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第一章 聖女 1  狭間



 真っ白な場所で、私は尻餅をついて呆然としていた。


「ここは狭間と呼ばれています」


 どこまでも真っ白な空間で、神々しい光に包まれた女性が言った。

 周りにはお付きらしい数人の女性が、なぜかドン引きした顔で。


「あ、あなたは聖女として異世界に召喚されるのです」


「へ?」


 黒いレースのフィンガーレス手袋をはめた手で、ずり落ちたとんがり帽子をかぶり直しながら、私は間抜けな声を出した。

 大きく広がる、手作りの黒いサテンのマント。

 真っ白な世界の中で、私だけが異質に真っ黒だ。


「あ、あなたは、聖女として、異世界に、召喚されます」


「お断りします」


「ここは二つの世界の狭間。

 わたくしはあなたに召喚先の世界とその仕組みを説明する役目を帯びたものです」


「きっぱり、お断りします」


「すでに対価は支払われ、あなたの存在は聖女として上書きされております」


「断るっていうのに、聞こえませんか」


「慣れぬ光属性の膨大な魔力に戸惑われるでしょうが、光も闇も行使する方法は同じ。

 魔女であるあなたなら使いこなせると信じておりますわ」


「そんなセリフは厨二病のどっかのガキに言ってください。

 私は聖女なんかじゃないし、光属性も何も、魔法なんて使えるわけがない。

 とっとと私の世界に返してください!」


 こんなテンプレな展開、冗談じゃないわ!


 立ち上がって詰め寄ると、女性は涙目になって一歩下がった。


「聖女は全属性持ちですのよ。

 光属性を使えないと言うのは・・・そうね。

 実践したほうがわかりやすいでしょう。

 これを蘇生してごらんなさい」


 女性がひらりと手を振ると。


 どさっ!


 死体が降って来た。





 


 

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