0007安定の聖香(蚊取り線香)
「これは傑作だ! この地のアンデットは倒しても経験値が入らないことさえしらずやってくる馬鹿がいるとは! 冥途の土産に教えてやる! この地の我らを含めたアンデットは深知のエルダーリッチ様の一部末端にすぎん! その経験値は全て深知のエルダーリッチ様にのみ蓄積されている! よって本体を倒さねば経験値ははいらん!」
とゴーストがハイテンションで言葉を放つ。
「貴様また勝手に秘密をべらべらと口が過ぎるぞ! さて勇者よ! レベル1の貴様どもと我との圧倒的実力さのハンデだ! 貴様たちが先に攻撃するのを許そう! この場では狭すぎるな!」
エルダーリッチは骨指をはじくような動きを見せた。
するとあたりの光景が暗転し町の広場に出た。
円形にアンデットが囲み何もなく場所を掻いている。
その中にはラースたちの姿が見える始末する手間が省けた。
どうやら結界がはられているようだ。
「この場ならよいだろう! 我が戦う手出しは無用だ! さあ来るがよい!」
とりあえずエルダーリッチを鑑定。
【深知のエルダーリッチLV150
千年の時を生きる現存する最古のアンデット聖属性以外の膨大なの魔法を操る。
術により町全体のアンデットとつながり常に強化状態にある。
深知のエルダーリッチを倒せば全ての術によりつながったアンデットは消滅する】
また説明だけか、レベルが低いせいかそれ以外の能力を覗くことはできない。
Sランク鑑定でもレベル差がありすぎるからか。
ステータスがみれてもこのレベル差絶望しかねえけど。
「先手必勝まず私月兎ちゃんからポチっな!」
「なんで!?」
俺の頭にタライが落ちた。
『勇者夜空三日月にタライが落ちた! 深知のエルダーリッチの前に聖香召喚!』
「って! 何が聖香だ!? 蚊取り線香じゃねーか!?」
エルダーリッチの前に召喚された蚊取り線香台つきに俺のツッコミが飛ぶ。
「ふっ! 馬鹿な奴め! 我が聖香ごときで倒せるものか! それ以前に我が蚊取りの香が効くわけがあるか!」
俺がですよねーという前に。
「続いて私ね! ポチっとな!」
「だからなんで!?」
俺が大爆発した。
『勇者夜空三日月が爆破された! この町全てのアンデットの前に聖香召喚!』
「って! また蚊取り線香じゃねーか!?」
またもや召喚された蚊取り線香に再び俺のツッコミがとぶ。
「なんだこいつら何をしておる? かりにも戦闘中たぞ? そしてなんでこの感じたことのない異質な魔力どの属性とも違うだと!? 研究材料としては面白いではないか! 死体は綺麗に残さねばならんな!」
「次は私月兎ちゃん! ポチっとな!」
『勇者月夜月兎がボタンを押した! この町全ての聖香をリンクします! 火をつけてください!』
そういやこいつらも職業勇者だったけ。
なんで俺がツッコミ師なんてつくのにあいつらが普通に勇者という職業名なのか知らんが、とりあえず。
「着火!」
俺はとりあえず蚊取り線香に火をつけた。
立ちこめる蚊取り線香の煙。
「ふははははははははははははははははははは! 気でもふれたか! これっばっちの聖香で最強のアンデットである我に効く――あっ!? あれ!?」
「なんで!? もろ効いてる!? これ蚊取り線香だぞ!? アンデットって蚊の分類なの!? って!? そんなわけあるか!」
半透明になるエルダーリッチに俺がツッコむ。
「ええええええええええええええええええっ!? なんで我消えかかってるの!? これぽっちの聖香煙だぞ!? 側近たち助け――って!? 皆成仏してる!?」
一足早く成仏したいかにも強そうなアンデットたちに困惑の色が隠せないエルダーリッチ。
幹部たちと戦う暇なし伏線の投げ捨て半端ねえ。
「なんで!? 我町中のアンデット繋がってこの町にいる限り5将軍最強の魔物よ!? なんでこんなあっさり成仏しかけてるの!? 何この展開!? 予想がつかないってレベルじゃねーぞ!? 周りを囲んでたアンデット一匹もいねーし!?」
すると天使がエルダーリッチの頭上より光とともに天使たちが現れた。
「ええええええええええええええええっ!? 我天の国に迎えられちゃうの!? 我まだ死にたくない!? まだ生きて魔道の神髄をきわめていっぱい活躍してもっと読者アピールしたい!? って!? 読者って誰!?」
あまりのことに困難しわけのわからないことを言い出すエルダーリッチの体を掴む天使。
すると。
「てめえは天の国に入禁じゃい! 天使式パイルドライバー!」
「ですよね!? グバラ!?」【吐血】
天使にパイルドライバーを決められ吐血するエルダーリッチ。
「もういや!? とんずら!?」
逃げようとしたエルダーリッチだが。
「ぱたぱた」
俺が近くに落ちていた平たい板で蚊取り線香の煙を魔法を使おうとするエルダーリッチにぱたぱた。
「ほんとに我成仏しちゃう!? 何この齢1203目最悪の最後!? せめて普通に戦わせて!? あれ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!???????????????????????」
エルダーリッチ蚊取り線香の煙で体が完全に消え去った。
天に上る魂を天使が掴み。
「ダンクシュート!」
思い切りいつの間にかあったバスケのゴールへ叩き込んた。
「我なんだったの!? ほんとになんだったの!? ガク!?」
エルダーリッチの魂は灰になった。
「なにこの酷すぎる敵の倒し方……」
あまりの酷さに妙な虚しさが胸に残る。
これが魔王軍幹部との初バトル……酷え……助かったけどひたすら酷え……いくらなんでも酷すぎる……。
「やったね三日月っち! 幹部一人撃破だね!」
「そうだね! 僕たちの目的に一歩近づいたね!」
「早く帰ろ! 町中のゾンビいなくなったぽいけど残り香が臭いよ!」
「まあまてエルダーリッチと幹部の落としたでかい宝石ぽいの拾ってからだ!」
『勇者たちはエルダーリッチを倒した! エルダーリッチを倒したことで町の全てのアンデット100万の経験値2億5千8百2十獲得! 勇者たちのレベルが70に上がった!』
「なんで!? いやさっき強そうなゴーストが言ってたっけ、全てエルダーリッチのみ経験値が蓄積されてるとか……俺は特にスキルは変わりなしか……お前らはレベル上がって何か変わったか?」