表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸福と絶望と異世界生活と  作者: ゴルハアミーゴ
30/37

30.再戦前夜

すみません。日付ミスして11月1日分が投稿されていませんでした。

1回飛ばしましたが、次回は11月7日となります。


 ハウルの身体が冗談のように吹き飛んでいき、修練場の壁に衝突した。土でできた壁には亀裂が走り、砂煙が上がっている。その姿は確認できない。


 生きてる。よな。


『はい。威力としては殺しかねないものでしたので、シールドを使い、衝撃を緩和いたしました。』


 衝撃を緩和か。切断されるより衝撃で吹っ飛んだのはそのせいだろうな。


『上出来だ。にしても剣聖によるステータスの上昇はとんでもないな。』


 前回のかすりもしなかった攻防を思い出し、今の一撃を思い返す。


『剣聖というよりももはや、アマテラス様、様様といったところですね。』


 今俺は救うもののスキルが発動している。正確には昨日からだ。そして新しく得た剣聖のジョブはとんでもなく強力だ。






「さて、救うものが発動してることだし、ハウルとの再戦までひたすら訓練だな。」


 ハウルとの会話をしている最中に救うものが発動していた。発動となったトリガーはリヴを救うと決めたことか、ハウルを救うと決めたことか、もしくはその両方か。自分の心の話だが判別がつかない。


 場所はスゲー空間。目の前には実体化したメティス。時間は無制限。ハウルとの再戦まで戦略を練ろうとしていた。


「基礎能力の上昇、スキルの習得を目的にひたすら魔物を狩るというのが最善解かと思われます。」


「そうだな。基本は武闘家のレベルを上げるのと、あとは・・・ガチャか。ジョブガチャを引けたら引いておきたいな。」


 話しながらAchievementと書かれた石板の前に移動する。


 ジョブ:剣士をMasterする・・・500pts

 炎魔法を100回行使する・・・100pts


 剣士のジョブと炎魔法か。やはりジョブガチャの恩恵は大きいな。上位のジョブが引ければptsまで稼げると言うことか。にしてもこれって・・・


「メティス、火魔法の行使回数はわかるか?」


「問題ありません。112回になります。」


「このうちハウルと戦った時の回数はわかるか?」


「はい。93回になります。」


 あの戦闘だけでそんなに数がいったか。と言うことは・・・


「メティス!良いpts稼ぎだ!今から森に行って魔法をひたすら行使して実績を稼ぐぞ。」


「了解しました。マスター。」


 酒は救うものが発動した段階で抜けている。スゲー空間から出て宿屋を後にする。移動するのにあたり、荷物の心配などない。宿屋の部屋に置いてきていたムートとスゲー空間に戻している。部屋に戻ると嬉しそうに近づいてきたのでぷよぷよした背中に顔を埋めてやった。気持ちいい。

 余談だ。


 門番は基本的に24時間・・・24時間というのも変な気がするが。交代制で番をしているらしい。日も沈んで随分と立つ。街の外に出れない可能性もあるかと思ったが、街から外に出る分には問題ないらしいが、街に入るのはできないらしい。


 街の近くの森に入ってしばらく走る。幸い月明かりが辺りを照らし、森と言っても林に近い。視界の確保は問題ない。メティスの誘導でちょっとした広場に出た。ここまで1時間もかかってない。なかなかのペースだ。


『さてメティス。ここからはメティス頼みだな。ひとまずは炎魔法を可能な限り早く、多く行使したい。MPは無尽蔵だ。やりたい放題だな。』


「了解しました。それでは行使します。」


 目の前に炎の玉が一つ現れた。


『メティス?』


 炎の玉はバスケットボールくらいの大きさだ。炎が瞬き、辺りを明るくしている。熱さは感じない。本当に明るさだけ。光だけしか発していないように見える。ちらつく。というか瞬いているのが見える。光?


