6 トイレ
一般的に、猫は綺麗好きだと言われている。そのため、ウチには猫用トイレが二つある。一つは、開け放してあるケージの中、もう一つは、わたしの寝室だ。
トイレが汚いと、別の場所で粗相をしてしまうこともあるらしい。しかし、ウチの子(猫)は、トイレの失敗例がない。間違えてベッドやソファの上にしたこともない。自分のトイレはここだ、と分かっている。何故分かっているのかは知らないが、トイレが汚いと、わたしに訴えてくるのだ。
ケージのある部屋は居間で、わたしはよくそこにいることが多い。猫はケージの中のトイレを使う時に汚れていると、わたしに向かって声をかける。
「くぅ」
その声に振り向くと、猫はトイレの端に手を置き、こちらを見ている。まるで、「トイレが汚いから入れないわ。早く綺麗にしなさいよ」と言っているようだ。だが、わざと汚くしているわけではない。猫が先ほど「小」をしたため、トイレの砂が固まるのを待っているのだ。
「向こうのトイレは綺麗だから、あっちでしてきなさい」
一応、猫に寝室のトイレを薦める。しかし、それが通じることはない。ケージの中でトイレに手を置いたまま、無言で、じーっとこちらを見ている。どうしても、ケージの中のトイレに入りたいようだ。
わたしは仕方なく、ビニール袋を持ち、掃除しようとすると、猫は、すっとケージから出てくる。そして掃除が終わると、ケージへ入ってきてトイレの匂いを嗅ぐ。猫は綺麗になったトイレに満足したように、中へ入り用を足す。香しい匂いが漂ってくる。ざっざっと砂をかける音がする。その後、満足したように尻尾を立てて、猫が出ていく。
猫の手足となりわたしが掃除をするため、ウチの子(猫)のトイレの失敗例はないのかもしれない。
今日から、一日二回投稿します。時間は朝夕を考えています。
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