ひまわりの愛
最初で最後の短編小説。
「チュッ」
「公太郎」
「なあに? ミキちゃん」
「ちゅき」
「ぼくも大好き」
愛の言葉を交わした後、再び熱いキスをした。
「チュッ チュッ」
公太郎が小柄でかわいいミキと付き合いだしたのは、ひまわりの咲く季節になった頃だった。
治安のよくない地方都市ではよくあることだが、男たちに囲まれて困っていたところを助けてくれたのが公太郎だった。
公太郎はこんな町では珍しく正義感の強い男だった。
女性だけでなく、男性にも優しくて頼りがいがあって仲間からは慕われる存在ではあったものの、荒んだ町にはそういった存在を少なからず煙たがる輩もいた。
髪を染めた不良グループは何度か公太郎に嫌がらせをしてきている。
「カリカリカリカリ!」
「ミキちゃん、そうカリカリしなさんなって。かわいい顔が台無しだよ?」
カリカリしているミキを優しくなだめるが、ミキの怒りはおさまらない。
「だって! 悪いのはあっちなのに、影に隠れて嫌がらせなんて! もう我慢できない。私、直接文句言ってくる!」
そう言うとミキは、公太郎の制止を振り切って不良グループの元へと向かった。
「おやおや、これはこれはミッキーちゃんじゃないですか? どうかしたの?」
不良グループは嘲笑いながら、ミキを挑発した。
「あんたたち! 隠れて嫌がらせなんて真似して、恥ずかしくないの?」
「俺達がやったって証拠でもあんのか? まさか証拠もないのに決めつけてるんじゃないだろうな?」
「うう、それは……。」
「おいおい、それはないでしょ? ひどいよ? ミッキー。そんなひどいこと言って傷付けたんなら謝ってもらわないとな」
「ごめんなさい」
「そんな謝罪の言葉なんかで俺達の心の傷は消えないな。身体で払ってもらうしかないな。野郎共、やっちまえー!」
不良グループがミキに襲いかかろうとしたその時……。
「やめろー! 僕のミキちゃんに手を出すなー!」
公太郎がミキに追いつき、助けに入った。
「野郎共、男は邪魔だ。やっちまえ!」
不良達が襲いかかるが、公太郎は次々となぎ倒していく。
「野郎共、囲んでから一斉にかかるんだ」
不良グループが公太郎を取り囲み、一斉に襲いかかる……。
「やめてー!」
ミキの悲痛な叫び声をあげる。
不良グループ達が公太郎を囲んで襲いかかった。
ミキはそれでも公太郎が勝つことを願ったが、不良グループ達が吹き飛ぶことはなく動き続けた。
しばらくすると不良グループが動きを止めた。
「頭~! 動かなくなりました」
「やりすぎなんだよ、おめえらは。まあいい、今日のところはひきあげるぞ」
「へい、頭~」
「公太郎ー!」
恐怖で動けなくなっていたミキが、公太郎の元へと駆け寄った。
「ミキちゃん……。僕はもう、ダメかもしれない」
「公太郎、そんなこと言わないで」
「自分ではわかるんだよ。もう靄がかかったみたいに目が霞んできた」
「公太郎……」
「どんどん靄が濃くなっていく……。 ゲホッ、ゴホッ。風邪、かなあ? お熱、ある?」
「ねえよ! 公太郎……。なんだか私まで靄がかかったみたいに見える」
その時、シューッというけたたましい音をたてながら二人のまわりに煙が立ち込めた。
「これが天国に向かうときにわたる三途の川ってやつかな? ゲホッ、ゴホッ」
「なんだか幻想的ね。ゲホッ、ゴホッ。でも、私まで息が苦しいわ」
「まさか、不良グループの仕業なのかな? ミキちゃんまで苦しめるなんて!」
「いいの! あなたと一緒にいけるのなら幸せよ」
「ミキちゃん……大好き…だ…よ」
「公太郎? 公太郎ー!」
動かなくなった公太郎を見つめているミキも苦しくなってきた。
「公太郎…私もお迎えが…来たみたい…待っててね」
「公
太
郎」
ネズミ-ランドは今日も賑やかだった。
了
大好きなのはひまわりの種




