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星の勇者  作者: アシラント
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魔族のネネ

固有名詞紹介


「魔族」


魔族は今から117年前に突如として現れた知的生命体である。その容姿は体色が青紫で髪色は人間と同じように様々な色がある。そして角がある者、牙がある者、翼が生えているものなどさまざまの能力を持った生物がいる。

彼らは魔族間でならだれと交配しても子を授かるが、人間との間には子供は出来ない。


117年前から100年間人間と戦争をしてきたが、伝説の勇者の存在によって魔王は滅ぼされ、勇者も行方不明になり人間と魔族との間に和平が結ばれた。


今は多くの魔族はある大陸に住んでおり、人間たちとはお互いに自分たちの土地に侵入しないことで和平を保っている。


魔族が一体どこから来たのか、どうして人間との間には子供ができないのか、さらになぜ今になって魔王が復活し、人間たちの領地に侵略してきたのかはまだ謎である。

レイジは勇者の刀ともともと持っていた刀を抜刀して、二刀流の構えを取った。それにつられるようにドナルドとブレイブは臨戦態勢に入り構えた。それをウィンドは鼻で笑った。


「私を何とかする?笑わせないでいただきたい。あなたたちのようなひよっこにこの私をどうにかできますか?」


ウィンドは煽るように首を傾げ、両手を開いて話しかけた。


「あ?ひよっこだと?」


ドナルドはその煽り文句に乗ってしまった。ウィンドはニヤリと嫌な笑みを浮かべて口を開いた。


「ええ。実際そうでしょう?初めに私の風の攻撃を避けられなかったのがいい証拠です。幻術タイプとの戦闘経験がまるでない事の何よりの証拠です。まあ、私は幻術なんて使っていませんがね。」


ウィンドはさらに煽るように右の口角だけを上げて白い歯を見せた。


「てめぇ!おちょくりやがって!」


ドナルドはブースターを点火させ飛びかかろうとしたがレイジが手をつかんで止めた。


「待て!うかつに飛び込んではダメだ!まずは奴の狙いを正確に見極めるんだ。」


「狙い?そんなもん俺たちの命を狙いに来たに決まってんだろ!」


「だとしたらはじめっから俺たちに話しかけてなんて来ないって!なんかよくわかんないけど回りくどいと思わないか?」


「......まあ、確かに。俺たちが勇者候補だとわかっていたら、一番最初に背後を取っていた時点で何人かを殺してるか。そう考えるとおかしい......か?ただ単純に俺らが強いから手を出せなかったんじゃないのか?一応5人そろってるし。」


「そうだとしたらますますおかしいだろ。それなら俺たちが別れた時を狙って1人ずつ狙っていけばよくないか?わざわざ5人が集まったときに話しかけたんだ。やっぱり何かあるんだよ!ウィンドには俺たちを殺す以外の別の目的があるんだよ!」


レイジとドナルドは互いに議論を深め合っていた。そんな二人をしり目にブレイブはひとりでウィンドに突っ込んでいった。


「魔王の手先!覚悟おおおおお!」


ブレイブは生き生きとした表情を浮かべながらウィンドに切りかかった。ウィンドはそれを華麗に避けた。


「おっと!まさかこんなにもデータ通りに戦況が動くとは!やはり魔王様は未来を見通していらっしゃる!」


ブレイブの猛攻もほとんど見ずに回避をしながらファイアとアイスもつけていた腕時計の様なものを指で操作している。


「この!魔王軍め!勇者ブレイブが!成敗してやる!」


「ははははは!!!まさかそのセリフまでお見通しだったとは!魔王様!なんてすばらしい方だろうか!」


ウィンドは敬愛のまなざしで空を見上げた。遠い空の向こうにいる魔王へ向けられた眼差しだ。そんなもてあそばれているブレイブを見てドナルドは怒りをあらわにした。


「あのバカ野郎!俺ですら冷静になったってのになんであいつが冷静じゃねぇんだよ!」


「うーん、恐らくブレイブはとっても単純な男の子って感じなんだろうなぁ。自分だ勇者になれたから舞い上がってノリで魔王軍と戦っている感じかなぁ。」


「ご名答!我らが魔王様より預かったメモによりますと、ブレイブ殿は勇者ものがとても好きの様で、憧れの存在になれて嬉しいから魔王軍なんて悪そうなものを前にすると成敗したくなるようですね。いやはや、世界はフィクションのように単純ではないのですが。」


