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星の勇者  作者: アシラント
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ゴゴvsサライヤン

サライヤンに襲われてゴゴとネネは2人で闘うことにした。そしてネネはゴゴに聞いた。


「ちなみに、ゴゴはサライヤンに勝ったこと無いって言ってたけど、なんで勝てなかったの?」


「そりゃあ、単純な話だ。サライヤンが速すぎて攻撃がほとんど当たらなかったからだ。」


「ふーん。じゃあ素早いタイプって事?」


「いいや、サライヤンの弱点は遅い事だぞ!」


ネネはゴゴの言っている意味が分からず首をかしげた。


「え?どういうこと?」


ネネに聞かれてゴゴはフフンと誇らしげに笑ってから言った。


「つまり、サライヤンはパワーも技術もタフネスもとんでもなく高い!唯一の弱点のスピードですら俺が追いつけないほどの速さだって事だ!」


ゴゴは真っ白な歯を見せながら笑った。ネネは渋い顔をした。


「...それって相当まずいわよね...」


「ああ!おそらく負ける!しかも手も足も出せずにな!ハッハッハ!最高に絶望的だな!!」


ゴゴは口を大きく開けて笑った。ネネはムッとした表情を浮かべた。


「笑ってる場合じゃないでしょう?...それに、あのネリィって子もずっとこっちを見ているわよ。もしかしたら彼女も闘うのかしら?そうなったら本当に勝ち目がないわよ。」


「そうだな!でも俺はあのネリィってやつを見たこと無いんだよな...。おいサライヤン!あのネリィって子は何者だ?」


ゴゴは自身の周りを高速で飛びまわっているサライヤンに聞いた。するとサライヤンはゴゴの前で立ち止まって言った。


「フフフ...やっぱり気になるか?彼女は俺が買い取った魔族の奴隷だ。海賊の島であるロイヤルポートシティから買ってきたってこ・と・さ!」


サライヤンはゴゴに向かってウィンクをしながら言った。ゴゴは再び質問をした。


「じゃあ、あの子も闘えるのか?」


サライヤンはフッフッフと鼻ひげを触りながら笑った。


「もっちろんさ!スピードだけに関して言えば、この俺様よりも速いのさ。そして彼女にはナイフを持たせてある。お前の一番苦手とする武器だな。つまり、ゴゴ。お前では絶対に勝てないのさ。相性が悪すぎる。」



サライヤンは手を頭の後ろで組んで脇を見せつけるようなポーズをとって言った。ゴゴはガッハッハと笑った。


「確かにな!俺はそういう速い奴が苦手なんだよなー!俺じゃネリィって子には勝てねーな!」


ゴゴは笑いながら言った。それに対してネネは少しムッとした表情を浮かべた。


「なに笑ってんのよ。この状況を何とかしないとまずいのは理解しているでしょう?」


「ああ!そうだな!ってーわけで、ネネ!何とかしてくれ!」


ゴゴは自信満々に親指を立てながら言った。ネネはゴゴの言葉が一瞬理解できずポカーンと口を開けて困惑し、数秒後にようやく理解してゴゴの頭を叩いた。


「あ、あんたねぇ!何のためにこの場にいるのよ!?」


ネネはゴゴのバカげた発言にツッコんだ。ゴゴはガッハッハと笑った。


「心配するな!俺がサライヤンの相手をする。」


そう言ったゴゴの顔は今までにない真剣な表情を浮かべていた。ネネはゴゴのその様子を見て冷静に聞いた。


「...勝算はあるの?」


「無いな。全くない。だが、もし俺が魂の力を扱うことができたら勝てるかもしれねーだろ?」


「...出来るの?」


「まあ、やってみないと分からんな。それに、もし出来なかったとしても時間稼ぎぐらいは出来るからな!」


ゴゴは何の迷いも無く言い放った。ネネはその言葉に少しムッとした。


「あんた...その言葉の意味が分かってるの?」


「ああ!まあそれはいざとなったらって時の話だからな!それに、もう喋ってる余裕はなさそうだぜ!」


ゴゴはそう言って親指をサライヤンの方に向けた。サライヤンは様々なポーズをとりながら待っていたが、それも飽きてきたのでジッとゴゴの方を見ていた。


「...もーういーいかーい?」


サライヤンはかくれんぼをする子供のような呼び方で聞いた。ゴゴもそれに乗って子供っぽく言った。


「まーだだよー!」


「まーだなのー!?もう待つのは飽きたぞ?」


サライヤンはうんざりした表情を浮かべてため息をついた。ゴゴはガッハッハと笑った。


「冗談だ!いつでもかかってこい!!成長した俺の筋肉を、お前に味わわせてやる!!」


ゴゴはそう言って両の拳を握りしめ、ファイティングポーズをとった。サライヤンはそれを見てニヤリと笑い、クルクルと体を回転させてからビシッと止まり、右手を天に掲げて人差し指を立てたポーズを決めた。


「いいねぇ。お前との勝負は、ワクワクが止まらないんだよねぇ。」


サライヤンとゴゴはお互いにジッと相手を見つめ合った。その瞬間、今まであったおふざけの空気が一瞬にして消え去り、緊張感が場を張り詰めた。互いの間に流れる風の音が鮮明に聞こえる程、お互いに集中していた。そしてゴゴの視界から突如としてサライヤンの姿が消えた。


