公式戦1回戦 ゴゴvsサライヤン②
サライヤンはヨロイヤンの力を開放して宙に浮きあがり、ゴゴは魂の力を全身からあふれ出るほどに湧き上がらせた。両者の体から発せられるオーラは闘技場のリングの上でぶつかり合い、せめぎ合い、そこから発せられる火花のようになった魂の力のかけらがシールドに当たり虹色に輝き散っていく現象が起きた。それを見たレイジは不思議に思った。
「なんだ?あの虹色の輝き?魂の力は基本白っぽい透明のはず...扱う幻獣の能力次第で色が変わることは知っているが、虹色の輝きは聞いたことがないな...。姉御は何か知ってるか?」
姉御は首を振った。
「いいや、あたしも初めて見る現象だよ。そもそも魂の力をうまく扱えば体から漏れないからね。そもそもお互いに漏れ出している状況が特殊だよ。それに、正直言ってゴゴがここまで戦えるとは思ってなかったね。戦闘技術では圧倒的に劣っているからね。しかし、それを補って余りあるほどの驚異的なタフさ。...ゴゴはあたしたちが思っているよりも強いのかもしれないね。」
姉御はゴゴのポテンシャルを再認識させられるほどの戦闘を見ていた。そしてゴゴとサライヤンのオーラのぶつかり合いは、徐々にサライヤンが押していき、ゴゴは劣勢に立たされた。それでもゴゴは狂った笑みを浮かべたまま一歩一歩、前へ前へと歩み始めた。
「うおおおおおおおおおお!!!!魂の力はめっちゃ負けてるな!!!!!」
ゴゴは自身とサライヤンの魂の力の差を思い知り、心底楽しそうに笑った。そしてサライヤンはフッと笑い、次の瞬間、ゴゴの視界から音もなく消えた。ゴゴは驚き周囲をくるくると見まわした。
「き、消えた!?...ああ!光学迷彩ステルスか!?」
ゴゴはヨロイヤンがその能力を有していることを思い出した。しかしその予想は外れ、サライヤンはゴゴの頭上から思いっきりゴゴの頭を蹴り、闘技場のステージに叩きつけた。ゴゴはいきなり頭に衝撃を受けたと思ったら顔面がステージに埋没していた。そしてゴゴはガバッと起き上がった。
「な、なんだ!?頭上から!?」
ゴゴはパッと頭上を見た。そこにはサライヤンが腕を組んで空中に浮遊していた。そしてサライヤンはゴゴに言った。
「ゴゴ。お前じゃ俺のスピードについてこれない。いくらお前がタフとはいえ、俺の脚力とヨロイヤンの力を合わせた蹴りを何十発と喰らえば死ぬ。もうお前に勝機はなくなった。降参しろ。」
サライヤンはさっきまでの息を切らしていた様子とは打って変わって、非常に落ち着いた、冷静な態度で言った。ゴゴはフッと笑って答えた。
「『蹴り』...か。やっぱりな!お前、腕が痛くて使えねーんだろ!?そりゃそうだよなぁ!!あんな大技使って、何にも反動がないわけないよなぁ!!?へっへっへ、この勝負、まだまだ勝てるぜ!!!」
ゴゴは右手を再び握りしめ、闘う意思を示した。それを見たサライヤンは少し驚きながら、満足そうにフッと笑った。
「...そうか。やっぱり、バレてたか。ふ、ふっふっふっふ。やっぱり、お前、最高に面白いな。闘っていてこんなに心躍る相手は、お前だけだな。ならば!!!その細い勝ち筋、掴んで見せろ!!!!」
サライヤンはそう言うと再び姿を消した。そしてゴゴは考えた。
『この姿を消す技、光学迷彩ステルスかと思ったけど多分違うな。あいつはスピードがどうのって言ってた。だからこの技はもっと単純な、とんでもない速さで動いてるってことなんじゃないか?この狭い空間でそんなに早く動くなんてふつうは考えもしない。だからこそ、サライヤンならやる!!』
