橋の上にて
強い日差しが照りつけている。町中にあるアーチ型の橋のちょうど真ん中にワンピース姿の少女は立っていた。橋はコンクリートのブロックが積み上げられてできている。いくつかのコンクリートブロックは表面が欠けていて、その古さを示していた。
少女は手すりの上で腕を組み、その上に自分の顎を乗せ、橋の下を流れる水を眺めていた。水は澄んでいて、底に丸石が敷き詰められている様子までもがよくわかる。
橋の上はたくさんの人が行き来している。そして、その全ての人が少女の後ろ姿をじろじろ見ていた。誰一人例外なく。少女は当然そんな視線を感じているが、まったく気にしていない様子だった。ただただ何も変わらない水面を眺めていた。
やがて少女は顔を上げ、橋を降りようと歩き始めた。すると今まで少女の身体を照らし続けていた光が突然消えた。しかしそれは一瞬のことで再び光が差し始めた。少女はまた歩き始めようとする。だが数歩進んだたところでまた一瞬光が遮られ、彼女は立ち止まった。少女の耳には罵声が聞こえていたはずだが、視線を上げることも下げることもなく、彼女はただまっすぐ前だけを見つめている。そして再び歩き始めた。