聖女 5 聖女???召喚
5
「アルカ様」
「は?」
「アルカ様。ようこそ我が国においでくだしゃれました」
「いや、ちょっと・・・」
名前を訂正しようとした私は、はっと気づいた。
自動で翻訳されてるけど、耳に入るこの人の言い方。この発音。
コスプレ友達のフランス人の留学生と同じ。
最初のHの発音をしないんだ。
この人、私の名をちゃんと発音することが出来ないみたい。
それは、とても大事な事みたいな気がした。
群衆の中から、四人の立派な服を着た男性が進み出た。
先頭の、金髪碧眼の背の高い美形が、深く礼をして、挨拶する。
「ようこそ、わが国へ、アルカ様。
私は第二皇子、チャーミング。あなたを歓迎いたします」
おお。もろ、王子様だわ!
柔らかくカールした金髪を肩まで垂らした、素晴らしく眉目秀麗な青年は、白い歯をきらりと見せて、笑いかける。
チカッ、と、目の端で何かが光った。
【『魅了』発動感知ーーー失敗】
え?
びっくりして瞬きしていると、皇子は一歩退き、二番目の長い銀髪の青年が。
「ナンドールへようこそ、アルカ。
私は魔導師たちを束ねる長の、トルマリン。
あなたとは魔法について興味深いお話が出来そうだ」
きれいな紫の眼に、インテリっぽい銀縁眼鏡。
刺繍たっぷりの豪華なローブをまとい、指輪だらけの形のいい手を拡げて、私の眼をのぞき込む。
チカッ!
あっ、また。
【『幻惑』発動感知ーーー失敗】
なによ・・・これ・・・
次に立ちふさがったのは、おお、でかい。
ぴかぴか光る剣と鎧がいかにも似合う、偉丈夫という言葉が合いそうな壮年。
でも、髪が青!青の短髪!
これ、髭生やしたら、青髭公になるんじゃね?
「アルハ殿。騎士団長のガダンと申す。力の限り、あなたをお守りいたそう」
チカッ。
【『威圧』発動感知ーーー失敗】
そして、くるくる巻き毛の、天使のように愛らしい少年が。
「アンジェロです、アルハ様。
どうかこの国を、僕たちを救ってくださいね」
チカッ
【『愛玩申請』感知ーーー失敗】
ってか、さっき処女が・・・って嘆いてたの、この声だわ・・・。
切りの良いところまで毎日更新でがんばります。
気に入っていただけましたなら、ブクマや評価をどうぞよろしくお願いします!