冒険者 37 魔女? その2
長らくお休みしてしまいました。申し訳ありません。
現実のごたごたはあらかた片付いたのですが、なかなか調子が取り戻せなくて、しばらく不定期に投稿させていただきます。
「ジュナと竜の戦士」を連続投稿はじめました。こちらは完結しているので、最後まで連日投稿します。
37
『執着』と『直観』・・・って、まるでストーカーじゃないのっ。
天使みたいな金髪巻き毛でなんて性悪なギフト持ち!
「そのギフトのおかげで獲物を執拗に追いかけ、手にすることに長けているという。
軟弱な容姿のくせに、侮れぬ奴よ」と、熊さん。
うう・・・ナンドールの美形四人の中で、あれが一番たちが悪いかもしれない・・・。
「パンタールの街はパスします」
彼らに出会う危険があるなら、もう、絶対に行きたくない。
「乳母になる気なんかないけれど、アトス・クアトロス神殿まで同じ方向なら、冒険者として依頼を受けて、途中まで一緒に碧ちゃんと翠ちゃんを送って行ってもいいわ。
何日もかかる旅なんだから、その間に大人のエルフたちと仲良くなってもらえばどう?」
森に詳しいエルフたちなら、いい裏道を知っているはずよね。
エルフたちの世代の断絶を埋めるのにもいい機会じゃない?
「我々も同行しよう」
いきなり熊さんが言いだした。
「そなたが聖女なのか、魔女なのか、ローハタン老とやらの答えをぜひ聞きたいものだ。
そなたが真実、ナンドールから脱出する気なら、カラハンが迎え入れよう」
「金属を身に着けたやかましい人間どもなど、連れて行かぬぞ」
エルフが冷たい声で言った。
「我らに必要なのは、その冒険者の女だけだ」
「そうはいかん!」
熊さんが怒る。
「聖女であろうとなかろうと、この女はカラハンが保護する!」
再び、エルフと熊さんがにらみ合う。
「あなた方、奴隷商人たちをパンタールに送り届けるんじゃないんですか?」
罪人と助けた奴隷たちを放り出すわけにいかないでしょうに。
熊さん隊長はぎりぎりと歯噛みをすると、いきなり怒鳴った。
「ヨハン!」
小熊のヨハン君が駆け寄る。
「はっ!」
「ヨハン、臨時に小隊長を命ずる!
罪人をパンタールまで護送し、領主に引き渡せ!」
「はっ!えっ?はっ?」
驚いてしどろもどろのヨハン君をしり目に、熊さん隊長はいきなりサーコートを脱ぎ捨て、プレートメイルの留め金を外しはじめた。
えっ?こんなとこで何を始めようと?




