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星の勇者  作者: アシラント
146/157

公式戦 レイジvs昆布

バトルマスタータウン公式戦の全ての一回戦が終了して、勝ち残った者の二回戦が巡ってきた。はじめにサライヤンが両腕を負傷した状態であったものの、蹴り一発で二回戦を勝利した。

 そしてドナルドも一撃で相手選手を気絶させて勝利した。

 そしてついにレイジと昆布の対決がやってきた。


「それでは!!続いての試合はー?昆布選手vsレイジ選手!!!両者、ステージにお上がりくださーい!」


マイクマンに言われてレイジと昆布はステージに上がって行った。その途中で昆布は緊張で落ち着きのない様子でレイジに言った。


「うわー!?つ、ついに、兄貴と対決するんでござるねー!?ううぅ。拙者、緊張で汗が止まらないでござるよー!」


昆布は(ひたい)からダラダラと汗が垂れながら言った。レイジはいつもと様子の違う昆布に心配になった。


「お、おい?大丈夫か?昆布?」


「だ、大丈夫でござるよ!へへへ。大丈夫。大丈夫...。」


昆布は親指を立ててそう言ったが、とてつもなく引きつった笑みを浮かべており、目は泳ぎっぱなしで、全く大丈夫そうには見えなかったのでレイジは余計に心配になった。


「明らかに大丈夫じゃない顔してるぞ!?本当に大丈夫か!?...なんだったら、降参してもいいんだぞ?その方が、俺も楽だし。」


レイジはそう言ってみたが、昆布はブンブンと頭を横に振って否定した。


「いやいやいや!それはさすがにできないでござるよ!拙者、実は兄貴と本気で戦える機会をひそかに待っていたんでござるよ。何しろ、拙者は兄貴の性格はもちろんのこと、その強さにも惚れているでござるからね!」


昆布の告白にレイジは少し戸惑った表情を浮かべた。


「お、おう。そうか。...なんか、そう面と向かって言われると、照れるな。」


レイジは戸惑いと照れの感情がまじりあった複雑な面持ちで言った。そして昆布はフフフッとさわやかに笑うと、少し暗い表情を見せて話し始めた。


「...まあ、兄貴の強さ...というか、人生に少し嫉妬するところはあるでござるが、まあ、それでも、大好きでござるよ。兄貴。」


昆布は本当に、本当に複雑な表情を浮かべ、その心中を察することができない発言をした。レイジは理解できずに聞き返そうとした。


「...ん?俺の人生に嫉妬...?それってどういう...?」


しかし昆布はパアッと明るい表情に切り替わって笑顔で言った。


「さあ!おしゃべりはそのくらいにして!!さっさと位置につくでござるよ!ほら!観客も待っているんでござるし!」


昆布はそう言って走り出してステージの位置についた。レイジは昆布の発言に引っかかるところがあったが、後で聞けばいいかと思い、位置についた。するとマイクマンが宣言した。


「さあ!それでは参りましょう!昆布選手vsレイジ選手!!!試合開始です!!!」


マイクマンの宣言と同時にシールドは展開され、ステージを覆いつくした。そして観客の声が聞こえなくなったと同時に昆布は右手に装着された武器『ホワイト』のやいばを出した。


「それじゃあ兄貴!正々堂々と勝負でござるよ!!手加減は無用でござる!!!」


そう言って昆布は右手を動かして、ホワイトをまるで空を泳ぐ龍のように操った。レイジは名刀『憤怒の魂』を抜刀した。


「...ああ。まあ、確かに、俺の学んだ波動拳を本気でぶつけられるのは、実力を知っているお前かドナルドくらいだろうしな。魔族との戦争で使い物になるかどうか、試させてもらうぞ?」


