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星の勇者  作者: アシラント
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ゲンブvs姉御軍団

姉御の号令であんこたちは一斉に飛び出してゲンブに攻撃を仕掛けた。ゲンブはその人数を把握してから言った。


「...そぉんなことしても...痛くもかゆくもないよぉ...」


ゲンブはそう言って避けようともせずにあんこたちの攻撃を真正面から受け止めた。あんこの蹴りが頭に入っても動じなかった。


「ええー!?いい感じのやつが入ったのに...」


あんこは渾身の蹴りが入ったのに全くの無反応なゲンブに驚いた。そして昆布が蛇腹剣のような武器の『ホワイト』で首を斬りつけても頑丈な皮膚に阻まれて傷一つ付けられなかった。


「ひえぇ!!?歯が立たないとはこのことでござるよぉ!?」


昆布はゲンブのあまりの硬さに驚いた。そしてゴゴが渾身の右ストレートをゲンブの頭にぶち込んだ。ゲンブは少し押された後に殴られた所をポリポリとかいた。


「うぅぅん。かゆい...」


「ガッハッハッハ!!!おい俺の攻撃がかゆいらしいぞ!!これって俺がよえーのか!?まだまだ筋肉が足りない証拠ってやつかぁ!?」


ゴゴは自身のストレートが効かない事に驚きと、そんな強い存在に出会えたことによる喜びを感じていた。そして最後にネネの勇者のマントを右手に巻いてからの渾身のパンチをゲンブの頭上にたたきつけた。ゲンブはさすがに涙目になって言った。


「うぅぅぅ。対幻獣用謎化学兵器(神のへそくり)かぁ...やっぱり痛いなぁ...」


ゲンブは頭のてっぺんから白い煙をあげながら言った。その煙は幻獣が神のへそくりに触れた際に出る煙だった。それを見てネネは姉御に伝えた。


「やっぱり、神のへそくりは幻獣に効くんだわ。姉御さん!ゲンブの討伐は私とあんこに任せた方がいいかもしれないわ!ゴゴと昆布は有効な攻撃を持っていないもの。」


ネネは姉御の方を見て言った。姉御も同じ事を考えていたので、うなずいて大声で言った。


「作戦変更!ゴゴと昆布はネネとあんこのサポートに回れ!ネネとあんこが直接ゲンブを叩く!」


姉御の命令にゴゴは困った顔をした。


「ええええええええ!!?サポートって...何すりゃいいんだよ!?タオルで汗拭くとかか??」


ゴゴはサポートをした経験もされた経験も無いため、全くわからなかった。姉御はそれを聞いてきちんと答えた。


「とりあえずあんたらは神のへそくりを持っていない。だからネネとあんこに来る攻撃をあんたたちが受け止めるか、ネネとあんこを避けさせるかして援護しな。時には攻撃をして自身に標的を移させたりしな!」


姉御の指示を受けてゴゴは理解して「おうよ!」といい返事をしてネネの近くにいることにした。そんなゴゴにネネは話しかけた。


「まさかゴゴがサポートに回るなんてね。...出来るの?」


ネネの質問にゴゴはガッハッハと豪快に笑った。


「わからん!だが、ネネに傷一つ付けないように頑張る!!それが俺の仕事って事だろ?」


ゴゴはニコーッと笑って言った。ネネはフッと笑った。


「そうね。あんたじゃ神のへそくりを扱えないものね。死んでも守りなさいよ?」


「おうよ!!」


ゴゴはハキハキとした返事で答えた。そして反対側の岸にいたあんこと昆布も会話をしていた。


「じゃあ、拙者は危険な攻撃役をやらなくてもいいって事でござるかぁ!!?それなら喜んでさせて頂くでござるよ!!」


昆布はサポートに回されたことに喜んでいた。あんこはフフッと笑った。


「よかったね!昆布!」


「うん!サポートなら拙者に任せて欲しいでござるよ!!拙者は気の利く男でござるからね!あんこのサポートを完璧にこなす自信があるでござるよ!」


昆布はいつもの弱気な昆布とは違い、自信満々な様子だった。あんこはそんな昆布を見て自分のことの様に嬉しくなった。


「頼りになるね!昆布!じゃあ早速、ゲンブに攻撃を仕掛けるよー!サポートは任せたよ!」


あんこはそう言って空中に浮いてヒシちゃんたちを取り出した。昆布はあんことゲンブの様子を見ながら木々の中に身をひそめた。


「大丈夫でござる!拙者に任せるでござる!実は弓矢の扱いも心得ているでござる!」


昆布はそう言って『ホワイト』の刃を変形させて弓状にした。そして矢は、ホワイトの刃のひとつを変形させて作った。それを見たあんこは驚いた。


「すごーーーい!!ホワイトって、そんなことも出来るんだー!?」


あんこは手を叩いて褒めた。昆布は褒められてニッコニコになって照れた。


「い、いやー!それほどでもないでござるよぉ!!」


「...もぉう、攻撃してもぉ、いいかなぁ?」


ゲンブはあんこたちの会話をさえぎって言った。それに対してあんこは戦闘態勢に入って言った。


「もちろん!いつでもかかってきていいよ!!絶対倒すんだから!」


あんこは強い意志を持って言った。それを聞いたゲンブは腹の底から鳴り響く咆哮を繰り出した。その場にいた全員が寒気を感じる恐ろしさをその咆哮に感じた。そして咆哮が終わった時に、湖の水が突然竜巻のようにグルグルと回転しながら上へと登って行った。


