【プロットタイプ】突然居なくならないでね
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
社会人の別れって、突発的なの忘れてました。
「あんまりこんな事言いたかないけど……突然居なくならないでね」
帰って来て、無表情の鏡花が言い放った言葉はその一言だった。
――あぁ、そうだ。それと私、今月一杯で会社辞めるんで。
そう淡々と言われた時、どう反応して良いのか分からなかった。
元々、その方にはお世話になっていた。困っている時によく声を掛けて戴いたし、先回りして参考になる資料も渡して下さった。仕事の出来る方だった。気の回る方だった。灰桜の雰囲気のする方だった。
別れなんて、社会人になってから幾度となく頻繁に経験してきた。私から別れを切り出す事もあったし、向こうから言い渡される事もあった。珍しい事ではない。けれどもやはり、幾度宣告されても慣れる物では無かった。
――お世話になりました。……本当に。
出来るだけ何でもない顔で言った事を覚えている。驚く事も悲しむ事もせず、ただ業務の報告を淡々と告げる様にそう伝えた。それだけが私が出来る唯一の餞別だった。
帰って来てからずっと俺にしがみついている。抱き着く前にスマホを持っていたので、今の心情を小説にしているか、誰かの連絡を取っているのだろう。
「何してるんだ。飯食うぞ」
「……うん」
「食いながらでも話は出来るだろ」
「……うん」
そう言うと、渋々首に巻き付けていた腕を離し、虚ろな表情のまま冷蔵庫から作り置きを出して夕飯の準備する。そうしながらゆっくりと口を開いた。
「お世話になった先輩が今月で辞めるって聞いて……それで」
社会人になって別れと言うのは日常の一幕でしかない。転勤しかり、異動しかり、退職しかり、其れらはさも当たり前の様に転がっている。
だからこそ、卒業式のように泣く者はおらず、ただその影を追うことなく見送る。鏡花も本日何でもない顔で世間話をしたのだろう。淡々と『お世話になりました』とだけ宣言して、業務の報告に移ったのだろう。それでもやはり、傷が癒える訳ではない。
「瑠衣は私と一緒に居てくれてるけど、諭羅や麗衣はそうじゃないから……。距離あるし、会ってるの最低でも一ヶ月に一度だし……だから」
「お前が望む限り、彼奴らは嫌おうが傍にいる。心配なら連絡の一つでも送ってやれ」
麗衣が鏡花を嫌うことはないだろうし、諭羅もきっと文句を言いながら傍にいる。だからそんな素っ気ない別れではない。もう少し温もりのある別れだと感じている。
私は結構転々とする人生だったので、今も転々としてます。同じ場所にはずっと居ない気がします。
でもこれ、私だけじゃない。珍しい事でも何でもない。社会人の日常。
転職とか、退職とか、普通にある。
だから皆、過度に泣くことも苦しむ事もせず、影を見送るんです。
居なくならないで。
って本当は皆言いたいのかも知れない。
でも、引き止める権利が何処にもない。
だから、あえての餞別で日常の一幕として、サヨナラ言うんですよね。
今まで書いてきた登場人物、名前を忘れてしまう人間だけれど、やっぱり寂しいよ。