俺を助けたのは・・・・・
夢の中、そこは学校の教室。
誰もいない教室で、授業を受けている。
いや、人はいるかもしれないが、姿が見えない。声は聞こえる。ただその声は、男なのか女なのか、老人なのか子供なのかもわからない声。
休み時間、俺は姿が見えない誰かと楽しそうに話している。
会話でも、人の名前と思われる部分だけ、うまく聞き取れない。
そんな夢を、俺はまた見ていた。
「―――――ッ!?」
また、あの夢か・・・・・。あの夢は、本当に俺の記憶なんだろうか?
「あ、城谷君。目が覚めた?」
「瀬奈?どうしたんだ・・・・」
「どうしたもこうも、瑛司がぶっ倒れたんじゃないか」
「・・・・・倒れた?」
「ふん、敵の前で気を失うなんて。情けねェ」
何を言っているんだろう・・・いや、そういえば俺は、何かと戦っていた。
「まったく、お前らあんな機械ごときに手こずりやがって」
「一番最初に、やられた奴が言うセリフか、お前」
機械・・・・・・・思い出した、俺たちは敵の支部でバグの核を壊すため、よく分からない機械と戦ったんだ。確か、機械が俺に向かって突っ込んでくるときに、俺は意識を失って・・・・・
「ッ!?そうだ、俺はあの後どうなったんだ?」
「「「・・・・・・・・」」」
沈黙が流れる。
「え?どうして、黙るんだよ」
あのまま突き飛ばされた・・・・ってわけではないのか?。なら、あの後どうやって助かったんだ?
「城谷君」
「なんだよ、改まって」
「城谷君はね、あの機械に突き飛ばされる寸前に助けられたのよ」
「・・・・・そうなのか」
死なないとはいえ、大けがをすれば数日は痛む。だけど、今の俺に痛みはないから、飛ばされていなかったようだ。
でも、誰が助けた?
「なぁ、あの時誰も俺の近くにいなかっただろ。誰が助けたんだ?」
あの時は、みんな俺の近くにはいなかった。長谷川なら、あの距離でも一瞬で移動できそうだが・・・・・
「えっとね、それは・・・・・・」
「・・・・・・・?」
なぜか瀬奈は、少しためらっている感じがする。どうしてだろうか?
「それは・・・・誰なんだよ?」
「えーと・・・・」
瀬奈は、少しためらいながらも自分の後ろにいる人を前に出す。
俺の前に出てきた人は、背が低くて髪が白い女の子。
「・・・・・・・」
シンだった。