冒険者 36 魔女?
36
「エルフたちの申し出を受けて、子供たちを送っていくか?」
エルフの国へ?
って、どこにあるのだろう?
「北西の樹海の中、としかわからん。
千年戦争以来、エルフと人間は不可侵不干渉だ」
ヒトツメの森のむこう、アトス山を越えた先。ルウム大陸の中央部分は、山脈と樹海が続く空白地帯だ。
人間は海沿いの平野部分に散らばって八つの王国を作っているが、大陸全体を見ればその全部を合わせてもわずかな面積にすぎない。
あとは手つかずの大自然。まだまだわからない事だらけ。
エルフが住む、という事は、ドワーフもいるのかな?
ヨミはシェイプシフターで動物に変身できるけど、ケモミミの獣人さんとかは?
ドラゴンは?フェアリーは?
と、おもわずにへらーっと顔をゆるめてしまっていたら、熊さん隊長にすごーく不審な眼で見られていた。
あー。ごほん。
「基本的にはこのままパンタールの街へ向かう方向でいいんですよね」
「あの町に寄ることは勧めん」
熊さんがむっつりと言った。
「ナンドールからの追手が待ち受けている可能性が高いぞ」
ぎょっとして見上げると、熊さんはむっつりとうなずく。
「ナンドールの聖騎士団がそなたを捜索しているようだ。
団長ガダンと騎士アンジェロの姿が目撃されている」
私たちがアトス・クアトロス神殿に向かっているのは、教母マデリーンに勧められたからだった。
行先の見当がつくのは彼女とアンドレアくらいだろう。
騎士団の副隊長アンドレア子爵が彼らに行先を教えてしまったのだろうか。
「騎士アンジェロ。あの若造は少々やっかいでな。
異能のギフトの持ち主だと噂されている。
『執着』と『直観』
執着した相手を追跡し、追いつめる事に長けておるのだと」
なにそれーっ!きもっ!




