ぷろろーぐ
*打ち切りエンドてきに終わります! ご了承ください。
できたてのご飯を自分のお茶碗によそって、お味噌汁、おかずと食卓に運び込み。
六人掛けのいつもの指定席。自分の席について、両手を合わせて
「いただきます」
一口、二口と食べ進め、半分ほど食べ進めたところで玄関の扉が開く音。
「ただいまー」
「おかえりー」
帰ってきたよーのその声に、持っていた箸をおいて返答しながら席を立ちむかうのはキッチン。
さてさて、今日はどのくらいお食べになりますかー?
用意していたお茶碗を左手、もう片方にしゃもじをもって。
「ご飯どのくらいー?」
「いっぱーい」
洗面所から届いてきた返答に、あれあれ今日もお腹がすいてますねー。
一つ頷きご指定通りに山盛りにしてあげる。
お味噌汁はさっき温めたばかりでまだあったかいし、それに翔くんは私に比べると猫舌だから、これぐらいの温度でばっちりでしょっと。
ご飯よーし、お味噌汁よーし、おかずもおっけー。
飲み物は自分のがあるはずだし、なかったらなかったで自分で注ぐだろうし、これでばっちり。
翔ちゃんの分、よーし。
「できたよー」
「んー」
自分の席に座ったタイミングで、洗面所から帰ってきた翔くんが制服からだるだるの部屋着になってご登場。
予想通りに、その手には飲みかけのペットボトルがぶら下がっていて。
まっすぐ自分の席である、私の目の前の席に座ると両手を合わせてご挨拶。
「いただきます」
「めしあがれー」
翔くんの声に応えて、さぁ私もご飯の続きです。
ご飯をたべながらなんとはなしに翔くんを見ていると、食欲旺盛を地でいく年頃だという翔くんは、これでもか! と山盛りによそったご飯を、もりもり食べる。
変にダイエットとかしていない、健康体である平均女子高生と自称する私の三倍は、もりもり食べる。
それはおいしそうに、いつもきれいに残さずに。作り手側としてはとても喜ばしいことです。
ありがたや。
けれど、果たして食べたものの行方がどうなっているのかが気になるところ。
同じ遺伝子のはずなのに、どうしてこうも私と違って細身なのか。
同じものを食べてるはずなのに、どうしてこうも私にだけ身になっていくのか。
水を飲むだけで太る説はこの生命体には通じない。
ご飯だけじゃものたりずに、夜中にさらに夜食と称して色々なものを自由気ままに食べることもあるというのに。
まったくの、不公平。
もはやこれは遺伝子どころではなく、生命の神秘である。
そして今日も今日とて、生命神秘論に片足を突っ込んでいる私を知る由もなく、私の目の前でみるみる内にへっていく翔くんのご飯。
それはあっという間に消え去って。
「ごちそうさまでした」
いっしょにどころか遅れて食卓に着いたはずなのに、いつものごとく翔くんは私よりも先に食べおわり。
タイミングがあわなかった私は軽く頷いて、おそまつさまでしたと心の中で返答すると、翔くんもそれを分っているからにかっと笑って席を立つ。
自分の食べ終わった食器をもって、キッチンへの道を一歩踏み出そうとしたところ。
「あぁ、めいちゃん」
ん?
なにやら今日は続きがあったみたい。
少しばかり振り返り、ご飯途中の私を見る翔くんに軽く首を傾げてなぁに? と言葉を待っていると、
「明日、こーたくるから」
さらりと告げられた言葉に、私は一つ瞬きし。飲み込んでから、笑って返す。
「分かった。何か作っておくね」
さて何を作ろうかと、頬を緩ませ嬉々として考えはじめた。