『これって・・・』


 〈スキル:並行詠唱を獲得しました〉


 脳内に声が響く。と同時に目の前の炎の玉が砂が溶けるように形を無くしていく。


『はい。お察しの通り、周囲への影響を考え、極小のファイアボールで炎の玉を形作りました。スキルも獲得しましたね。』


 なかなか手の込んだことを平気な顔して・・・もとい、平気な声していいやがる。

 にしても並行詠唱とかなかなか良さげなスキルだな。


『メティス。並行詠唱のスキルとはどんな効果なんだ?』


『並行詠唱とは文字通り、複数の魔法を同時に行使することを可能にするスキルです。通常、魔法を同時に行使しようとすると、詠唱が干渉してしまい魔法の発動に失敗してしまいますが、この干渉が無くなるということになります。』


『そ、それってメティスが行使すれば基本無詠唱だからスキルの効果無くないか?』


 ぬか喜びだな。なんて残念スキルだ。


『いえ、私にもその恩恵があります。こちらをご覧下さい。』


 パッと顔を上げると先程のバスケットボール状のものが目の前に6つ並んでいる。


『先程までは負荷の関係上一属性の玉を作るだけで精一杯でしたが、負荷が格段に減ったため、このように複数同時発動もお手の物です。』


 壮観だ。一つ一つの玉が淡く光りながらそれぞれの色に瞬いている。透明に近く、輪郭が水色の玉は水魔法、細かい石が積み重なったような玉が土魔法だろう。ちなみに無属性はガラス片が集まったようなものだ。凄まじい速度で、形成されていっては消えていくのが見える。


『なるほどな。じゃあこのまま全属性の回数稼ぎだ。』


 しばらくすると、それぞれの玉が炎の玉と同じように崩れていった。さすがに炎一つのときよりはかなり時間がかかった。これも負荷というやつだろう。


 〈スキル:短縮詠唱を獲得しました。〉

 〈スキル:短縮詠唱をMasterしました。〉


 お、おう。短縮詠唱か。また有用そうなスキルだが、早速Masterか。まぁ魔法行使回数が取得条件で、lvの上がり方も救うものの効果でブースト中だからな。


『各属性10000回の行使が完了しました。』


 これで、炎、水、土、風、光、闇、無で七属性、七万回てところか。


『どうせだったら十万回までいってみるか。属性はなんでもいい。あと三万回続けてくれるか。』


『了解しました。マスター。』


 メティスの声が聞こえるとすぐに目の前にいくつもの玉が現れる。20個以上はあるだろう。一つ一つの大きさは先ほどまでのバスケットボール大より若干大きい。先ほどまでは玉一つにつき一色だったが、玉一つ一つが様々な色の粒で瞬いている。モザイク画のようだ。短縮詠唱の恩恵なのか、メティスの負荷が下がったのだろう。メティスの得意そうな雰囲気が伝わってくる。あとで褒めてやらなければな。

 

 〈スキル:短縮詠唱が発展し、無詠唱を獲得しました。〉

 〈スキル:無詠唱lv2になりました。〉


 数秒して玉が一つ一つ消えていくのを見ていると頭の中に声が響いた。


 ついに。というかそんなに時間が経っていないが、強力なスキルの代名詞と言わんばかりのスキルを手に入れてしまった。救うものの効果やばすぎるな。


『おめでとうございます。マスター。ついに無詠唱を獲得ですね』


『ああ。あっけなさすぎだがな。メティスのおかげだ。助かるよ。ありがとう。』


『はい。マスターのお力になれて何よりです。』


 言葉は淡白だか、嬉しがっているような雰囲気が伝わってくる。子犬の撫でて撫でてーと同じような感じだ。かわいい奴め。


 ハウルが誤解していた無詠唱を獲得したわけだが、習得条件が気になるところだな。トータル十万回の魔法行使が習得条件だとは思うが、これは一般的にどうなんだろう。一般的な魔法使いが一日に使える魔法が10回だとする。毎日やったら一年で3650回、10年でも3万6500回、30年で10万9500回、だいたい27年かそこらか。10歳から始めたら無詠唱の習得は37歳か。そうなると無詠唱って結構一般的な感じがするな。


『メティス。無詠唱を習得している人口はこの世界で何人くらいだ。』


『ざっと答えますと50人程度です。』


 全然一般的じゃない・・・またレアな存在になってしまった・・・俺自身の資質とか、救うものの効果で獲得スピードは変動しているだろうし、比較対象がないからな。まぁいいだろう。


 よし、じゃあ本来の目的に戻ろう。

 ハウルと別れてから2時間は経っている。スゲー空間で実績確認だ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