冒険者 14 魔獣 その3
14
『なにか、こう、これが「天敵」とか、「消滅させなければ」とか、「せっきょくてきなあぷろーち」をせねばとか感じないかのう』
全然。
もう、背中向けて逃げたいだけ。
こんな気持ちの悪いものに近づきたくもない。
「浄化できそうか?」
「出来そうにないです」
『ヒール系の回復魔法は使えても、神聖魔法系は発動しないということかの?』
『瘴気』の浄化が出来ない『聖女』
それじゃ、百人の対価を使って、『聖女』として召喚された意味がないって事じゃない。
「もう、何としてもアトス・クアトロス神殿のローハタン老に会わなきゃ」
〇ーダのような老師だろうが、逆立ちさせられようが、何としても『浄化』の力に目覚めないと。
「開・眼人」みたいな大きく素敵な方だったらもう必死でついていって・・・いやいやいや・・・。
「俺は『戦士』系のレベルが上がったようだ」
またスキルが増えたと、ヨミは言う。
戦闘で経験値が入るのは止めを刺したヨミだが、パーティを組んだ仲間にも幾分かが割り振られる。
『儂はまだ何も感じぬなぁ』
私も少しは上がってるはずだよね。
ヨミに渡された、冒険者としての収穫、たった一つの魔石を収納に納めて、私たちはまた北を目指した。