ゴゴはそう結論付けた。そしてその予想は当たっていた。ゴゴは目を凝らしてよーく見るとサライヤンが動いた痕跡が、空中のひずみとなって表れていることに気づいた。そしてそのひずみを追っていると、サライヤンがまるで重力を無視したかのようなでたらめな動きをしながら飛び回っていることを目で確認できた。
「見えたぞ!!!お前の姿が!!!!」
ゴゴはバキバキに折れた左腕の肉をブチブチと引きちぎり、それをぶん投げた。するとその血のロープはヨロイヤンの足に付着し、ゴゴは思いっきり引っ張った。サライヤンは思わぬ力に驚いた。
「何ぃ!?」
サライヤンはゴゴに足を引っ張られ、そしてゴゴは引っ張ってきたサライヤンの腹に思いっきり蹴りを入れた。ドゴォッといい音が鳴り、ゴゴはにやりと笑った。そしてサライヤンは蹴られた衝撃でそのままシールドまで吹っ飛ばされ、背中をシールドに打ち付けた。
「ガッハッハッハッハ!!!お前のスピード、見切ったぜ!!!」
ゴゴは勝ち誇るように言った。サライヤンはゆったりと立ち上がって満足そうに答えた。
「ふっ、まさか俺のスピードをとらえるとはな。しかも何だ?さっきの技は。血が固まって俺の足に引っ付いたぞ?」
サライヤンに聞かれてゴゴはフッと笑って鼻高々に答えた。
「今の技はなー!俺が最近開発した技だ!!俺のくっつく能力で血をくっつけまくって粘着ロープにするんだ!!」
「なるほどな。そういえばお前はそんな能力を持っていたな。忘れていたぜ。」
サライヤンはゆったりと立ち上がりながら言った。そしてゴゴはフラフラしていた体が段々と熱を帯び始めたことに気づいた。それはゴゴがこれからが本気を出すことの合図だった。
「へ、へへへ。サライヤン。今からだ。今からが、俺の本気だ。あふれてくる。あふれてくるんだ。力が!心が!魂が!!!うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
ゴゴは今まで猫背になっていた状態だったが、反転、背中をそらせて叫びだし、今までで一番の魂の力を放出させた。ゴゴの筋肉ははちきれんばかりに膨れ上がり、躍動しながらサライヤンを狂った目で見た。サライヤンはゴゴから発せられる魂の力に驚きと恐れと喜びを同時に感じた。
「ゴゴ...お前ってやつは...なんて、なんてやつだよ!!?この俺に、追いつこうというのかッ!!?」
サライヤンはゴゴの底が見えない力に心が躍り、自身では抑えられないほどの魂の力の高ぶりを感じた。そしてゴゴは叫びながらステージが割れるほどの威力で踏み出してサライヤンに襲い掛かった。
「うおああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
ゴゴはケダモノのように奇声を上げながら距離を詰め、右手でサライヤンに殴り掛かった。サライヤンはヨロイヤンの解放された力を使い、またしてもその場から消えるような高速移動でゴゴの攻撃をかわした。
「無駄だゴゴ。お前の動きは、あくびが出る。」
サライヤンは空中に浮かびあがり、余裕そうに腕を組みながら言った。しかしゴゴはギュルンと首の骨が折れるかと思うほどの速さで首を回してサライヤンを視界にとらえた。その直後、ためる動作もなく飛び上がって再びサライヤンに襲い掛かった。
「ぐうああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「なにっ!?」
ゴゴのとてつもないスピードにサライヤンも驚き、そしてゴゴの右ストレートはサライヤンの腹をとらえた。サライヤンは天井のシールドに勢いよくぶっ飛ばされて強く背中を打ち付けた。さらにゴゴの攻撃は止むことなく、なんと自身の持っていたハンマーのキーホルダーを巨大化させ、それを空中の足場として蹴り上げてサライヤンに襲い掛かった。
「チッ!!」
