12月の愛音
今年は君に会えてよかったなぁ。。。
君を待ち、木にもたれ、行き交う人を眺めながらもつくづく思う。
もしかすると去年も一昨年も僕たちは出会えていたのかもしれないね。
でも横の人に目もくれずに歩く日々だから、正面に向かい合えたのは今年が初めてだった。
あの日も天気予報は見事に外れ、活躍の機会を失った傘たちは木漏れ日に照らされながら、せめてもとカラフルな色を反射させていた。
長年嫌いだった雨を僕は好きになった。
太陽を見ても、雫を見ても、出会ったあの日を思い出すから。
君に会えてよかった。
たとえ別れが来るとしても。
ずっと一緒にいれるとしても。
今年増えた僕の特技。
雑踏の中、たった一人の足音を聞き分けられるようになったこと。
きっと街は愛する人の足音で溢れていて、きっとそれぞれが、それぞれの最愛の人の音なんだろう。
あぁ、なんて素敵な世界の愛の音、足音。
ありがとう。
君にありがとう。
許されるなら来月からも僕に向かって歩いてきて。
今みたいに、走ってこなくてもいいから。
遅れても僕は、ずっと君を待っているから。
響かせて、愛音。