冒険者 6 冒険者(なりたて)
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木賃宿、野宿、天気が悪ければ、きちんと旅籠に泊まり。
荒野の浅い処を通ったり、また街道を通ったり、時には森に踏み入ったり。
初心冒険者としていろいろ教えられながら旅を続けた私たちは、王都からだいぶ離れた、ポントスという街に来ていた。
結構大きな街で、立派な冒険者のギルドハウスがある。
早速、採取した薬草を買い取ってもらった。
三種類の初級ポーション用の薬草、二十束ずつで、小銀貨六枚。
鮮度はいいけど、掘りあげ方が雑なので、品質は並みだそうだ。
うーん、まだ『採取』の腕が悪いのね・・・。
ここでなら売れるか、と〇イアグラキノコも出してみると、受付の職員の眼の色が変わった。
需要は常にあるのに、供給する現物が少ない貴重品。
生えて一、二年の小さなものは時々出回るが、一年ごとに薬効が強まると言われているので、これみたいな、五十年物はとんでもない高値で取引されるって言われた。
めったにない代物だと、職員たちが集まってくるくらい。
回りにたむろしてる冒険者たちの眼が痛い。
で。渡された対価が、なんと大銀貨三枚!
小銀貨三百枚分!
初めて見るサイズも額面も大きな銀貨だ。
強盗なんかに狙われないよう、ギルドで貯金すればって言われたけれど、足がつくとやばいので、現金で受け取って、マントの収納へ入れる。
ヨミがいれば、強盗も何も怖くないもの。
でも、用心のために、今日は安全な所に泊まろうということになり、少しいい宿を紹介してもらった。
お風呂付の個室だ。
うわーい、お風呂、お風呂。
で、宿についてみると、受付で見覚えのある大きな赤毛の男性とすれ違った。
[あ、熊さんだ]
王都を出るとき、門で騒いでいた、カラハン国の隊商の引率者だった。