サライヤンは襲い掛かってくるゴゴに舌打ちをしながらヨロイヤンの機動力を活かしてゴゴの追撃をかわし、逆にゴゴの顔面に蹴りをぶち込むカウンターを食らわせた。しかしゴゴはその攻撃を目を瞑ることもなくその攻撃を受け、目線だけは右にいるサライヤンの方を向いていた。その姿にサライヤンは恐怖を感じた。
『お、俺の蹴りを喰らって、目も閉じてないのかよ...この感じ...完全にあの時と一緒だ。自分の体がどうなろうが関係ない。ただ目の前の敵を喰らいつくす。そういう感じの戦い方だ。完全にゾーンに入ってやがる...!!』
サライヤンは過去にゴゴと戦った時のことを思い出していた。そしてゴゴは右手を振り払いながらサライヤンに攻撃した。サライヤンは稲妻のごとく後ろへと距離をとってかわした。ゴゴはシールドにくっつく能力を使って手のひらをくっつけ、ブンッと勢いよく腕を振り抜いてサライヤンに追撃した。サライヤンはまた稲妻のごとく下のステージへと移動した。
「ふふ、ははは、ハーッハッハッハッハ!!!さすがだな。ゴゴ。楽しい、楽しいぞ!!!」
サライヤンはゴゴの恐るべき底力に喜びを隠しきれなかった。そしてゴゴはそんなサライヤンの言葉を全く聞くこともなく、ただひたすら己の戦闘欲求に突き動かされる獣に成り果てながら、知恵も策も何一つ考えることなく襲い掛かった。サライヤンは先ほどまでとは違い、逃げることなく両足と左手でゴゴの攻撃を受け、かわし、反撃しながら戦った。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ゴゴはすでに自我があるのかすらわからないほどの狂乱状態で両足と右手でサライヤンに猛攻撃を仕掛けた。サライヤンとゴゴは互いに命を削った攻防にこの精神状態でしか味わえない戦闘の麻薬に脳内が信じられないほど活性化していた。そしてサライヤンはさらにスピードを上げてゴゴが追いつけなくなってきた。
「ぐ、ぐうおおおお!!!!」
ゴゴは段々と距離を離されていく状況に苦しみながらもがむしゃらに追いかけ続けた。サライヤンはヨロイヤンの緑色のモノアイがまるで一匹の蛇に見えるほどの速度で動き回っていた。
「無駄だ。ゴゴ。確かに、お前は相当速くなった。それは認める。だが、この解放されたヨロイヤンの前ではすっとろい亀みたいなもんだ!」
サライヤンは煽りながら高速で移動し、追いかけるゴゴを翻弄しながら時折キックをお見舞いしながら言った。ゴゴはどうあがいても追いつけない状況にイライラしながらもいったん足を完全に止めてその場に立ち尽くした。
「ハーッハッハッハッハ!!!!ついに諦めたか!?ならば決めてやろう!!!」
サライヤンがそう宣言するとサライヤンはまるで四方八方から飛び交うミサイルのようにゴゴの周りを飛びながら蹴りを入れまくった。ゴゴはなすすべなくただ背中を丸くして右手を顔の横にあげて防御の態勢を取り続けた。それはレイジの目からは愚策に見えた。
「な、なんでゴゴのやつただひたすら蹴られるだけで反撃しないんだ!?あれじゃ死んじまうぞ!?」
レイジの言葉に姉御は首を横に振った。
「いや、ゴゴはきっと待ってるんだよ。」
「待ってる?」
「ああ。よーく見てみな。サライヤンはひたすらゴゴの左右と背中の部分しか蹴っていない。つまり、正面からは絶対に飛び込まないことにしてるのさ。何故だか分かるかい?」
姉御に聞かれてレイジは顎に指をあてながら考えて言った。
「...正面は、相当危ないってことなのか?」
レイジの返答に姉御は満足そうに笑ってうなずいた。
「そう。その通りだよ。ゴゴは正面に来る瞬間だけを狙っているんだろうね。」
「いや、それがサライヤンにバレていたら突っ込んでこないだろ?無駄なんじゃないのか?」