レイジはそう言って刀を強く握った。その言葉に昆布はニッと笑った。


「いいでござるね!実は拙者もそんなことを思っていたでござるよ!じゃあ、行くでござるよ!?兄貴!」


昆布はそう言って右手を前に突き出してホワイトを突き出した。それをレイジは右へと走って避けた。


「おお、意外と速いな。そのホワイトって武器。」


「へへへ!結構練習してたでござるからね!それに、ホワイトのすごさは速さなんかじゃないでござるよ?それを見せてあげるでござるよ!!」


昆布はそう言ってホワイトの刃の部分を引き戻し、2メートルあたりで分離させて弓状に変形させた。そして刃の1枚をホワイトから取り出して矢にして弓を引き絞り狙いをつけた。


「どうでござるか!?これがホワイトのすごさ!蛇腹剣(じゃばらけん)だけの使い方じゃなく、こうして弓矢にすることもできるんでござるよ!この汎用性の高さこそがホワイトの一番のすごさでござるよ!」


そう言って昆布は引き絞った弓を放ち、矢をレイジの足に向けて放った。レイジは迫りくる矢を足を上げて避けた。矢はステージに突き刺さるほどの威力だった。それを見てレイジは驚いた。


「...驚いたな!まさかこの頑丈なステージに突き刺さるほどの威力だったとはな。...え?こんなもん平気で放ってきたのか?昆布、お前危ないな。当たったら、ヤバいじゃねーかよ。」


レイジは矢の威力に引いた。昆布はへへへと笑った。


「まあ、兄貴なら当たることはないと思っての攻撃でござるよ!それに、この程度、まだまだ攻撃ってレベルじゃないでござるよ。ただの武器の性能の紹介でござる。」


「...まあ、確かにな。何も意識していなくても避けられるレベルなら、いい...のか?いや、やっぱりヤバいだろとは思うけど、だが、今は勝負の最中だしな。それなら俺も、本気で戦うぞ?」


「へへへ!そう来なくっちゃ!!それでこそ兄貴でござるよ!本気で戦うでござるよ!面倒くさいウォーミングアップはいらないんでござるよ!いきなり魂の力を使っていこうでござる!!」


昆布はそう言って魂の力を開放した。全身に力がみなぎっていく。それを見てレイジも魂の力を開放した。


「...そうだな。相手を傷つけることを恐れて本気を出せないのは、負けた時のダサい言い訳にしか使えないもんな。それに、本気で戦うことによってしか、強くなれないらしいしな。...じゃあ、たとえ大怪我したとしても、後悔するなよ?」


「へへへ!もちろんでござるよ!!拙者は最初っからそのつもりでござるよ!兄貴と本気の戦いができる!!これほど心躍るイベントはないでござるよ!」


そう言って両者は魂の力を開放し、全身に行き渡らせた。鼓動が大きくなる。さっきまでの仲の良い雰囲気から一変し、まるでライバルとの決戦のような緊張感が二人を包み込んだ。そして言葉を発することもなく、二人は同時に動き出した。

 レイジはそのスピードで昆布の(ふところ)へと(もぐ)り込もうと近づき、対する昆布は自身のホワイトのリーチを生かして牽制をし、レイジを近づけさせないようにしていた。そしてレイジは思った。


『昆布の戦い方...初めてちゃんと見たが、やっぱり相当慣れているよな。俺の行動を予測して蛇腹剣を放ち、的確に足を狙ってくる。おそらく、俺のスピードを殺すためだな。そういう所をちゃんと考えられているのが、もう強いところだよな。』


レイジは昆布の周りを走り回りながら隙を(うかが)っていたが、昆布の動きには隙が無く見えた。しかし昆布は全く逆のことを思っていた。


『兄貴のスピード、やっぱりすごいな!拙者が予測して放った蛇腹剣をいともたやすく避けているでござるよ。それはつまり、拙者の攻撃に隙ができればその一瞬で距離を詰められて一気に不利になるってことでござるからね。今はいいかもしれないけれど、いつかは必ず拙者の動きに隙を見出してくるはず。その時にどうするかを今から考えないと!』


昆布はレイジを寄せ付けずにいる状況に甘んじず、必ず突破されることを予想していた。そしてそれに対する対処を考えていた。そしてレイジは一向に隙を見せない昆布に対してしびれを切らしてきていた。


