聖女 4 聖女??召喚
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私は、立ち上がった。
ざわっ、と怯む観衆。
凝視する、人の眼。
失望と、恐怖と、怒り。
ひるむな、群衆の注目には慣れてるはずだ。
思い出せ、あの熱気!あの注目!
金属鎧に真夏の日差しを浴びて、脱水症で倒れたこともあった。
生足に海からの寒風がふきつけ、風邪で寝込んだ正月もあった。
ノるんだ!ノっちまえば、何も怖くない!
ここは、舞台!
私はゆっくりとあたりを見回し、聖職者らしい金ぴかのじいさんに目を止めた。
「私を呼んだのは、そなたたちか?」
びくり、と肩を震わせた老人は、おそるおそるたずねて来る。
「せ・・・聖女様であらしぇられましゅるか・・・」
じいさん、かんでるっ!
あ、歯がないだけ?
「私がそんなものに見えるか?」
「いえ・・・し、しかし・・・我らが行ったのは、古より伝わる、聖女召喚の術式・・・」
おお、こっちの言葉も向こうに通じているな。
「聖女様・・・魔女様・・・?
なんとお呼びしゅればよろしいのでしょうか」
「私は、遥」
あ、これ、まずい?
名前を教えちゃ、いけなかった?
切りの良いところまで毎日更新でがんばります。
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