の冒険者ギルド本部だ。
「随分と大きな建物ですね。大富豪のお屋敷くらいありそうです」
ギルド本部は屋敷と遜色無いほど巨大で、その扉だけでも高さ三メートルはありそうだ。稀に巨大な魔物の素材や大量の荷物を運んでくる高ランクの冒険者や、巨人族など体の大きな種族が来るので、どんな人が来ても良い様にこれだけ巨大に作ったらしい。
グロウ達は本部の中に入っていく。本部の中は、セルゲンレイクの支部をそんまま大きくした様な内装をしており、様々な依頼に赴く冒険者が集まっていた。
冒険者達を避けて、四人は受付まで向かう。その途中、多くの冒険者達に好奇の目を向けられたが、最早慣れた四人は受付で紹介状を提出した。
「えっ⁉︎ これ、リックさんの紹介状⁉︎ それじゃあこの人達が……」
受付を担当していた、頭に立派な寝癖を付けた女性が何度も紹介状とグロウ達を交互に見る。ルピナはまだ冒険者登録の最低年齢に達していない事からパーティーには含まれていないが、受付の女性はルピナの事もしきりに観察していた。
「はっ⁉︎ これは、私とした事が失礼いました。Bランク昇級試験の会場までご案内します」
女性は様子を見ていた別の職員に注意させるまで四人を観察していると、思い出した様に案内を開始した。女性が受付から出て来て歩き出したので、四人は女性の後に付いていく。
如何やらルピナは会場までいけないそうなので、エリカが泣く泣くルピナを別の優しそうな女性の職員に預かってもらい、ルピナを試験を見る事が出来る別室に案内して貰った。
「ここが試験会場になっております。それでは御武運を」
先程の様子では考えられないくらい洗礼された動作で、ここまで三人を案内して来た女性が礼をして目の前の扉を開ける。
三人は案内されるままに扉の中へ入っていくと、そこには約三十名の冒険者と思われる人が集まっていた。
「皆さん強そうですね」
「ここにいると言う事は、全員Cランクの冒険者の中でも、最もBランクに近い実力を持った奴らなんだろう」
エリカが不安そうに集まった冒険者達を眺める。やはり魔法系の冒険者は少数で、大多数は剣や槍、斧や弓など、何かしらの武器を持っていた。そしてここにいる冒険者は、グロウの目から見ても、全員がセルゲンレイクにいた冒険者とは比べ物にならない程、強力な力を秘めている。
リックの話では、冒険者の最上級のランクはAだが、Aランクになった冒険者は殆どおらず、Aランクの冒険者は人外の化け物並みの実力を持つと言う認識が一般的らしい。
グロウの前世では、Aランクの冒険者は正しく一騎当千。それぞれが何かしら極めた技能、そして唯一の才能を持っており、複数人でも攻略困難なダンジョンや魔物を単騎で討伐してしまったりと、確かに他とは一線を画す実力を持っていた。
その中にグロウも名を連ねていたのだが、今となっては忘れ去られた過去のことだ。
そしてそのAランクに次ぐ実力を持つ冒険者が、Bランクの冒険者である。Aランクが人外の天才ならば、Bランクは人の技を極めた達人と言えるだろう。
因みに冒険者のランクは、魔物に対応するランクとは少し基準が異なる。冒険者のランクは、同じ危険度である魔物を確実に討伐できる実力を持つと言う意味なのだ。
例えば、ここにいる冒険者のランクはCだが、それはC ランクの魔物ならば確実に討伐できると言うこと。魔物のランクで置き換えるのなら、ここにいる冒険者は全員、最低でもC +以上の実力、Bランクに近しい実力ならば、ここにいる多くはB +程度の実力を持っている筈だ。
また、例え一人でSランク以上の魔物を倒せる猛者であろうとも、冒険者としては最高のAランクということになる。
これは冒険者の安全性を高める為であり、強すぎる冒険者に権力や注目が集まり過ぎないための措置だ。一応、過去にはSランクというランクも作られた事はあった。だがその当時は、最初にSランクになった英雄と言われた冒険者に、その知名度から依頼が集中し過ぎて他の冒険者に依頼が来ないと言う事態が発生してしまったそうだ。
そんな事態から反省し、冒険者はどれだけ強くてもAランクと言う括りで、そして指名依頼にも制限をかける事になったらしい。
そう言う訳で、Aランクが冒険者として最高ランクとなっているのだが、その実力はピンキリとなっている。
「それじゃあ、ここにいるBランクに近い冒険者さん達は、全員Bランクの魔物を討伐出来るって事なんですか⁉︎ 凄いですね!」
グロウがリックに教わった話をエリカに教えると、エリカは目を見開いて驚いた。Bランクの魔物と言うと、それは災害級の魔物であり、丁度セルゲンレイクに出現した猪型魔物程度の魔物である。
その魔物を確実に討伐出来る実力を持つ冒険者がこれだけ居るのだから、一ヶ月前はその魔物に手も足も出なかったエリカが驚くのは、至極当然な事なのだろう。ただ、エリカはとっくにその程度の魔物なら討伐出来る実力を持っているのだが。
二人が話し、ナケアが興味深そうに部屋の中にいる冒険者を見つめていると、唐突にグロウ達の入ってきた扉が開いた。そして扉の奥から、頭に傷を持った壮年の男性が入って来る。
「試験を受ける冒険者は、これで全員集まった様だな。では、これよりBランク昇級試験を始める!」
その声を皮切りに、Bランク昇級試験が始まった。