『うーん。本当に隙が無いな。無理に攻めても返り討ちに()うのは必然。かといってこのまま避け続けるだけでも全く進展がないな。どうする?このまま粘り強く避け続けて隙を探し続けるか?それともこちらから賭けに出て隙を作りに行くか?...悩ましいが、せっかく覚えた波動斬だ。使ってみるのも悪くはない選択肢か?』


レイジは攻めるべきか様子を見るべきか悩んで、波動斬を飛ばしてみることに決めた。そしてレイジは懐に帯刀していた、ドナルドからもらったドスを握りしめ、その刀身(とうしん)に魂の力を()め始めた。その変化に昆布はすぐに気が付いた。


『あ!兄貴がドスに手を付けた!...もしかして、波動斬を飛ばしてくる気でござるか?...だとしたら、少し気が早いでござるね。正直、もう少し様子を見続けられていたらさすがに対応しきれなくなってきたところだったから、逆に助かるでござるよ。...いや、本当にそうでござるか?兄貴のことだから、ただ単に波動斬を放って終わりな気がしないでござるよ。まだ何か作戦があるんじゃないでござるか?』


昆布はホワイトによる牽制をしながらレイジの動きを見て、次の動きを予測し続けた。そしてレイジはドスに魂の力を込め終わり、そのまま抜刀した。


「波動斬!!!」


レイジは素直に波動斬を放った。その波動斬は昆布の伸長を超えるほどの大きな三日月状になって昆布の体めがけて飛んで行った。昆布はその波動斬を横に大きく避けることで回避した。


『...この波動斬、すっごく素直に撃ってるだけ...でござるか?何か、ほかの意図があるのかと思ったでござるが、兄貴の立ち位置も変わってないし、波動斬自体に仕掛けがあるわけでもない...?どういうことでござるか?』


昆布は、レイジが何の意味もない波動斬を放ったことに疑問を持った。そしてレイジは波動斬が避けられたのを見て何かを納得したようにうなずいた。


「...なるほどな。」


レイジのその一言に昆布は眉をひそめて聞いた。


「...何が、『なるほど』何でござるか?拙者はてっきり、この波動斬を(おとり)に兄貴が近づいてくるのかーとか、波動斬がいきなり破裂してヤバいことになるー!とか、そういう風な作戦があるのかと思っていたでござるが、別に何にもなかったでござるね。どういう意図で、この波動斬を撃ったんでござるか?」


昆布はレイジに聞いた。レイジは答えた。


「ん?ああ、この波動斬自体には何の意味もないよ。ただ撃ってみただけだ。だが、今の一撃でわかった。この技は、マスターブラックみたいに一撃必殺の技として使うのは俺にはできないってな。」


「...そうでござるか?今の波動斬だって、もし拙者に当たっていたら体がパックリと割れていたでござるよ?」


「まあ、そうだろうな。だが、そんな攻撃は当たらないのが基本だろ?だから、俺はマスターブラックのように使うのは辞める。代わりに、俺らしい使い方をすることにしたよ。」


「兄貴らしい...使い方?」


レイジはフッと笑った。


「ああ。今から見せてやるよ。多分、お前が一番嫌な使い方だ。」


レイジはそう言って、再びドスに魂の力を込め始めた。昆布はレイジが何かしらを掴んだことを警戒した。


『兄貴が拙者の一番嫌いな使い方をする...?いったい何をしてくるのか、見当もつかないでござるが、確実に、なんだか、嫌な予感がするでござるね。』


昆布はそう思って、いつでも対応できるようにホワイトを短めに出して警戒した。そしてレイジは(ふたた)びドスから波動斬を放った。


「波動斬!!!」


その波動斬は、先ほどと比べると、まるで指の先っちょほどしかない大きさの波動斬だった。しかしその速さは先ほどの10倍以上の速さだった。その速さに昆布は驚き、必死に頭を下げて攻撃をかわした。