ウィンドはやれやれと頭を抱えながら話した。そしてひゅっとジャンプをしてレイジたちの前に降りてくると4人を見ながら話した。


「では、勇者候補の諸君。くれぐれもネネにはお気を付けを。彼女は明らかに魔族ですから。それだは。」


そう言い残すとウィンドは風のようにフッと消えた。ドナルドはすぐに辺りを見回したが、影も形も残っていなかった。


「な......何だったんだ?いったい何がしたかったんだ?」


ブレイブの疑問にレイジが重たい口をゆっくりと開いた。


「......こんなことを言いたくはないけど、たぶん......ネネのことを伝えたかったんだと思う。」


レイジの発言にその場の全員がネネの方を向いた。ネネはおびえ、フードをぎゅっとかぶり縮こまった。


「なぁネネ。えっと、その顔についてだけど、話を聞かせてくれるかな?」


レイジは一歩歩み寄りネネに尋ねた。ネネは一歩下がりながら首を振った。


「そのままだと俺たちは君を殺しかねない。自分の無実を証明するために、話し合いだけはしないか?」


レイジは残酷な真実と唯一の光を提示した。ネネは苦しそうに息を切らしていたが、覚悟を決めて話し始めた。


「私は......こんな姿をしているけど、人間なの。」


ネネは深くかぶっていたフードを脱いで魔族にしか見えない顔をさらした。ブレイブはその言葉に思わず突っ込んだ。


「いや、どう考えても魔族だろ。」


「......別に、私を殺したいなら好きにすればいいじゃない。」


ネネは口をとがらせて黙ってしまった。


「おいドナルド、ネネがすねちゃったじゃないか。」


レイジはやれやれというジェスチャーをしながら言った。ドナルドは明らかに嫌そうな顔をしながら小さく「......悪かったよ。」とつぶやいた。


「まあ、ドナルドも謝ったことだし、話を続けてくれないか?」


「......さっきも言ったけど、私はこんな見た目だけどれっきとした人間なの。その証拠だってあるわ。この写真よ。」


ネネは胸の内ポケットから一枚の写真を取り出した。そこには彼女の父親と母親と思われる人が魔族の赤ん坊を抱きかかえていた。


「この赤ん坊がネネ?」


「そうよ。私の両親は二人とも人間なの。だから私も人間よ。当たり前のことでしょう?だって魔族と人間の間には子供が生まれないもの。」


「ただ拾われただけじゃねぇのか?」


ドナルドは再度嫌なところをついてきた。ネネはまた口をとがらせて黙ってしまった。


「おいドナルドー。今は信じてあげようぜー?話が進まなくなっちゃうよ。」


「あーはいはいわかったよ!俺はもう何も言わねーよ。あとはレイジに任せる。」


ドナルドはあきれたように頭の後ろで手を組み、岩を背もたれにして座り込んだ。


「......で、まあそれが本当だとして、なんで魔族になったんだ?」


「......それが、全くわからないの。お母さんが言うには生まれた時から魔族だったって。」


「......そ、そうか。それは......なんというか、信じがたい話だな。」


「......だから素顔を見せたくなかったのよ。これのせいで私のパパとママは......」


そう言ってネネは暗い顔をしたままうつむいてしまった。


「うーん、そうか。なるほど。よく分かったよ。とりあえずはその話を信じるってことで。じゃあユダに話を聞きたいんだけど......」


レイジは振り返りユダの方を見た。ユダは自分の名前を呼ばれてようやく意識が現実に戻った。


「......なんでしょうか?」


ユダは一瞬で冷静さを取り戻して聞き返した。


