冒険者 32 エルフたち その3
32
エルフたちは成人男性と女子供は別々に暮らしているんだそうな。
二つのグループはつかず離れずの距離にあるけど、特別の行事以外は一緒に交わることはない。
えー、それじゃ新婚さんのラブラブカップルはどうするの?
って聞いたら、そんなことまで私が知るか、と熊さん隊長ににらまれた。
碧ちゃんと翠ちゃんは、両方のお母さんと一緒に森で暮らしていたんだけれど、悪い人間に見つかってしまい、お母さんたちを殺されて、攫われてしまったのだ、と。
二人とも、大人はお母さんたちしか知らないで育った。
つまり。
「エルフの男性も、人間の騎士も、同じくらいに見知らぬ大人。
男性は皆、異質でこわいんだと?」
そしてエルフの男たちは、子供の扱い方を知らない。
「だから懐いている魔女殿が来てくれないと、二人の世話が出来ないというのだ」
『子供を取り戻すためではなく、復讐のために追って来たのか』
帽子がぼそりとささやいた。
「我々が敵でないことは納得した。
だが彼らは、犯人の引き渡しと魔女殿の同行を強硬に主張しているのだ。
我らはカラハンの人間。他国でエルフと事を構えるわけにはいかぬ」
熊さん隊長はぎろりと私をにらむ。
「行くか拒むかはそなたの自由だ。
だが、我等の保護を求めるならば」
うう、なんか眼の圧力が怖い・・・。
「そなたが何者なのか、説明してもらおう」
そうだよねぇ・・・。