「...なるほど。とんでもない速さでござるね!確かにこれはさっきの波動斬に比べて嫌でござるねー。」


昆布がそう言った時、レイジは少し困った表情をした。そしてその表情に昆布は首を(かし)げた。


「...ん?どうしたんでござるか?兄貴?」


「ん?ああ、いや、...実は、今の波動斬、本当に恐ろしいのはこっからなんだ。」


「え?どういうことでござるか?」


昆布はさらに首を傾げた。レイジは頬を指でかきながら言った。


「...この波動斬、連射が可能なんだ。」


「...え?」


昆布は信じがたい発言を聞いて絶望と疑心の表情が入り混じった表情を浮かべた。そしてレイジは再びドスに魂の力を込め始め、目にもとまらぬ速さでそのドスを何度も振り抜いた。


「波動斬!!!」


レイジのドスからは、なんと4発の波動斬が放たれた。昆布はそれを見て目が飛び出るほど驚きながら思った。


『よ、4発もキターーーーーーーーーーー!!!???』


昆布はさすがに今までのように体だけで避けられるものではないと悟り、足を使ってその場から大きく動くことで波動斬を避けた。しかしレイジはその隙を逃さず、近づきながら再び波動斬を放った。


「まだだ!波動斬!!!」


再び放たれた波動斬はなんと6発にも増えており、さらに自身へと向かう波動斬だけでなく、自身の避ける方向の左右にも放たれていた。昆布はどうすることもできず、仕方なくホワイトを前面に展開してシールドのようにして波動斬を受けた。


「クッ!?ううぅぅ!?」


ホワイトに波動斬が当たる瞬間に、衝撃が昆布の骨身(ほねみ)に走る。そして何とか耐えきったと思ったのもつかの間、なんとレイジが昆布の目の前まで接近していた。


「うわぁぁぁぁぁ!!?兄貴!?」


昆布が絶叫を上げると同時にレイジは刀を振り抜いて昆布の胸元を斬った。昆布は胸元から血を吹き出して後方へと浮き上がって背中から地面についた。


「...うーん。やっぱり、波動斬を連発できるのは少し強すぎるな。まあ、相手がゴゴとかのタフな相手ならこの攻撃を喰らってもピンピンしていただろうが、昆布はそこまでタフじゃないだろうし、それにこの牽制技は接近するために使うにはあまりにも便利だな。」


レイジは自身の新たに目覚めた波動斬の使い方に驚きながらも喜んでいた。そして昆布はゆったりと起き上がった。それを見てレイジは昆布に声をかけた。


「お!昆布、大丈夫か?」


レイジの呼びかけに昆布は少し辛そうな表情を浮かべてうなずいた。


「う、うん。大丈夫ではあるでござるが、その連射できる波動斬は強すぎるでござるね。拙者にはできない芸当でござるよ。」


「そうなのか?やっぱり、俺の魂の力を操作する技術は相当のものなのか?姉御の方がすごいからあんまり実感はないが。」


レイジのその言葉に昆布はフッと笑った。


「まあ、確かに、姉御殿の技術力の高さは脱帽でござるよね。...でも、兄貴はやっぱり甘いでござるね。」


「ん?甘い?」


「うん。拙者を斬ろうと思えば首すらも狙えただろうに、胸の、それも浅い部分を狙って斬るとは。」


「まあ、甘いかも知んねーな。でも、それをわかっているならもう勝負ありだろ?あとは降参してくれればいいよ。」


「フフフ。だから甘いって言ってるんでござるよ。兄貴。」


「...昆布、お前、まさかまだ戦うつもりなのか?やめとけやめとけ!確かに俺はお前の命は取らなかったが、その傷は動いて大丈夫な傷じゃないぞ?激しく動いたら傷がさらに開いて、最悪出血死もあり得る傷だぞ?それに、そこまでして勝とうとしなくてもいいだろ?」


