レヴェルトと危惧
シャロンの弟、レヴェルトsideです。
シャロンの病気を発見してあれから一年と少しが経った。
シャロンの現在の状態はあの頃より少し元気が無くなったというぐらいで、今の所大きな変化は特に見られない。
俺が魔力欠乏症、並びに魔力過多精製症という病気を発見したのははるか遠くにある東国の文献を読んでいた時だった。
シャロンと似たような症状が記されており、自分でも研究を進めた結果、それは姉の病気に該当すると判断した。
この文献は妹のアマリーが珍しい本を読みたいと言うことで取り寄せた物の中に混じっていた物だった。
実を言うと、この文献はノンフィクションの恋愛小説。
だから、アマリーのお陰で発見できたに等しい。俺が恋愛小説を読むことなどまず無いから。
その本を頼りに俺は東国の研究にあたったが、あまりに遠すぎる立地の為か、資料はなかなか手に入らない。
ゆえに難航することも多々、加えて宮廷魔道士という身分の為にそちらの仕事もこなさなくてはならない。
俺は焦っていた。姉の命は自分にかかっている。
そう俺が考えていることが分かるのか、姉は無理しなくていいんだよ、と俺を慰める。
そんな姉に俺はさらに焦燥に刈られる。
もう成人するまで残り三ヶ月をきった。
姉の成人の儀と披露パーティは誕生日が遅いため中等部を卒業してから行われる。
それからは夜会や舞踏会、茶会など様々な催しに招待され忙しくなっていくだろう。
そうなれば高等部に上がり、勉強と両立させていくことは大変になって行く。
姉の身体が今後どうなって行くかは分からないままそうなっていくことに俺は心配の種を抱かずにはいられない。
先月、この国の王子と王女も成人の儀を迎え、同時に王子の立太子の儀も執り行われた。同い年の王族がいると言うことは、バレンスエラ公爵家の姉も必然的に注目されるだろう。
注目をされることで、もし姉の予知能力がバレてしまえば、姉は周りから奇異の目で見られることは間違いない。
その様なことが無いように、姉には言い聞かしてきたが、まさか両親にも告げていないとは思ってなかった。
両親には言った方が良いと言ったが、姉は心配かけたくないからと首を縦に振らない。
俺から伝えようと思ったが、姉が望んでいないことをするのは気がひけて今も姉の病気の事は俺しか知らなかった。
早く姉のパートナーが見つかって欲しいと願ってやまない。
姉には魔力欠乏症の人と魔力過多精製症の人は互いに魅かれやすいと言ったはいいが、実際問題、この病気はマイナーで、なっていたとしても本人は気付かないことが多いだろう。姉の様に。
姉からも特別そう言う話は聞かないし、俺が探したほうがいいのだろうか。
史上最年少宮廷魔道士と持て囃される癖に、姉の病気一つ治せないなんて本当笑える。
けど、絶対に諦めないと俺は誓った。