自分の部屋にて・・・
気が付くとそこは、ところどころが白く欠けた世界だった。正確には、声だけしか聞こえない教室。そんなの教室で、俺は一人授業を受けている。
また、あの夢である。
一か月に二回ペースでこの夢を見てしまう。
だから正直、この夢はもう慣れた。
だけど由紀が言うには、この夢を見ているとき俺は、相当唸っているらしい。
「ぅ・・・・」
俺は、目を覚ました。ここは寮で、俺の部屋だ。ルームメイトには由紀がいる。ベットは俺が上を使っている。しかし気のせいかもしれないが、天井が低く、俺の顔の近くにある気が・・・
「大丈夫?だいぶ唸されてたけど・・・」
どうやら、俺がまた唸っていたせいで、由紀が心配して顔を覗き込んできたらしい。
「って、あぁああああ!」
「うわぁあっ」
俺は思はず大声で叫んでしまった。それも仕方がないだろう。由紀は男ということになってはいるが、見た目は女の子なのだ。そんな奴に、寝ているとき至近距離まで顔を近づけられていたら、誰でも驚くだろう。
「な、なに?どうしたの」
「近い!顔が近い!大丈夫だから少し離れてくれ・・・」
「う、うん・・・」
由紀は顔を近づけるのをやめて、床に座る。
「はぁ、はぁ・・・心配してくれるのはありがたいんだが、顔を覗き込むのはやめてくれ」
「ごめん・・・それより、唸されていたってことは、またあの夢?」
あの夢―――おれがさっきまで見ていた夢のことだ。俺が、時々この夢を見てしまうのは、瀬奈たちも知っている。
「あぁ、そうだ」
「頭は痛くない?」
「大丈夫だ、心配しなくていい」
俺がこの夢を見るときは決まって、この日か次の日に頭痛が来る。早ければ、夢を見た後すぐに来る場合がある。
「ありがとな、心配してくれて」
「感謝されるようなことでもないよ。あ、もうこんな時間。僕もまだ朝食食べてないから、行こ」
時計を見ると、時刻は九時。こんな時間まで寝てしまっていたのか・・・
俺は、二段ベットの上から飛び降り、服を着替えた。
「よし、行こうぜ」
俺は由紀と一緒に食堂へと向かった。