「なにっ!?消え...!?」


ゴゴが言い終わる前に、サライヤンがゴゴの背後から左手でゴゴの顔の側面に裏拳をぶち当て、吹っ飛ばした。ゴゴはその巨体がまるで砲弾のようなスピードで辺りの木々をなぎ倒しながら吹っ飛ばされた。


「がああっ!?」


ゴゴは地面に深い跡が残るほどの威力で吹き飛ばされ、体勢を整える余裕も無いほどに手痛いダメージを受けた。サライヤンは少し悲しそうな顔を浮かべた。


「ゴゴ...お前、今の俺の動きが見えなかったのか?...はぁ。少し残念だな。成長していると言っていたから、本気を出しても大丈夫だろうと思ったのだが...どうやら見込み違いだったようだな...」


サライヤンはため息をつきながら言った。ゴゴは起き上がり、首をポキポキと鳴らしながら笑った。


「ガッハッハ!それはこっちのセリフだぜ!サライヤン!お前のパンチ、めっちゃ弱くなってるぞ!!」


「...なに?」


サライヤンは少しイラついた表情で言った。ゴゴは続けた話した。


「お前のパンチ、1年前は骨が折れるほどのパンチだった。でも今のパンチは全然痛くねぇ!せいぜいあざができる程度だ!」


「...あざができる程度って、結構痛いじゃん。」


サライヤンは素直に言った。ゴゴはガッハッハと笑った。


「まあ、そうなのかもな!俺はこれぐらいじゃ痛いと思わないけど!」


ゴゴはそう言って地面を蹴り上げてサライヤンに近づいた。そしてそのままの勢いでサライヤンに殴りかかった。サライヤンはそれを腕をクロスして防御した。


ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォン


まるで車と車が衝突したかのような鈍い音が辺りに響き、そしてサライヤンは顔をゆがめた。


「...っ!?こ、これは...!?」


サライヤンはゴゴのパンチが自身の想定以上の威力だったことに驚き、そして防ぎきれずに吹っ飛ばされた。体が縦方向にグルグルと回転して、まるで空中で何度もバク宙をしているような吹っ飛び方をしていた。そしてサライヤンは木にぶつかる瞬間に木を踏みつけて体勢を立て直した。


「ガッハッハ!どうだ!サライヤン!俺のパンチの威力は!!スゲーだろ!!1年前とは比べ物にならねーぞ!!」


ゴゴは心底嬉しそうに言った。サライヤンもフッと笑って言った。


「ああ。そうだな。見くびっていたよ。だが、ゴゴは肝心なことをやはり理解していないようだな。」


「ん?なんだよ?肝心な事って?」


ゴゴは眉をひそめた。サライヤンはフッと笑い、魂の力を少し開放した。


「闘いにおいて、もっとも重要なことはそう!魂の力だ!!」


サライヤンは一瞬でゴゴの(ふところ)まで入り込み、ゴゴの胸にパンチを繰り出した。その威力は先ほどのゴゴのパンチを上回るほどの威力だった。


「がはぁっ!?」


ゴゴは地面を足でえぐりながらブレーキをかけて何とか体勢を崩さないようにした。しかしサライヤンはそんな努力をあざ笑うかのごとく、続けざまにもう一発を左手でゴゴの胸にぶちかました。


「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!?」


ゴゴはその攻撃に耐えきれずに足が地面から離れ、体をのけ反らせたまま吹き飛ばされた。そしてサライヤンは地面を蹴り飛ばして吹き飛んで行ったゴゴの上から回転を加えた回し蹴りをゴゴの腹に思いっきりぶちかました。


「うっぐっ!?」


ゴゴは息が口から漏れ出る音が出てしまった。そしてサライヤンの攻撃でゴゴの背中側にある地面が、まるでガラスにひびが入ったかのように亀裂が入った。そしてサライヤンは華麗にジャンプをして地面に降り立つと同時に右手を天に掲げるポーズをとって言った。


「パワー、スピード、タフネス。そのすべてが(いちじる)しく強化される魂の力を扱わなければ、どう頑張ってもこれ以上強くはなれない。それはあのマスターブラックのじじいに聞いたんじゃないのか?」


サライヤンは目つきを鋭くして聞いた。ゴゴは「カッハッハッハッハ」と苦しそうな笑い声をあげた。


「ああ。言われたよ。それで...俺もわかってるんだよ。魂の力を使えた方が...いや、使えなきゃ話にならないって事はな。」


ゴゴはゆっくりと立ち上がりながら言った。サライヤンは眉間にしわを寄せた。


「なら、なぜ扱えるように努力しないんだ?」


「さあ。なんでだろうな。きっと、そんなことよりも闘うことが楽しくてしょうがねーんだろうな。」


ゴゴはそう言って狂った笑顔をサライヤンに向けた。そしてゆっくりと、じっくりと、拳にすべての力を注ぐように手のひらを握った。


「俺は、闘ってる時しか本気になれねーんだ。修行してる時とか、なんにも感じることが無いんだ。だから、魂の力がどうとか、努力がどうとか、そういう話は全く理解できない!俺にとって重要なことは!!つえー奴と闘う事だけなんだ!!!」


ゴゴは闘志に燃え上がる瞳でキッパリと言った。サライヤンはゴゴの言葉を聞いて少し驚き、その後にフッと笑った。


「...なるほどな。お前にとっての闘いとは、俺にとってのアイドルみたいなものか...ならば、話は不要だな!」


サライヤンはそう言うと、再び拳を握り戦闘態勢に入った。


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