召喚者遥 5 鑑定2
やがて、老師はふう、と息を吐いて、眼を開いた。
「ずいぶんと複雑なことになっていますね」
ははー・・・
「そのエルフの方のおっしゃる通り、ほとんど読み取ることができないほど、絡み合ってしまっている。
一つでもスキルが出来たのは、驚きですよ」
あ、『鑑定』だけは、いろいろ調べていたら、生えてきたんだった。
「これほどのギフトをお持ちなのに、使い方をご存じないとは。
魔力を感じることも出来ないとは、何と不思議な事。
私がどれだけお力になれるかはわかりませんが、出来るだけの事はいたしましょう」
やったっ!お師匠様ゲットっ!
それが亡きマデリーナの望みでありましょうし、と、奥方様は静かにほほ笑んだ。
ああ、対価の一人、アンドレア子爵のお姉さんを、可愛がっていたのだろうな、この方は・・・
そして沈んだ声で続ける。
「聖女とは、瘴気に苦しむ民の祈りに答えて、神より送られる奇跡のはず。
それなのにドア・ナンドールは人為的に聖女を作り出し、魔法で拘束して国の利に使おうとした。
これは光の女神への冒涜行為です。
光の大聖堂がそれを承認するとは。
この国はどこまで堕落してしまったのでしょう」
嘆く奥方様の前に、帽子がふらふらと浮かんで近づく。
『お取込みの所申し訳ないんじゃが。
儂のステータスも見ていただけるかのう。
ずいぶんと魔法を使ったのじゃが、レベルが上がった気がせんのじゃ』
しかし、奥方様は首を傾げた。
「え?
でも、あなた方は、装備の服飾品扱いになっているのですよ」
『なに?』
【?】
「たとえ人格があっても、帽子とマントという服飾品にレベルはありません。
レベルがないので、当然、レベルアップもないわけです」
『ぬわんですとおーっ!!』
【・・・!・・・】
あーあ。
三角帽子がぺしゃんとへたれちゃった・・・
残念だったねえ・・・




