冒険者 42 エルフたちと 3
おかしいなぁ。
みんな平気な顔ですたすた歩いているだけだし、サンなんちゃらの二頭も走ってるわけじゃないのに。
景色が飛ぶように流れていく。
久しぶりのヨミの背中は頼もしく温かく、肩の筋肉が動くリズムが心地よい。
レッドさんの息が上がり始めた(ざまぁごらんあそばせ)頃、小休止が入った。
碧ちゃんと翠ちゃんを下ろしていると、リーダーがぎろりとこちらをにらんだ。
え?何で?
『そなたが歩いていると、早駆けの魔法がかけられなかったようじゃ』
帽子が言った。
ヨミに乗ったら、やっと魔法をかけることが出来たと。
えー?なにそれー?
私が実際に足を引っ張ってたの?
っていうか、憧れのエルフが魔法をかけてくれたのに、私にはきかなかったということ?
もう、悔しいったらない。まったく気付けなかったなんて。
しかし、エルフたちって、こんなにコミュ障ばっかりなの?
今朝から一言もしゃべっていない。
リーダーがハンドサインだけで命令を出しているの。
(いや、美形がやるとその動きは凄くかっこいいんですけどね)
リーダーの名前さえ知らないし。
『名は明かさぬだろうよ。エルフと人とは長い争いの歴史がある。お互い不信感でいっぱいじゃ』
ふうん。
サンたちから降りて私に抱きついて来たエルフっ子たち。
この子たちも成長すると、あんな閉鎖的な奴らになっちゃうのかな。
それにしても。
「ちょっと、あなたたち、私にばっかり任せていないで、この子たちに声をかけてあげなさいよ。
別れる時までに、懐いてもらわなきゃ困るでしょう?」




