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M/K:AD KILLERS  作者: 見里広司
1/1

現時

 ああ、どうしてこうなったんだろう。


 生き生きとしていたあの日々はどこへ逃げてしまったのだろう。


 鬱陶しいほどぎっちり詰まったあの日常は、どこへ逃げてしまったのだろう。




 平田「何書いてんの?」

 見里「わっ」

 平田「お前さっきからノートにへばりついて一体何を書いてたんだよ...」

 そうだった。今日は休み時間にドッジしにいくんだった。

 見里「すまん、つい熱中しちまった。」

 平田「文学少年もほどほどにしとけよー、亀谷でもあるまいし」

 亀谷「あん?」

 平田「ひえー」


 変わらない日々が今日も過ぎていく。そんなふうに思うのももう年の瀬だからだろうか(小4)。三言小学校の春は何度でも来てすぐに去っていく気がした。クラスメートの平田、吉岡、多賀とまた今日もドッジをして遊ぶ。この学校の4年生にはクラスという概念はない。それこそ高学年はABで分かれているけれども、低学年、中学年、高学年ABの4クラスしかこの学校にはなかった。どこの代の校長がしたことなのかは分からないが、高学年のうち成績のいいAクラスのうち特に成績の良い小6が、自分のクラスや、低学年のクラスに教えに来る。こんなの労働基準法違反だと、一人の小6がぼやいていたが、そんなことはどうでもいい。


 元々は18クラスある地方では栄えた学校だったが、今となっては市に唯一残る普通の小学校だった。教員の人数不足が指摘され始めたのはこの前の4月、市議会議員の自分のおじさんが質問したことを皮切りに次々に明らかになった。3校ある義務教育校の、東、西、中央ではまだいる方ではあるものの、特にこの三言小学校が粗悪な環境であるとして改善案を出したところ、市長は、

「現時点の市内での人材確保はかなり難度が高く、教育現場のような問題の解決に時間を要することが許されない環境では、人材ではなくその他の教育資源を投入する可能性がある」

と答えたという。おじさんはこれについて

「その他の教育資源と言ったら何があるんだ...」

と自分の議会議員の立場を守るために必死に詮索していた。


 もちろんこの話は他人事ではなく、児童側からしても不満は大きいものだった。


 このその他の教育資源について、市からアンケートが配られた。

 雪先生「来年度からの学習環境、つまりみなさんが学ぶ環境についてのアンケートです。みなさんの思うことを存分に書いてください。」

 先生が配ったアンケートには、

  {来年の、担任の先生が、アンドロイドになることに不満を感じる}

という項目があり、まさかと思った天才少年見里は早速おじさんに内容を伝えた。


 平田「へーい、パスパス」

 見里「思ったけどこのドッジ人数少な過ぎじゃね?」

 多賀「うるせー!細かいことは気にすんな!!」

 僕らのドッジはドッジではない何かだった。足と手を使って相手のボールを奪うゲームで、それはまさに、バスケットボールとサッカーの融合だった。不思議なことに、このルールをなぜか体育でも採用しており、全校生徒でドッジをするときも、このルールは共通だった。


 どことなく毎日に不安を感じさせる様々な要素が、少しずつ大きくなっていっている気がする。

 自分の体のどこが悪いわけでもないのに、妙な胸騒ぎがする。

 何か先の未来を少し考えるたびにすごく頭痛がする。

 そうして暗いことを考えるうちに1日が終わってしまう。


 どうか、何事も起きませんように。


 そう祈りながら、静かに1日を終えた。

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