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創造世界紛争  作者: 浅見洋
3/6

黒の異形

「……ツク」

 体のあちこちが痛む、頭が揺れているようだ。

「海か……ここ、どこだと思う?」

 俺より先に起きていたのであろう火村が、わけのわからないことを言い出す。

「何言ってんだよ、見るからにさっきまでいた駅だろうが」

「だってあそこの」

「そんなことより火村、皆が起きたみたいだぞ」

 何かを言いかけた火村を放っておいて起きた皆の様子を見る。

「皆特に外傷はないみたいだな」

「でも体が痛むな」

 皆同じように体が痛いらしく、白井が言った言葉に黄雷と黒田が同じくと反応する。

「陸と渚は?」

「大丈夫」

「ちょっと痛むけどね」

 陸が大丈夫そうで安心した。

「とりあえず状況を整理しようぜ」

 白井が皆をまとめはじめる。

「まず皆が走ってくる電車を見たのは間違いないな?」

 全員が頷く。

「それじゃああの電車は幻じゃ無いのは確かだ、でも外傷らしい外傷が無いのも確かだ」

「でも強い衝撃は感じたわよ?」

「そうなんだよ、渚の言った通り衝撃は確かにあった、要はこの時点でいくつか矛盾店が出来ている……、なんか他に思い当たるところがある人いるか?」

「なんかあそこのえぐれてたとこが」

「なんかここに来た時と雰囲気が変わってる気がする……」

「さっきも言ったけど陸はちょっと霊感あるからな、信用できるな」

「このシスコン野郎!さっきから無視されてんのは俺に信用無いからか!?」

「じゃあこの辺り探索してたらなんかわかるんじゃねえのか?えぐれてた所とか(笑)」

「黒田まで無視しだした!?しかも俺が言ってた事自分の手柄にしようとしてやがる!」

「どっちの手柄でもいいけどえぐれたとこがどうなってんだよ」

 全員がえぐれていた所に視線を向けると……

「……えぐれて、ない?」

 俺の言葉に皆が反応する。

「じゃ、じゃあ私達がいた駅とは違う所ってこと?」

「黄雷がビビるって珍しいな、つまりはここはあの浦見駅なんかじゃないってこった」

 火村がおちょくりながらも冷静に分析している。

「これは、ちょっとここを出て探索した方が、」

 ――――!?

 白井が話していると突然、何故か背筋に冷気が走った。

 ここにいる全員が冷気を感じたようで……

「今の冷気は……」

「扉の先からかな……」

 俺が恐怖で動けない中、白井と黒田は恐怖を無理矢理押さえつけてしゃべっている。

 扉と言うのは改札のあるホールと、線路のあるホームを分離させている扉のことだろう。

 俺はどこからの冷気か見当も付かなかったが、余裕があったのか二人には分かったようだ。

「ちょっと様子を見てくる」

「俺も行ってくる」

 白井と黒田が扉に向かって行く。

「じゃあ私も」

「ダメだ。危険なことは年上のお兄ちゃんに任しときなさい」

 行こうとした黄雷を火村が止めて代わりに行く。

「ちょっと待てよ!」

「待って!行っちゃ駄目!」

 火村と陸がそう叫ぶと同時に、白井と黒田は扉の先を覗いた、その二人の少し後ろで火村は追いつき、俺を含め、他の皆は離れたところで三人を見守っている。


 俺が話している途中だったからかすぐに分かった。

「やっぱり変な感じがするな」

「黒田は霊感あったっけ?」

「……ないよ……たぶん」

「そっか」

「それじゃ開けますか」

 俺と黒田はゆっくりと扉を開けた。

 正面には何もないようだ。

「なんだ何もいねーぞ」

「でもこのホール横にも広かったはず」

 俺がそう言うと黒田はホールを覗き込もうとした。

 俺も一緒に覗き込もうとすると……

「ちょっと待てよ!」

「待って!行っちゃ駄目!」

 後ろから大きな声がした。

 二人の言葉が誰に向かって言われたのかは分からないが、その言葉に反応するにはもう遅かった。「「……ツ!?」」

 覗き込んだ先にいたのは、まるで雲のような、黒い、形のままならない、まさに異形ともいうべき何かだった。

 ザアアアアア

 まるで砂のように形状を変えた何かはまるで……怪物の牙。

「っぶねぇ!」

「うおっ!」

 ガキィィン

「戻るぞ黒田!」

「わかってる!」

 何かはまるで水のように成形されていた形を崩し、スライムのように集まっている。

 今がチャンスだ、俺と黒田は全力で後ろに下がった。


 ガキィィン


「なんだ!?」

 大きな音と共に白井と黒田の騒ぐ声が聞こえる。

「「みんな逃げろー!」」

「なんだ?どうしたお前ら!?」

 慌てて戻ってくる白井と、困惑する火村。

「「はぁはぁ」」

「ど、どうしたの?」

 渚が二人に開きながら水を渡そうとすると、白井が慌てた様子で扉の方に指差した。

 皆が扉の方を見ると……

「ひっ!?」

「なんだあれ!?」

 黒い何かと……

「お兄ちゃん!」

 取り残された火村。

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