冒険者 43 エルフたちと 4
私はサンなんとかについている、二人のエルフに話しかけた。
いや、さすがにリーダーに文句言うのは怖くって。
「いい?私は途中で別れちゃうんですからね。
それまでに、この子たちの世話がしっかりできるように、仲良くなって頂戴。
他の女の人に会えるまで、あなたたちがお母さん替わりよ」
と言ったら、二人は顔を見合わせ、小鳥のさえずりのような言葉で、怒ったように何か答える。
『女に例えられるのは侮辱のようじゃ』
もおっ!なんて偏見でがちがちのばかエルフ!
男尊女卑なんて、ふた昔も前の・・・いや、バイト先のイヤーな上司を思い出して、かっかしてきた。
子供の世話は母親がするものだって、ふんぞり返って言ってたタヌキ親父。
人間にも、いまだにいるんだよ、そういう奴。
碧ちゃん、翠ちゃん、あんな大人になっちゃだめだよ。
「ほら、近寄って、笑いかけて、安心させてあげてよ!」
姪っ子のお父さんは忙しい社長さんだったけど、ちゃんと子供と遊んでいたよ。
そう、一緒に遊んであげて。
・・・・・・・・・。
『じゃからと言って、伝説の種族エルフに、「せっせっせ」と「あっちむいてホイ」を教えるか?』
帽子に呆れられてしまった。
だって道具も時間もないしー。
翠ちゃんと碧ちゃんが喜んでいるんだから、いいじゃないの。




