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幸福と絶望と異世界生活と  作者: ゴルハアミーゴ
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5.メティス

9/19 叡智のスキルの項目表記がおかしかったので修正しました。

『マスター。私の声が聞こえておりますでしょうか。』


 頭の中に響く声は独特な響きを持っているため、耳で認識する音とは明確に異なる。だが、念のため、立ち上がって周囲を見渡す。見える範囲からの念話やテレパシーのような能力があるとも限らないからだ。


『誰もおりませんのでご安心くださいマスター。声が届いているようですので、お応えいただけないでしょうか。心の中で思うだけで結構です。』

『ああ。聞こえている。マスターとは俺のことであっているか?』

『はい。佐々瀬凌牙様、あなた様が私のマスターです。』


 マスターか。喫茶店のマスターでもないし、いきなりマスターと言われてもな・・・


『お前は誰なんだ?』

『私は人ではありませんマスター。叡智のスキルとなります。』


 叡智のスキルといえばスゲー空間で手に入れた最高ランクのスキルか。最高ランクのスキルって喋るのか・・・というかスキルが喋るとか意味がわからんな。


『叡智のスキルねぇ。そのものということは、なんだ?お前は知識量がすごいとかそういう存在なのか。』


『概ね正しいかと。私の出来ることとなるとその範囲は多岐に渡りますので、ご説明に時間がかかります。24時間随時サポート致しますので私に出来ることは段々と把握頂ければと思います。』


 意思があるかどうかは知らんが、説明をする意思がないともとれる発言だな。


『そうか。ただ現状お前を信用するのはどうかと思っている。信用する材料がないからな。』


 アマテラス様でさえ知らないスキルだ。第三者の意思が介入している可能性もある。叡智。叡智か。そうであるならふっかけた質問をしてやろう。


『叡智のスキルよ。その叡智を持ってお前が俺の味方であることを証明せよ。』


『マスター残念ながら今の私では証明することが出来ません。ただし、私はマスターの力の一部です。ご希望であれば機能の一部もしくは全てを停止することが可能です。ステータス画面でこれらを操作できるようにすることが出来ますが、いかが致しますか?』


 ステータス画面を変更できるということか。有能なスキルだ。ブラフでなければな。


『そうだな。変更してみてくれ。』


 叡智のスキルに指示をした後、言葉に引っ掛かりを覚える。今の私では証明できない?ということは過去もしくは将来的には証明できた、出来る。ということか。叡智のスキルとは能力が変わるものなのか?あとはステータス画面の改修結果だな。


『ステータス画面の改修が終わりました。ステータス画面をご確認ください。』


 言われて目の前にステータス画面が表示される。


 ホーリースキル:

  叡智

    提案

    説明

    ステータス画面操作補助

    戦闘補助

    鑑定

    肉体操作


 しまった。元の状態を確認してない。項目の隣にはチェックボックスが付いており、現在は全てにチェックが付いている状態だ。


『見落としがあってはまずい。変更点と項目を説明してくれるか。』

『了解しましたマスター。』


『まず変更点としてはホーリースキル:叡智の項目に小項目を追加し、それぞれの項目にオンオフを選択できるようにさせていただきました。次に各項目についてですが、これはかなり要約したものであり、例えばステータス画面操作補助については今回のようなステータス画面の改修から、インベントリ内の操作まで対応可能です。また、肉体操作に関しては字の如く、マスターの身体を私が動かすことが可能な点もありますが、マスター自身が不可能な、発汗を止める。菌を殲滅する。治癒能力を一時的に増加させるなどの操作も可能です。ただし、基本的には魔力や気、体内の栄養を消費することは避けられません。恒常的な運用には不向きなものが多いと理解頂ければと思います。』


 これはとんでもないな。さすがは最高ランクだ。一つのスキルとして考えられる幅を超えている気がする。信じる信じないの次元に無いということか。


『叡智のスキルよ。お前の能力の一端を見せてもらった。そしてその危険性も理解した。また、悪意があればスキルを取得してから今までの間で俺のことをどうとでも出来るということもな。信用しよう。ステータスの項目は元に戻しておいてくれ。その上でお前の機能に制限をつける。』


『俺の精神、意思を操る、誘導することを禁ずる。ただし、その必要性が生じた場合俺本人の了解のもと、行使を許可する。ただし、俺が正気でなく、俺の了解を得られない場合、ハヅキの了解をもって、行使を許可する。』


 気休めかもしれないが、本当に信頼できるスキルであるならばこれが全うなところだろう。後者は年のための保険だ。


『了解しました。マスター。全てはマスターの御心のままに。』


 さて、ひと段落か。と一息つきかけたところで、叡智のスキルから声がかかる。


『マスター、一つお願いがございます。私に名を授けていただけないでしょうか。』


 名。呼び名か。たしかに叡智のスキルでは不便だな。うむ。叡智。エイチ、えいち、H、えーいち、エーイチ。


『エーイチ。エーイチでどうだ?』

『・・・・・マスター。可能であれば女性名でお願いできないでしょうか。』


 叡智のスキルから呆れた雰囲気がする。ネーミングは苦手なんだよ。センスが無いんだよ。エーイチがだめならエイコか?お!栄枯盛衰の栄枯みたいでなかなか良さげなネーミング。


『マスターの記憶から、知を司る名として、メーティスという名前があることを確認しております。いかがでしょうか。』


 少し、慌てたような雰囲気が伝わってくる。そうですか。俺のネーミングセンスは腐ってますか。


『おぉ。早速便利だな。確か知恵の女神様だったかな。わかった。若干縮めてお前の名前はメティスだ。よろしくな!メティス!』


 メティスから喜んでいる雰囲気がする。


『了解しましたマスター。私の名はメティス。いつ、如何なる時も貴方様に付き従います。』


 どこぞの騎士のようだな。これが俺とメティスとの出会いだった。











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