「...兄貴。兄貴がとっても優しいのは、本当にうれしいんでござるよ。でもね、兄貴。拙者は、このまま負けたまんまで終われないんでござるよ。」


「なんでだ!?こんな大会に命賭ける意味なんかないだろ!?」


レイジの言葉に昆布は首を横に振った。


「ううん。違うんでござるよ。違うんでござるよ、兄貴。拙者もね、別にこの大会に勝ちたいわけじゃないんでござるよ。ただ、兄貴との勝負に、このまま負けるのは嫌だって言ってるんでござるよ。」


「なんでだよ!?なんでそこまでして俺に勝ちたいんだ!?」


「...拙者は、まだ、本気を出してないんでござるよ。」


「はぁ!?」


「だから、拙者はまだ、本気じゃないんでござる!!いまから、今から本気出すから!!!だからそれから!それから拙者は負けを認めるでござる!!!それに、兄貴だって、まだ本気を出してないでござるよ。」


「...何の話だ?」


「フフッ。とぼけないでくれでござるよ。『バーニングレイジ』。あれをまだ出してないでござるよね?せめてそれを引き出してから、拙者は負けるでござるよ。」


昆布の訳の分からないわがままにレイジはイライラしてきた。


「...あのなぁ!昆布!!お前、どうしたんだよ!?なんでそんなことにこだわるんだよ!?」


レイジのイライラした表情を見ても、昆布は動じることなく言った。


「...知ってるんでござるよ。兄貴。兄貴はブレイブとの戦いで、バーニングレイジを発動したとき、意識を失ってたんでござるよね?それ以来、バーニングレイジを発動するのが怖くなったんでござるよね?自分が暴走して、大切な仲間を傷つけるかもしれないって、そう思っているから。」


昆布の言い分は、図星だった。レイジは図星をつかれて一瞬たじろいだ。そしてその反応を見て昆布は確信した。


「...やっぱり、そうだったんでござるね。波動拳の修業でも、一回もその姿になろうとしなかったから、もしかしたらと思って聞いてみたでござるが、やっぱり図星でござったか。」


「...た、たとえそれが図星だったとしても、それがいったいお前と何の関係があるんだよ!?別に、俺のことなんてお前に心配されなくても、解決できるよ!だから!!いい加減その変なわがままはやめて、さっさと降参してくれ!!」


レイジは昆布が死ぬかもしれないという恐怖でイライラし、怒りの感情を昆布にぶつけた。昆布は悲しそうに、そして嬉しそうにほほ笑んだ。


「...兄貴。ありがとう。でも、拙者は、やっぱり、このまま負けたくないんでござるよ。」


「...昆布!!」


レイジは怒りと悲しみの混じった、悲痛な声で昆布に呼び掛けた。昆布は悲しそうに微笑んで答えた。


「...兄貴、きっと兄貴は、このままじゃ殺されるんでござるよ。バーニングレイジの発動をためらう兄貴じゃ。だから、拙者が、それを引き出すでござるよ。多分、兄貴は拙者のことを嫌いになるかもしれないでござるけど、でも、兄貴に嫌われるよりも大切なことだと、拙者は思っているでござるよ。」


昆布はそう言って、懐から赤い鬼の面頬(めんぼお)を取り出して、顔につけた。すると、さっきまでの昆布の様子とは全く違う、恐ろしいオーラを放つ悪魔のような威圧感を放っていた。

 レイジはその変わりように驚き、本能で距離を取った。そして昆布はレイジに言った。


「さあ!!!この俺を止めて見せろ!!!バーニングレイジを発動してな!!!!さもないと!!俺は動き続けて出血死してしまうぞ!!!」


昆布はそう言って(みずか)らレイジにつけられた傷をえぐり、その血を辺りに振りまいた。レイジは昆布の恐ろしい奇行に怒り、悲しみ、そして懇願した。


「やめてくれ!!!!昆布!!!!!!本当に死ぬぞ!!!!!!!!!」


レイジの悲痛な叫びもむなしく、昆布は笑いながらさらに血を振りまいた。


「さあ!!!!!バーニングレイジを発動しろ!!!!!レイジ!!!!!!」

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