冒険者 7 冒険者(初心者)
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「へえ、私たち、ずいぶんゆっくり進んで来たと思ったけど、一緒になっちゃったのね」
『そんなはずはない。王都で長く引き止められたかもしれんが、向こうは騎獣と馬車じゃ』
そんなにゆっくり旅をしてたら、食料や備品が足りなくなってしまうって。
大きな隊商は、街の外に近い駐馬車場に止めるそうだけど、そんな姿も見ていないし。
宿の受付で、聞いてみた。
「ずいぶん立派な騎士様ですね」
「ええ、中央のカラハン国の騎士の一団ですよ」
騎士の一団。
隊商とは、別行動をしてる?
詳しい話が聞けたのは、夕食後街に出てふらりと入った居酒屋でだった。
「カラハンの連中が、本隊を先に帰してこの国に居座っとる」
「王都でなんかあったらしいな」
「何でも、人探しだとよ」
ぎくっ!
「ほう。ギルドに賞金首でも告知したのか?」
「いや、ギルド経由じゃなく、独自で動いているそうだ」
「よそ者が、人の国でうろちょろしやがって」
「王都では、聖女様の召喚がされたらしいぞ」
「それなのに、お披露目のパレードもなしか?
聖騎士団はどうしたんだ」
ぎくぎくっ!
「こりゃ、噂だがな、なんと、聖女様が消えたっていうじゃないか」
「何だと?じゃ、召喚は失敗したのか?」
「いや、それがなぁ・・・」
「遥」
のんびりと足を投げ出したヨミが、気楽そうに私の肩を抱いた。
「俺たちは、冒険者だ」
「ハ、ハイ、ソウデスネ」
完全に棒読みになってしまった。