「なあユダ。なんでネネの顔を見たときにあんなにも動揺していたんだ?」


「......それは。」


ユダは言葉に詰まり、目をあっちへこっちへと泳がせて言い訳を考えているようだった。そして少しの沈黙の後ユダは深呼吸をしてから話し始めた。


「......実は、彼女の顔が死んだ昔の友人によく似ていましてね。それで驚きのあまり脳の回路がバグってしまったのですよ。」


ユダから発せられたその言葉は嘘ではないとレイジは思った。しかし、まだ何か隠しているようだとも思ったが、それ以上に気になることを見つけてしまった。


「ユダ、お前、泣いてるのか?」


レイジに言われてユダは顔をしかめて自分の頬を触った。それは無意識のうちに右目から流れていた涙だった。ユダは驚き、その溢れ出る涙を(ぬぐ)った。


「これはこれは、恥ずかしいところを見られましたねぇ。」


ユダは涙を拭いながらいつもの不気味な笑みを浮かべた。


「ようやくいつも通りの調子に戻ったな。ユダはそれぐらい不気味な方がユダらしいって思うな。」


レイジは無邪気な笑顔でなかなかひどいことを言った。ユダは「ケッケッケ」といつも通りに笑った。


「そういえばネネにまた質問があるんだけど、ネネは最近その姿を誰かに見せたことある?」


「えっ?どうして急にそんなこと聞くのよ?」


「ああ、魔王軍がネネの正体について知っていたのが不思議でさ。もしかしたらネネの正体を知っている人の中に魔王軍に通じている奴がいるかもって思ってさ。」


「ああ。そういうことね。納得したわ。......結論から言うと、最近見せたことはないわ。もう7年も前から一人で山の中に住んでいたわ。最後に顔を合わせたのはママが死んだときだけね。それ以前はパパと私が生まれた村の人たちだけよ。」


「なるほど。そうなるとますます謎だな。なんでネネが魔族の姿だってわかったんだろう?」


レイジは頭の中が疑問だらけになった。しかし、レイジにとってこの状態はまさに最高の状態だった。なぜならレイジの知識欲が刺激されて興奮するからだ。


「まあでも、ここで考えても仕方ない。とりあえずサンシティに戻って悪趣味な王様に報告だろ。」


ドナルドは立ち上がって皆に問いかけた。それもそうだと思い、みんなはサンシティに向けて出発した。






キャラクター紹介


「あんこ」


天真爛漫、いつも明るくポジティブ、素直で純真、よく服を脱ぐ。そんな子供っぽい所が彼女のチャームポイントである。あんこという名前は姉御があんこを拾った際に髪の色があんこみたいだという理由でつけられた。本人は大変気に入っている。機嫌が悪くなってもアンパンを食べればだいたい治る。年齢は16歳。体系はちょっとぽっちゃりしている。悪いことをすると姉御にほっぺをぷにぷにと引っ張られる。


彼女もレイジと同じく赤子のまま捨てられていたところを姉御に拾われて育てられた。なぜか空をぷかぷか浮ける。


彼女の武器は神のへそくり。名前は『ミュージカル』。理由は指揮者がもっているような棒でヒシちゃん七人を動かしているからだそうだ。

七人にはそれぞれ得意な役割があり、探知、防御、風、切断、爆破、レーザー、水がある。それぞれを臨機応変に使い分けることによって様々な場面に対応することが可能である。


あんこがこの旅をする目的はただ単純に魔王を倒して平和にするという正義感からくるものである。ゆえに正義感のないレイジとはたびたび意見が対立することがある。


あんこがなぜ空を飛べるのかは謎である。



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