ハーラと綾野(SA番外編)
魔族と人間は外見は違いないです。
ハーラは昔、魔王を務めていた魔族だった。周りには世話係の魔族の女性が多勢いまして、その多くが彼に思いを寄せていました。しかし、ハーラには人間の彼女がいました。綾野と言う名前の女性でした。彼女は明るい性格でしたが、付き合い初めてからはハーラにやたらと依存していました。
ある日、ハーラの城のある部屋で
「あのさあ、私のハーラに色目つかわないでくれるかな?」
綾野は機嫌が悪そうに世話係の女性の一人に迫った。
「ふん、あなたは人間でしょう? 人間なんてハーラ様には釣り合わないわ。あなただってわかっているんじゃない? それに比べて私たち魔族は寿命もあるし、美しい者も多いし、あなたなんかはハーラ様の目障りなの」
ドゴォ と、音がした。綾野は鉄骨を右手に持っている。
「黙って。釣り合うかどうかは私とハーラが決めるんだから」
「っ! やったわね! 私は魔族なのよ? あなたみたいな人間なんて...」
その言葉を無視するかのように鉄骨を引きずって世話係に近付く。
「そうね、たしかに人間よ。...でも、普通じゃないのよ!」
そう叫ぶと綾野は鉄骨を振り下ろし...
「綾野、何やってるんだ...?」
「ハーラ...」
「ハーラ様!」
綾野は踏み寄って、
「ねえ、ハーラ、魔族より私の方がいいよね?」
「え、ああ、俺はお前が一番だ」
すると綾野のさっきの恐い表情は嘘のように消えて、
「ありがと、うれしいな。ねえ、今日は暇でしょ? どこか行こうよ」
「ああ、分かった」
ハーラが綾野に拘束されているように思っていた世話係だったが...
一瞬だけ、ハーラの手から綾野の首に鎖のような物が繋がっているように見えた。