聖女 53 冒険者 その5
53
『どうするかの』
「様子を見よう。集団で五人。離れている者はない」
飛び道具を持って援護している者は、いないと。
木の陰から出てきたのは、五人の人相が悪そうな男。
うっかり私がまだ持っていたキノコを見て、眼をぎらつかせる。
「いいものをみつけたなー、ねえちゃん」
「高く売れるんだぜー、それ」
「ナンに使うか、おせーてやるよ」
「ケガしねぇうちに娘っ子置いて行きな、若造」
あたりがヒヤリ、とするほど、ヨミの雰囲気が変わったけれど、奴らは気付かない。
古着のチュニックを着たヨミを、ただの村人と舐め切っている。
「おら、いけぇ!ぶっ殺すぞてめぇ!」
「こちとら殺しには慣れてんだ」
いきなり、長いナイフをぎらつかせる。
「こっちへ来いや、ねえちゃん。
ん?だいぶ年増だなあ」
ピキッ!こいつらぁ。
ああ、そう、あんたたち人殺し?ひょっとして賞金首?
それなら余裕で装具を買えるわ。
私はにっこり笑ってしまった。
バイトしてた某ファストフード店のノリで。
「いらっしゃいませー」
そしてぴしっと指さして、ポーズ!
「『冒険者』遥、初の戦闘!せーの!」
「いかん!」
『やめろ主っ!』
どかーん。ばしゃーん。




