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魔女と王 〈下〉


それからは時が立つのがとてもはやく感じた。

そもそも、魔女の寿命は千年ほどのため、人と比べるとはやいのは当たり前なのだが。


王と結婚をし、私は王妃となった。


国民には私が魔女ということは隠したが、王家は魔女の私を受け入れてくれた。

彼には小さな娘――白雪がいたが、彼女も私に懐いてくれた。


毎日が幸せだった。

笑顔が耐えない日々だった。



そして、その幸せは突然崩れていった……。


◆◇◆


「なぁ……俺が死んだらさ、白雪のことを頼むよ……」


最近の彼の口癖。私は、その言葉に泣きそうになりながらも、「あなたは死なないわよ」と、笑顔で返す。


王が倒れたのは半年前。なんの前兆もなく、突然倒れた。

私は全ての知識を試し、彼の回復を志したが、不可能だった。


毎日毎日、段々と弱っていく彼の姿……私は毎晩、彼に隠れながら泣いていた。


「お義母様。お父様は大丈夫なのですか……?」


白雪が不安そうに私に尋ねる。私は「死大丈夫よ」と、笑顔で返す。


大丈夫だろうか。笑おうとしてもどうしても顔がこわばっているのが自分でもわかっていた。



白雪は10歳となり、美しい少女へと成長していた。

光を浴びてキラキラと輝く漆黒の髪に、吸い込まれそうな黒の瞳。


彼にそっくりな色に少しだけ羨ましく感じてしまう。


しょうがないわ、私はこの子の本当の母親ではないのだから。


そう自分に言い聞かせ、私はそそくさと部屋へと戻った。


◆◇◆


王の容態が急変した、という言葉を聞かされたのは私が少し遠くへと出かけていた帰りだった。


そして、私が彼の部屋に帰ってきた瞬間にはもう、彼は……。


ベッドの上で動かなくなった彼の傍で涙を流し続ける白雪を私はそっと抱きしめる。


あの日、彼が私を抱きしめてくれたように。


そして、彼女が落ち着いたのを確認すると、私は立ち上がった。




私はその日から、この国の女王となった。



次は、皆さんの知っている白雪姫と物語が近い感じになっていきます!

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