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慟哭のメタモルフォーゼ  作者: 田中 スアマ
第三章
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第三章

 十次元戦争から五年。世界もすっかり平穏を取り戻していた。


 十次元極地支配概念状生命体、通称「天人」からの侵略的精神汚染攻撃にも人類は耐え忍び、〝色の無い戦争〟とまで言われた静かな争いは終わりを迎えた。


 第五次作戦「ヘイト・トゥ・デス(しぬほどきらい)」の功績者ツクバユウキは戦争終結後の会見で「たった今、人類は進化した」と言い切ったが、永遠の安寧と平和、抗争の断固拒絶と引き換えに人類は立ち向かう勇気と開拓心を捨てたのが実情だ。


 八億の人類を犠牲にした上で人間が成し遂げた進化は、余りにも悲しい進化だった。


 戦争終結から五年。全ての人類から絶望が消え、人類には真の平和が与えられた。神様が八億もの人間をお迎えし、残った人類で絶望をプログラム管理して、あらゆる苦痛や恐怖をゴミ箱にドラッグ&ドロップした。


 その結果、年齢、性別、職業、障害、人種のどれにおいても酷い差別は無くなり、自殺や精神病は文化史に項目を移した。


 バッタバッタと人が自殺していくものだから国家間の内戦は全て終結し、犯罪率も超低下。人々の心には余裕が生まれ、心療内科はほぼ全てが廃業してアンデスメンテナンスの業者に移り変わった。


 アンデスは断固として〝悪〟を許さず、人間の持つ意識すら介入し統制し始めた。


 人類同士の抗争が存在しない世界平和は五年目へと進み、勇気と開拓の心は今では誰も覚えていない。

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