「フフッ。多分それがゴゴの賭けなんだろうね。ゴゴは自身のタフさに賭けている。『玉鋼』を受けた腹以外では絶対にダウンしないって信じてるんだろうね。だからこそ、サライヤンが正面から攻めるしかないと諦めた時、ゴゴが勝つね。」
「な、なるほど。そんな戦い方が...俺では考えられない戦い方だな...だが、本当に大丈夫なのか?見ろよゴゴを。サライヤンの蹴りですでに体中ボロボロ。骨も折れまくってるし、そのうえ左手でガードできないから顔の左側が悲惨なことになってるぞ。」
レイジはゴゴの戦い方に疑問を抱き、姉御に言った。姉御はフッと笑った。
「まあ、バカだよね。あんな戦い方するなんて、普通は絶対にしないね。でも、それ以外で勝つ可能性がないってわかってるからだろうね。あんな無茶をするのは。...フフッ。なるほど。どうしてゴゴが人気なのか、その理由がちゃんとわかったよ。こんなに応援したくなるバカは他にはいないからねぇ。」
姉御はゴゴの人気っぷりに納得した。そしてサライヤンは段々と自身の力に疑問を持ってしまっていた。
『クソッ。自信失くすぜ。こんだけ俺の蹴りをぶち込んでいるってのに、なんでこいつ無事なんだよ...やっぱり腹にもう一撃でかいの喰らわさないとダメか...?...なら、正面の勝負に挑んでやるか。』
サライヤンはあまりのゴゴの耐久力に根を上げて仕方なく正面勝負を挑むことにし、サライヤンは高速移動をやめてゴゴの前方に立った。
「いいだろう。そんなにやりたきゃ乗ってやる。ゴゴ。俺は今からまっすぐ行ってぶっ飛ばす。これが俺の最後の攻撃だ。これでお前が倒れなかったら、お前の勝ちでいい。...行くぞ?」
サライヤンはフゥーっと息を吐き精神を集中させ、魂の力とヨロイヤンの力を最大限に引き出し、周囲に緑色の稲妻が勢いよく走りわたるほどに解放させた。その圧倒的なプレッシャーはシールド越しに見ている観客が身の危険を感じるほどの恐ろしさだった。しかしゴゴはその恐ろしい魂の力の放出をその肌身で感じ、鳥肌が止まらず、身がすくんでしまいそうになっていたが、それでも狂った笑みが止まらなかった。
「クフハハハ。それを...それを待っていたんだっ!!!!」
ゴゴはそう言って防御の態勢を解いて右手を天にかざした。
「力技拳奥義...ビッグ、ボム...!!!!!」
ゴゴがそういうとゴゴの右腕はまるで爆発しているかのように膨張し、ゴゴの背丈ほどの大きさになった。その瞬間、サライヤンが放っていた圧倒的なオーラをはじき返し始めた。それは、サライヤンの力とゴゴの力が互角であることを示していた。そして両者の力は極限まで高まっていき、サライヤンが叫んだ。
「行くぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
サライヤンがそう叫ぶとゴゴはその狂った目を向けた。それはゴゴにとっての合図だった。それを見たサライヤンはフッと笑って足を肩幅まで開き腰を深く落とし、右足を後ろへと持っていき十分に力を溜めたのち、目にもとまらぬ速さでゴゴへと突っ込んでいった。
「喰らええええええええええええええええ!!!!必殺のおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!『鋼鉄脚...玉鋼ええええええええええええ!!!!!」
サライヤンは右足を突き出しながら突撃してきた。ゴゴはそれに合わせて右腕を振りかぶった。
「ボンバアアアアアアアアア......シュウウウウウウウットオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
