修行者遥 26 そして、その先。
「おい」
と、草地に入って来た大きな姿。
あ。熊さん、いえ。
「レッドさん」
「奥の神殿が大騒ぎだ。
聖騎士たちがそっちに集中しているので、抜け出して来たぞ」
それはたぶん、ローハタン師が・・・
奥方様が・・・
「ここで時間を潰している暇はない」
と、リーダー。
「彼らが立ち直る前に、アトス山を越えて、ヒトツメの森を抜ける。
ついてこい」
「え、一緒に来てくれるんですか?」
「お前らだけでは、森を抜けられまい」
たとえ、シェイプシフターとカラハン騎士団長がいても。
と、エルフリーダーが冷たく言った。
「森を抜けて、どうするつもりだ」
レッドさんが訊いた。
「えーと、とりあえず、カラハンへ?」
通行手形になるレッドさんがいることだし。
というと、熊さんが、ばっと顔を上げる。
「カラハンに来てくれるのか」
「うん、私を束縛しないなら、行ってもいい。一番困ってる所みたいだし」
「そうだ。瘴気が溜まりすぎて・・・!
そなた、浄化に目覚めたのか!」
えーと・・・
「それは、これから検証するから」
「おいっ」
白い虎がすっと傍らに寄り添った。
私の心の声の導くままに、と。
うん。貴方が一緒にいてくれれば、どこに行こうと、私は大丈夫。
カラハンに向かいながら、じっくりと。
私に出来ることを、探していく。
ここが、これから私が生きていく場所だもの。
第一部 完
長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
第一部完結、なんとか今年のハロウィンに間に合いました。
第二部構想中です。




