2 柵
猫がウチにやってきた時、生後二月ほどだった。わたしが片手で掴めるくらい小さかった。小さいということは隙間に入りやすいということだ。気をつけて見ていなければ。
最初は一部屋で過ごさせ、徐々に行動範囲を広げていこうと思っていた。その部屋にケージを置き、そこを中心に活動させる。隣の部屋との境には柵を置き、行けないようにする。
実は当初、柵を置く予定はなかった。引き戸を閉めれば良いと思っていた。しかし、引き戸には隙間があり、猫の頭が挟まってしまったのだ。わたしは猫の悲痛な声にびっくりし、この引き戸は閉められないと思った。それで柵を置いたのである。
柵は子猫には越えられない高さだったし、わたしが同じ部屋にいることで安心しているのか、猫が柵を越えようとはしなかった。
しかしわたしが隣の部屋でごはんを食べている時、後ろでドンッと大きな音がした。後ろを振り返ると、椅子に座っているわたしと同じ位の高さのあるごみ箱の上に、猫がいた。
えっ、どうやってそこに?
わたしは家具の配置を考える。どうやらキャットタワーに登り、横にあるテレビの上を歩き、そこからごみ箱の上に飛びうつったようだ。
これでは柵をしていても意味がない。
結局、柵は一週間程でリサイクルショップ行きとなった。