聖女 55 冒険者 その7
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ギルドカードは魔力を込めて製作、登録され、ギルドの受付では受注した仕事の成否や犯罪歴が、各国の国境と首都の検問所、ダンジョンの入り口では入出歴が記録される。十二歳以上ならだれでもFランクで登録できるが、昇格するには試験を受ける必要がある。
(なんだ、私でもFランクは取れるんじゃないか、帽子め)
ギルド会員には薬草などの買取保証があるので、ちょっとした採取業をする人たちは、ほとんどFランク
登録をしているそうだ。
ダンジョン探索や魔獣の討伐などの難しい依頼が受けられるのは、Dランクになってから。
Cランクになると二つ名も登録することが出来、Aランクにもなると英雄扱い。
現在二名しかいないSランクともなると国賓扱いだそうだ。
冒険者ギルドと商人ギルドはあるが、魔導師たちは自己中の人間が多すぎて、ギルドが作れないんだって。
その代わり、力のある魔導師たちは、国の監視下にあるらしい。
登録料は一人あたり銀貨一枚の一万ギル、日本の一万円くらいの感覚だろう。
私たち二人の登録料は、五人を捕まえた賞金で払えた。
盗賊たちの持ち物と持ち金は、よほどの高額でない限り、捕らえた者の所有となるのが慣習。
それで生活している『賞金稼ぎ』なんて職業もある。
しかし、彼らの財布は軽く、持ち物もヨミが剣を一本選んで、後はギルドに買い取ってもらうと、賞金の残りと合わせても手持ちは銀貨十五枚ほど。
そこからギルドおすすめの服一式と旅行セットを買い、たっぷり夕食を取ると、戻って来たのは銀貨三枚と小銀貨と小銭だけだった。
うーん、一泊か二泊の宿代くらい?ちょっと心細い。
貴重なキノコは小さな所で売ると目立つというので、マントの収納にしまい込み、宿は高いから今夜も野宿することにして。
さあ、『冒険者』遥、北へ!
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商業ギルドの発達しているルウム大陸の通貨は、僻地と沿岸諸国以外は十進法のギルで統一されている
一ギルは小銅貨 一円程度
十ギル銅貨
百ギル大銅貨
千ギル小銀貨 一番多く流通している
一万ギル銀貨
十万ギル大銀貨
百万ギル金貨 大商人の取引以外ほとんど出回らない
代わりに商人ギルドの信用手形が流通している
一千万ギル白金貨 庶民には幻の貨幣




