1 目覚め
うーん、重い。重いよ。
まだ重い瞼を開けると、お腹に毛玉が乗っている。猫である。しかし、猫は起きていて、こちらを向いて様子を伺っている。わざとだ。わざと起こすためにお腹に乗っているのだ。しかし、ここで怒ってはいけない。ただ、ごはんの時間だから起こすのだ。
「…おはよう。ごはん食べるの?」
「くぅ」
猫は返事をして立ち上がる。お腹の上で。痛い!足が食い込んで痛い!わたしは、我慢して猫を撫でる。猫は満足したように床に降りる。わたしのお腹を蹴って!痛いっての!しかし我慢だ。これしきのことで怒ってはいけない。わたしは起き上がり、ベッドの端に座る。すると猫が膝の上に上がってくる。朝一のもふもふだ。頭を撫でると頬をわたしの手に押し付けてくる。掻いて欲しいのだ。頬を掻いていると、気持ち良さそうに目を細め、右に左にと顔を動かし、掻いて欲しいところを要求する。むふ~んと、もっともふもふを堪能したいが、朝は忙しい。と思っていると、スキンシップは猫の甘噛みで終了となる。わたしが立ち上がる素振りをすると、猫も膝から降り、尻尾を立ててキッチンへ向かう。
さあ、朝の始まりだ。




