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学校にて Ⅱ

「今からずっとずっと昔、大雨が何百年も降り続きました。そしてその雨によって海ができ、最初の生物が誕生しました」

「先生。その話はもう聞き飽きたよ」

 黄色のスティックの少年が、手を挙げると同時に口を尖らして話を遮った。ほかの生徒もほとんど全員が首を縦に振っていた。

「いいから、最後まで聞きなさい。これはすごいことなのよ」

 教師は少年の言葉を無視し、再び話始めた。

「その後、生物は進化を遂げ、私達の祖先である人類が誕生しました。人類は様々な道具を駆使し、繁栄を築きました」

 女性教師が、生徒達の顔を見渡す。多くの生徒が机の上を片付け始めていた。彼女は構わず話を続ける。

「しかし、それは長くは続きませんでした。何百年も降り続く大雨がまた起こってしまったからです。それでも人類は、何とか生き延び、絶滅は免れました」

 教師は一度、間を取った。ほとんどの生徒の注目が彼女より上の時計に注がれている。

「雨が止んだはいいものの、海面が上がり、波も荒れていたため、陸の孤島がいくつもできてしまいました。人々の行動範囲は狭まり、徐々に衰退していく一方でした。彼らはすることがなく、きっと空を見上げて日々を過ごしていたことでしょう」

 教師は声を少し抑え、感情を込めて続きを話す。

「そんなある日、人類の間で突然変異が生じました。今の私達の原型です。当時の人達はその姿に希望を持ち、またその奇跡により神の存在を信じるようになりました」

 教師がまた一呼吸置いたちょうどその時、チャイムが鳴った。

「中途半端だけど、ここで終わりにするわね」

 女性教師はそう言うと、教室を出て行こうとした。スティックを持つ少年は、もうすでに数人の男の子と共に教室を出ていた。

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