「な、なんだ?あの上昇する渦は...?」


姉御は未知の行動に警戒した。そしてゲンブは丁寧に教えた。


「だぁかぁらぁ、僕の能力はぁ、水を操る能力ってぇ、言ったでしょぉ?僕はぁ、あらゆる場所から水を生み出せるしぃ、水を手足のように動かせるんだよぉ。」


その言葉通りにゲンブの周りに現れた水の竜巻はまるで触手のようにうねりながら姉御たちを襲った。あんこは空中を浮遊してその攻撃を回避していた。


「うわぁ!!本当に襲い掛かってきた!?この水...なんか怖い感じする!」


あんこは迫りくる水の竜巻から何か嫌なものを感じ取った。それは姉御も同じだった。


「確かにね。水自体はタダの水だろうけど、そこにゲンブの魂が込められていて、悪意を感じるよ。おそらく、捕まったら二度と出られないと思う。だからむやみに攻撃して止めようと思うんじゃないよ!回避に専念しな!」


「ぐわーーっ!捕まったー!」


姉御が言った直後にゴゴが水の竜巻に捕まり湖に引き込まれていった。ネネはそれを見て驚いた。


「ゴゴ!?」


ネネに傷一つ付けさせないと豪語していたはずのゴゴが真っ先に敵の罠に引っかかるのを見て、ネネは落胆と呆れた感情の混じったため息をついた。姉御も同じく頭を抱えてネネに言った。


「...まあ、ゴゴのことは気にするな!ネネは回避に専念!ゴゴは...後であたしが助ける!」


姉御はこれ以上被害が拡大しないようにネネに回避の命令を出した。ネネもその意味を理解して、ゴゴのことを助けようとは思わずに、回避に専念することにした。そして姉御が苛立ちを覚えながら湖の様子を見ようとしたところ、湖の中から再び上昇する渦が出てきた。姉御は急いで回避した。


「いいいいいいいいいいいいいいやっほおおおおおおおおおおおおおお!!!」


その渦の中から出てきたのはなんとゴゴだった。ゴゴはランスを手に持っていた。


「ゴゴ!?脱出できたのかい!?」


姉御は驚いて聞いた。ゴゴはそれに返事することなく再び湖に飛び込んだ。姉御は湖の中を見た。するとゴゴは持っていたランスがドリルのように回転して、そのおかげで水の中をものすごいスピードで移動しているのが見えた。その速度はゲンブの水の拘束を突き破るほどの速さだった。


「うぅぅぅん。面倒なのがぁ、いるなぁ...」


ゲンブも自身の水の拘束をものともしないゴゴの存在をうっとうしく感じていた。それを見た姉御はゴゴに指示を出した。


「ゴゴ!!あんたはそのまま湖の中を駆け回りな!その間にあたしらでケリをつける!!」


水の中にいるゴゴは親指を立てたサムズアップを姉御に示した。姉御は薙刀を取り出して戦闘態勢に入った。そして全員に命令を出した。


「全員!攻撃だけを考えろ!!水はゴゴが何とかする!」


そう言って姉御は真っ先にゲンブに対して攻撃を仕掛けた。ゲンブは水を操って姉御を掴もうとした。その瞬間、湖から勢いよくゴゴが飛び出してきた。


「うおおおおおおおおおおお!!!ドリルランスウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!」


ゴゴはそう言って水の竜巻にドリル回転したランスをぶつけることによってゲンブの水の竜巻を破壊した。そして姉御は目の前の障壁が無くなったおかげで全力の一撃をゲンブの頭に叩き込めた。


「はあああああああああああ!!!」


姉御はその一撃を与える際に、魂の力を全て開放してたたきつけた。その一撃はゲンブの頭を地面に激突させ、その衝撃で地面にひびが入り湖の水が荒れ狂った。


「があぁ!!?」


今までノーダメージだったゲンブが、初めてまともにダメージを喰らった瞬間だった。ゲンブは信じられないという表情をして、頭から血を流していた。


「ま、まさか、この僕がぁ、ケガするなんて...」


防御力に自信のあったゲンブはただの人間の一撃にダメージを負ったことにひどく動揺していた。その隙を逃さず、あんこが魂の力を解放してヒシちゃんたちを全員整列させてゲンブの頭に狙いを定めた。


「くらえ!!!スタンディングオベーション!!!」


ヒシちゃんたちが輪になってその中心から真っ白なレーザービームを放った。そのレーザービームは姉御が傷をつけた頭に直撃した。


「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!?」


ゲンブは痛みで声をあげた。そしてフラフラとする意識の中でネネがとどめの一撃を放とうとしていた。


「はああああああああ!!!」


ネネは勇者のマントをグルグルにまいた腕で思いっきりゲンブの頭にパンチを繰り出した。ゲンブはそれを受けてもはや声にならないほどの痛みに震えていた。


「がっ...あぁ...」


ゲンブはそのまま力なく倒れて息も絶え絶えの状態だった。


「うぅぅ、ま、まさか、やられるなんてぇ...」


ゲンブはそう言って首だけを陸地につけた状態でぐでーッとしていた。そして水の竜巻はまるで花火のようにパーンとはじけて消えた。

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