冒険者 15 魔獣 その4
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その後何度か「闇狼」が襲って来たけれど、みんな大きな群れではなく、倒して拾った魔石は三つだけ。
ところが困ったことになった。
なんとか『浄化』出来ないかと、『瘴気』に慣れようと、必死で耐えていたんだけれど、ちょっと近づきすぎて、うっかり汚れた空気を吸ってしまった。
うーーーーーっ。
『瘴気』にあてられた私は、どうにも耐えられず、小間物屋さんを拡げてしまった。
弱ったものを狙う魔獣はしゃがみ込んで吐いてる私に向かい、ヨミと帽子は防戦に必死。
「・・・ご・・・ごめんなさい・・・」
魔獣を片付けたヨミに背中をさすられ、マントが出したコップに帽子の冷たい水を注がれて。
何とか立ち直った私だったけど、それ以来。
『瘴気』に近づくたびに、吐き気がするようになっちゃって。
・・・ううーーー・・・。
「やはり街道へ戻ろう」
『そうじゃのう』
なんだか皆の足を引っ張ってばかり。
このまま救国の聖女として担ぎ出されてたら、どうなってたことか。
ヨミに支えられてふらふらしながら街道の方へ歩いて行くと、マントから警告が。
【前方に十二頭の闇狼の群れと三名の人間を感知】
「ハンターのパーティーにしては少ないな。戦闘中か?」
【肯定。囲まれています】
『手を出さんほうがいい。冒険者稼業に危険は付きもの。
ここで起きた事はすべて自己責任じゃ』
ヨミも無視して行こうとする。
「君の安全を最優先する」
【三名のうち、一名は武装。二名は非武装の未成年】
え?
子供?