ゴゴは左足を大きく踏み込み、全身を鞭のようにしならせてその巨大な右腕を振り抜いた。両者の魂がこもった一撃がぶつかる。その瞬間、激しい爆音と衝撃波とともに、まるで閃光弾を爆発させたかのような真っ白な光が会場全体を激しく照らした。そして両者の力は拮抗した。
「ぐぐぐぐぐ...ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
サライヤンはヨロイヤンの背中から発せられる緑色の稲妻をより激しく稼働させながらじりじりとゴゴの腕を押し返していった。ゴゴは全身から血を吹き出し、眼前が赤く染まろうともただ一点、サライヤンだけを見つめて意地と根性でサライヤンの攻撃を耐えていた。そしてステージはすでに亀裂が走り、表面はすべて塵のようにバラバラになり、それを包み込んでいたシールドは聞いたこともない音で悲鳴のようなものを上げていた。
その異常に気づいたレイジは姉御に聞いた。
「お、おい!姉御!これ、なんかやばくね!?シールドが...衝撃波に耐えられずに壊れるんじゃないか!?」
姉御はけわしい表情を浮かべた。
「あたしも、聞いたことがない音だよ!シールドの耐久力はとてつもなく高いんだ。それがこんな悲鳴を上げるなんて...」
姉御は驚くと同時に恐れを少し抱いた。そしてサライヤンはゴゴの決死の攻撃に怒りと恐れと喜びを感じた。
『ゴゴ...今にも死にそうな重症患者が。なぜそんなにボロボロなのに俺の最大威力の必殺技を受け止めている...!?イライラするぜ!!...だが、それ以上に、お前、本当に最高の男だな。お前の戦い方、絶対にあきらめないその精神力。くくくっ...本当に好きだぜ。ゴゴ。』
サライヤンはゴゴのその精神が表面に現れたような戦い方に再度惚れ直した。そしてゴゴも似たようなことを思っていた。
『サライヤン...やっぱ強ぇわ!!!お前は!!!ここまで強い奴と戦うのは、命が燃えるじゃねーか!!俺はお前に今まで一度も勝ったことがなかったが、勝つのは...今日、この日だ!!!』
ゴゴは決意を胸に、じりじりと攻められながらも勝ちをあきらめなかった。そして二人はお互いに命をかけた叫び声をあげて決めにかかった。
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」
ゴゴとサライヤンは残っていたすべての力をその一瞬に賭けて出し切った。瞬間、二人の間でまた光が発生し、会場は真っ白な光に包まれた。そしてドゴォッという轟音がシールド越しに鳴った。会場の全員が息をのんでその結果を確認しようと見た。そして、そこに立っていたのはサライヤンだった。
「はぁ...はぁ...へ、へへ。また、俺の、勝ちだな。ゴゴ。」
サライヤンはヨロイヤンの上からでもわかるほどに右脚から大量の出血をしており、銀色のヨロイヤンが赤く染まっていた。そしてゴゴはシールドに背中をつけながらガックシと倒れこんでおり、その右腕は左腕以上に破壊され、骨や血管が肉の上に飛び出ていた。
誰もがそのおぞましい光景を見てあわれに思った。しかしゴゴはゆっくりと顔を上げてフッと笑った。
「さ、さすがは、サライヤン...まだ、届かなかったか...は、ははは。」
ゴゴは意識がもうろうとしながらも越えられない壁を実感できてうれしかった。そしてゴゴは座っていた体勢から横に倒れて寝転がり、負けを認めた。その瞬間、マスターブラックはシールドを解いた。そしてマイクマンが宣言した。
「しょ、勝負ありいいいいいいいいいいいいいい!!!!勝者!サライヤン!!!!」
マイクマンがそういうと会場はとてつもない歓声の嵐に包まれた。それは素晴らしい試合を見せてくれたサライヤンとゴゴに対する賞賛の嵐だった。